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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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生誕100年 いわさきちひろ、絵描きです。

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今年2018年に生誕100周年を迎えるいわさきちひろ。
それを記念して、現在、東京ステーションギャラリーでは、
“生誕100年 いわさきちひろ、絵描きです。” が開催されています。



(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております。)


展覧会タイトルの 「いわさきちひろ、絵描きです。」 とは、
ちひろが、のちに夫となる松本善明氏との初対面の時に自己紹介した言葉。
一般的には、水彩のふわふわした絵でお馴染みのイラストレーター、
もしくは童画家というイメージが定着していますが、ちひろ本人は絵描きと自認していたようです。
今回の展覧会は、そんな絵描きいわさきちひろの姿を浮き彫りにしようというもの。
横山大観展や岸田劉生展と同じように、
いわゆるオーソドックスな画家の展覧会スタイルで、ちひろの画業を紹介しています。

画家になる前に影響を受けた作品が展示されていたり、




若き日のちひろが師事していた画家らの作品が展示されていたり、


(ちなみに、左の絵のモデルを務めているのは、若き日のちひろだそうです)


初公開となる作品を含む貴重な初期の作品が展示されていたり。




もちろん代表作の数々が展示されていたり、





画机が再現されていたり。




オーソドックスな画家の展覧会あるある (←?) が満載。
あえてベタに紹介されていることで、
いわさきちひろが画家であったという事実が、すんなりと受け入れられることができます。
ちひろ美術館で感じる柔らかさとは対照的に、硬派な印象の展覧会でした。
素材は一緒であるはずなのに、
会場や演出が変わるだけで、これほどまでに印象がガラッと変わるものかと驚かされました。
星星


ちなみに、今回の展覧会の中で特に興味深かったのは、
アメリカの画家ベン・シャーンとちひろの絵との類似性が指摘されていたこと。




今まで結び付けて考えたことはなかったですが、
確かに、見比べてみると、線の雰囲気に共通するものがありました。
どちらも線にメッセージ性があり、そして、強い感情が込められているよう。
線がゴゴゴッと迫ってくる。
そんな印象を受けました。
レンガ壁をバックにしたことで、線の迫力はより強調されていた気がします。

ちなみに、もう一つ興味深かったのが、こちらの仕事机。




先ほどの画机と比べて、天板は広く、高さは低めです。
しかし、足元に注目してみると、わざと少しだけ高さをあげているのがわかります。
この微妙な高さにすることで、座ったり、中腰になったり、
時には、立ったりしながら、全身の力を使って絵を描いていたとのこと。
線が力強いのも納得です。


最後に、ちひろはあまり関係ないですが、どうにも気になってしまったものを。


ヒゲタ醤油広告 1950 年代前半 ちひろ美術館蔵


こちらは、若き日のちひろが手掛けたヒゲタ醤油のポスターです。
どうにも気になってしまったのは、そのキャッチフレーズ。
“高純度” はともかくも、“サニタリーな” って??
耳馴染みがないので、辞書で調べてみたところ、
「衛生の」「清潔な」 という意味が出てきました。
サニタリーな醤油。
まったく購買意欲がわきません。




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