Quantcast
Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
Viewing all articles
Browse latest Browse all 5005

ゴードン・マッタ=クラーク展

$
0
0
現在、東京国立近代美術館で開催されているのは、“ゴードン・マッタ=クラーク展”
アジアでは初となるゴードン・マッタ=クラークの回顧展です。




ゴードン・マッタ=クラーク (1943-78) は、
1970年代にNYを中心に活躍し、わずか35歳で夭折した伝説のアーティスト。
今年で没後40年を迎えます。


ゴードン・マッタ=クラーク Photo: Cosmos Andrew Sarchiapone
© The Estate of Gordon Matta-Clark; Courtesy The Estate of Gordon Matta-Clark and David Zwirner, New York/London/Hong Kong.



こちらの写真の人物が、ゴードン・マッタ=クラーク本人。
『ビバリーヒルズ高校白書』 に登場していそうな感じイケメンです。
しかし、そんな爽やかなルックスとは裏腹に (?)、
彼が発表したアート作品は、かなりパンクでアナーキー。
相当、ぶっ飛んでいます。

例えば、マッタ=クラーク本人が小型トラックを運転し、
正面からブルドーザーに衝突、そして、そのままスクラップされるという映像作品を発表しています。
また、例えば、巨大な時計台の上で、歯磨きをし、髭を剃り、
最終的には、泡に包まれてシャワーを浴びるというパフォーマンス作品を発表しています。
作品のテイストは、今でいうYouTuberに近いものがありました。

そんなマッタ=クラークの代名詞とも言えるのが、「ビルディング・カット」。
すなわち、文字通り、建物をカットするというアート作品です。
その中でも特に有名なのが、こちらの 《スプリッティング》


《スプリッティング》 1974年 ゴードン・マッタ=クラーク財団&デイヴィッド・ツヴィルナー(ニューヨーク)蔵
© The Estate of Gordon Matta-Clark; Courtesy The Estate of Gordon Matta-Clark and David Zwirner, New York/London/Hong Kong.



まるで石川五ェ門の仕業かのように、一軒家が半分にスパッと切断されています。
もともとは、立ち退きにあった郊外の移民労働者の住宅。
その状態では、特に訴えかけてくるものはないでしょうが。
このように半分にカットされただけで、何か強いメッセージ性のようなものが感じられます。
ちなみに、当然、この家は現存していませんが。
幸いにも (?) 四隅だけは、残っています。




サンフランシスコ近代美術館が所蔵するこの 《スプリッティング:四つの角》 が来日するのは、実は初!
きっと、マッタ=クラークの日本ファンは泣いて喜んでいることでしょう。


マッタ=クラークは、この家以外にも、
パリの住宅やシカゴ現代美術館の建物もカットしています。
また、長年使用されていなかった倉庫の壁も大胆にカット!


《日の終わり》 1975年 ゴードン・マッタ=クラーク財団&デイヴィッド・ツヴィルナー(ニューヨーク)蔵 /
© The Estate of Gordon Matta-Clark; Courtesy The Estate of Gordon Matta-Clark and David Zwirner, New York/London/Hong Kong.



しかし、この作品に関しては無許可でカットしたため、
完成したその日にNY市当局に発見され閉鎖、さらには逮捕状まで出されてしまったそうです (笑)


この他にも、アーティストによる食堂 「フード」 を経営してみたり、
街で見つけたグラフィティ (落書き) をモノクロ写真で撮影し、その上から彩色を施してみたり、
さまざまなアート作品を発表し続けたマッタ=クラーク。
一貫しているのは、ホワイトキューブ (美術館の空間) から飛び出し、都市を舞台としていること。
越後妻有トリエンナーレや瀬戸内芸術祭のように、
今でこそ、日本でも街中で芸術祭が開催されるのがポピュラーになっていますが。
マッタ=クラークが活動していたのは、40~50年も前のこと。
だいぶ、時代を先取りしていたようです。
そういう意味では、ようやく時代が彼に追い付いたのかもしれませんね。


さてさて、そんなマッタ=クラークの作品だけに、
どのように、ホワイトキューブに展示するべきか、学芸員さんもかなり悩んだようです。
そこで、今回は、プレイグラウンド (公園) をイメージして会場をデザインしたとのこと。




いい意味でぶっ飛んだ、斬新な会場デザインでした。
先日までここで “横山大観展” が開催されていただなんて、微塵も感じさせません。
建物の中にいるのに、なんとなく外にいるような。
マッタ=クラークの作品を鑑賞するに相応しい展示空間です。
星星


ちなみに。
美術館の入り口には謎のオブジェが設置されていました。




実は、こちらもマッタ=クラークの作品です。
その名も、《ごみの壁》
NYの街で集めたごみをタールや石膏で固め、壁のようにした作品です。
マッタ=クラーク本人は亡くなっていますが、今回の展覧会のために、
財団の監修のもと、東京の街で集めたごみを用いて、東京ver.を再制作したのだそうです。




東京なのに、ふなっしー。




 ┃会期:2018年6月19日(火)~9月17日(月・祝)
 ┃会場:東京国立近代美術館1F 企画展ギャラリー
 ┃
http://www.momat.go.jp/am/exhibition/gmc/

~読者の皆様へのプレゼント~
こちらの “ゴードン・マッタ=クラーク展” の無料鑑賞券を、5組10名様にプレゼントいたします。
(応募条件:これまでに主催するアートツアーやアートイベントへご参加頂いたことがある方)
住所・氏名・電話番号を添えて、以下のメールフォームより応募くださいませ。

https://ws.formzu.net/fgen/S98375463/
なお、〆切は、7月5日です。当選は発送をもって代えさせていただきます。




1位を目指して、ランキングに挑戦中。
下のボタンをポチッと押して頂けると嬉しいです!

Blogランキングへ にほんブログ村 美術ブログへ

Viewing all articles
Browse latest Browse all 5005

Trending Articles