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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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とんでもない重さに耐えるという奇跡。

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美術の世界には、奇跡を起こしたヒーローたちがいる。
もしも、そんな彼らにヒーローインタビューを行ったなら・・・?



インタビュアー (以下:イ) 「放送席、放送席。
               こちらには、レプロブスさんにお越し頂いております」

レプロブス (以下:レ) 「あぁ・・・はい・・・どうも」

イ 「奇跡を起こした率直な感想をお聞かせください」

レ 「いや・・・僕が奇跡を起こしたといいますか・・・奇跡を起こされたといいますか・・・。
  まだ・・・その・・・実感はないです・・・」

イ 「レプロブスさんは、普段は、この流れの急な川で、
  川を渡ろうとしている人の手助けをしているんですよね?」

レ 「はい・・・そうです」

イ 「しかも、無償で!」

レ 「実は・・・そのぉ・・・キリストさんに憧れていまして・・・いつかお仕えしたいなぁと。
  ただ・・・伝手がないので・・・とりあえず、僕ができることを・・・まずはしようかと」

イ 「なるほど。私も身長は高い方ですが、レプロブスさんと比べてしまうと全然ですからね。
  その身長も活かした人助けをされていたのですね。
  で、そんなある日、小さな男の子が川を渡りたいとレプロブスさんに言ってきたと」

レ 「はい・・・そうなんです」

イ 「子ども一人担ぐだけですからね。余裕だと思われましたか?」

レ 「まぁ・・・そうですね。いつもは・・・もっと大きな人を担いでますので」

イ 「それが、このシーンですね。軽々と肩に担いでいるように見えます」

【本日のハイライトシーン】


ドメニコ・ギルランダイオ 《聖クリストフォロス》


レ 「まぁ・・・渡り始めたときは・・・そうでした」

イ 「ところが、途中から異変を感じたと?」

レ 「はい・・・あの・・・急に・・・肩に重みを感じまして」

【本日のハイライトシーン】


ヒエロニムス・ボス 《聖クリストフォロス》


イ 「だいぶ、よろけてますね!一体、何が起こったのですか?」

レ 「その・・・信じてもらえないかもしれないのですが・・・男の子が・・・重たくなったんです」

イ 「どれくらいの重さでしたか?」

レ 「うーん・・・どれくらいだろう?いつものベンチプレスよりも・・・はるかに重かったです。
 とにかく・・・僕は・・・倒れないようにするのに、必死でした」

【本日のハイライトシーン】


コンラート・ヴィッツ 《聖クリストフォロス》


イ 「で、その男の子は何だったんです?妖怪?」

レ 「僕も・・・怖くなって・・・正体を尋ねてみました」

イ 「すると?」

レ 「その男の子は・・・自分のことを・・・キリストだと名乗ったんです」

イ 「サプライズにもほどがある出会いですね!」

レ 「嬉しいというよりも・・・とりあえず・・・ビックリしました」

イ 「ですよね。そこは、普通に登場しろよって思いますよね!
  しかし、また何で、そんな重かったんでしょう?」

レ 「重いのは・・・その・・・全世界の人々の罪を背負っているから・・・と言っていたような」

イ 「それは重い!よく耐えられましたね?イナバ物置くらい頑丈ですね!
  しかし、何も川の途中で重くならなくてもいい気がしますけどね。お互い、危険なわけだし」

レ 「はぁ・・・僕も・・・そう思ったんですけど。
  でも・・・まぁ・・・憧れのキリストさんを川に落とすわけにはいかないので。
  ここは・・・何としてでも・・・渡りきらなくちゃと」

【本日のハイライトシーン】


ピーテル・パウル・ルーベンス 《聖クリストフォロス》


イ 「なんか人が変わってません?急にマッチョ化したような?気のせい?
  何はともあれ、無事に川を渡り切れて良かったですね。おめでとうございます」

レ 「あぁ・・・はい・・・ありがとうございます」

イ 「渡り切った時、キリストさんから何か声は掛けられましたか?」

レ 「はい。その・・・おめでとう、と祝福していただきました。
  それと・・・新しい名前を・・・プレゼントしてくれました」

イ 「新しい名前?」

レ 「“クリストフォロス” という名前です」

イ 「それは、どういった意味なんですか?」

レ 「なんか・・・“キリストを背負ったもの” って意味らしいです。
  これからは・・・この名前を・・・大事にしていきたいと思います」

イ 「ニュアンス的には、アッシー君みたいな感じですよね。
  急に現れて、命がけの試練を与えて、成功したら名前まで変えられて・・・私だったら、イヤだなぁ」

レ 「えっ?何か・・・言いましたか?」

イ 「あ、いえ、独り言です (汗)
  レプロブスさん。いや、クリストフォロスさん。本日はありがとうございました!」

ヒ 「はい・・・ありがとうございました。こんな・・・感じで大丈夫でしたか?」

イ 「それでは、放送席へお返しします」




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