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ミケランジェロと理想の身体

現在、国立西洋美術館では、“ミケランジェロと理想の身体” が開催されています。

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(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております。)


「神のごとき」 と称されたルネサンスの天才芸術家、ミケランジェロ・ブオナローティ。

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パッシニャーノ 《ミケランジェロの肖像》 17世紀初頭 個人蔵 120.5×95.5cm 油彩/カンヴァス


画家として、建築家として、詩人として。
さまざまなジャンルで、傑作の数々を残しているミケランジェロですが。
自身のことを、彫刻家と称していました。
しかし、完璧主義者で寡作だったせいもあり、
ミケランジェロによる大理石彫刻は、世界でわずか約40点ほどしか現存していません。
今回の展覧会では、そんな貴重なミケランジェロの彫刻作品が初来日を果たしています。
しかも、1点だけでなく、2点も!
これは、奇跡です。
奇跡×2です。


今回、来日を果たした1点目は、《ダヴィデ=アポロ》

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ミケランジェロ・ブオナローティ 《ダヴィデ=アポロ》 1530年頃 フィレンツェ、バルジェッロ国立美術館蔵


ミケランジェロ55歳の円熟期の作品です。
未完成 (鑿の跡もバッチリ残っています) のため、
“ダヴィデなのか?それとも、アポロなのか?”、は未だに謎のまま。
それゆえに、《ダヴィデ=アポロ》 と呼ばれています。

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ミケランジェロ・ブオナローティ 《ダヴィデ=アポロ》(部分) 1530年頃 フィレンツェ、バルジェッロ国立美術館蔵


アップで見ると、ちょっと谷原章介に似ているような。
どことなく女性っぽくも見えるような。
とにもかくにも美形な顔立ちでした。
そして、顔以上に美しいのが、その肉体。
男の自分でも、見惚れるものがありました。
と同時に、自分と比べて、軽く落ち込みました。
この夏、ゴールドジムに通おうかしら。

ちなみに、《ダヴィデ=アポロ》 に限らず、
今回の展覧会で紹介されている彫刻のほとんどが、360度どこからでも鑑賞が可能となっています。
ぐるぐる回って、自分のお気に入りのアングルを探してみてくださいませ。

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ミケランジェロ・ブオナローティ 《ダヴィデ=アポロ》 1530年頃 フィレンツェ、バルジェッロ国立美術館蔵


それから、初来日を果たしたもう1点が、《若き洗礼者ヨハネ》 です。

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ミケランジェロ・ブオナローティ 《若き洗礼者ヨハネ》
1495-96年 ウベダ、エル・サルバドル聖堂/ハエン(スペイン)、エル・サルバドル聖堂財団法人蔵



顔が、なんだかブラック・ジャック、
もしくは、ヒョウタンツギみたいなことになっています・・・。

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ミケランジェロ・ブオナローティ 《若き洗礼者ヨハネ》 (部分)
1495-96年 ウベダ、エル・サルバドル聖堂/ハエン(スペイン)、エル・サルバドル聖堂財団法人蔵



実は、こちらの 《若き洗礼者ヨハネ》 は、
20世紀前半のスペイン内戦によって、バラバラに破壊されてしまったのだそう。
その際、残されたのは、たった14のパーツ。
全体の約40%に過ぎなかったそうです。
それをもとに、長い年月をかけて、修復が試みられました。
そして、ついに現在のような (一応完全な) 状態に戻ったのは、なんと5年前!
奇跡の復活遂げたてホヤホヤの彫刻作品なのです。
くれぐれも、その見た目を怖がらないであげてくださいませ。


と、そんなミケランジェロの彫刻作品2点を中心に、
今回の展覧会では、「理想の身体」 をテーマにした作品が約70点ほど展示されています。
それらの中には、なんと2015年に初来日を果たしたポンペイ壁画の傑作もありました!

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確か、その時の展覧会では、1739年に発見されて以来、
イタリア国外に貸出されるのが2回目で、本国でもめったに展示されない壁画と宣伝されてましたっけ。
まさか、そんな貴重な壁画が再び来日していたとは!
しかも、その他大勢的な扱いで来日していたとは!
逆説的に、いかにミケランジェロの彫刻の来日が希少なことなのかを実感させられます。
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さてさて、特に印象に残った作品をいくつかご紹介いたしましょう。
まずは、ベネデット・ダ・ロヴェンツァーノ (ベネデット・グラッツィーニ)《若き洗礼者ヨハネ》 です。

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ベネデット・ダ・ロヴェンツァーノ (ベネデット・グラッツィーニ) 《若き洗礼者ヨハネ》 
1492‐93年頃 ローマ、三・ジョヴァンニ・ディ・フィオレンティーニ美術館蔵



今展覧会のハイライトは、何と言っても、ミケランジェロの彫刻2点が設置された部屋。
そこに、ただ1点紛れ込むように展示されていたのが、彼。
“え~・・・何で俺ここなの・・・?” と、不安げな顔をしていました。
「所在なげ」 とは、まさにこのこと。


続いては、《蛇を絞め殺す幼児ヘラクレス》

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《蛇を絞め殺す幼児ヘラクレス》 2世紀 フィレンツェ国立考古学博物館


赤ちゃんvs2匹の蛇。
赤ちゃんのほうが優勢です。
その正体は、のちの英雄ヘラクレス。
幼い時から怪力の持ち主だったのですね。
そして、それ以上に、幼い時から老け顔だったのですね。


それから、《盾を持つ若者》 もなかなかに印象的な彫刻作品でした。

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フィレンツェの芸術家 (ミーノ・ダ・フィエゾーレ?) 《盾を持つ若者》 1460‐70年頃 フィレンツェ、ホーン美術館


頭部や両腕、両足など、ほとんどが損傷しています。
気になるのは、やはりその盾。
紐、長すぎ。
たまに、ショルダーバッグの紐がデロンと長い人をみかけますが、あんな感じです。
何でこんなに長いのかよ・・・と思ったら、盾の後ろを覗き込んで納得。
盾で大事なものを守っていました。
アキラ100%状態。
ルネサンス時代の 「絶対見せない de SHOW」 です。


彫刻がメインの展覧会ではありましたが、
油彩や版画、工芸作品などの優品も紹介されています。

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その中で特にインパクトがあったのが、マリオット・アルベルティネッリの 《聖セバスティアヌス》 です。

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マリオット・アルベルティネッリ 《聖セバスティアヌス》 1509-1510年 個人蔵 130×45cm 油彩/板


聖セバスティアヌスといえば、矢が刺さっても死なない奇跡でお馴染みの人物。
(参考記事→矢が刺さっても死なないという奇跡。
古来、多くの画家によって、さまざまな矢の刺さり方の聖セバスティアヌスが描かれてきました。
それらと比べても、この聖セバスティアヌスの肩の矢の刺さり方は、かなりのレアケース。
どういう刺さり方なのか?
並縫いみたいになっています。
刺さったというか、刺していますよね。絶対。




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