つい先日まで、三菱一号館美術館にて、
“ルドン―秘密の花園” という大規模なルドンの展覧会が開催されていましたが。
それと入れ替わるかのように、現在、ポーラ美術館では、
“ルドン ひらかれた夢ー幻想の世紀末から現代へ” という展覧会が開催されています。
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております。)
入り口に待ち受けているのは、巨大な 『ルドン』 の文字。
ここを 「脳カベ」 のごとく、くぐって会場へ。
くれぐれも、『ト』 の濁点や 『ン』 の横棒から入りませんように。
さて、これまでの展覧会では、本人が他者からの影響を明らかにしていないこともあり、
「ルドン=夢の世界に生きた孤高の幻想画家」 と紹介されることが多かったようですが。
ここ近年、そんなルドン像が崩壊し始めているのだそうです。
研究が進んだことにより、ルドンが美術史上の傑作や同時代の美術作品、
さらには、当時の雑誌などからも、大きな影響を受けていることがわかってきたのだとか。
ルドンが隠してきた秘密 (?) が、100年以上の時を経て、暴かれてしまっただなんて。
美術の研究者、学芸員さんは、週刊文春の記者よりも優秀で執拗です (笑)
それはさておき、今回の展覧会は、そんな新たなルドン像を紹介しようというもの。
最初の展示室でも、いわゆる 「黒の時代」 に描かれたルドンの作品群と併せて、
若き日のルドンにアドバイスを与えたとされるコローや、
ルドンが大きな影響を受けたゴヤなどの作品が展示されていました。
さらに、新たなルドン像に焦点を当てるべく、
今回の展覧会では、ルドンが影響を受けたアーティストだけでなく、
ルドンに影響を受けた現代アーティストやクリエイターの作品も紹介されています。
その中には、人気現代美術家である鴻池朋子さんや、
手前:鴻池朋子 《素焼粘土》 2013年 作家蔵 ©️Tomoko Konoike
ドイツ在住の芸術家イケムラレイコさんの作品、
左:イケムラレイコ 《よるのうみ》 2003-2004年 シュウゴアーツ ©️Leiko Ikemura, Courtesy of ShugoArts
さらには、カルト的な人気を誇るあの漫画の原画も。
岩明均 《『寄生獣』(原画)》 1990-1995年 作家蔵
今までルドンと結び付けたことはなかったですが、
比較してみると、テイストに通ずるものがあるように感じました。
確かに、鴻池朋子さんの作品も、
イケムラレイコさんの作品も、そして、『寄生獣』 も、ルドン的です。
(↑人生で初めて、「ルドン的」 という単語を使いました!)
これまでルドンという芸術家の輪郭は、なんとなくぼんやりしていたのですが。
ルドンがハブとなった今回の展覧会を通じて、初めてくっきりとした気がします。
ちなみに、今回の展覧会で一番驚いたのは、
実は、モネとルドンがタメだったという事実。
同い年、同じフランス生まれでも、こんなにも作風が違うのですね。
もちろんモネの風景画も良かったですが、
ルドンの描く風景画も独特の味わいがあって良かったです。
特にお気に入りは、《薔薇色の岩》。
おそらく海景、砂浜を描いているのでしょうが。
海よりも岩をメインに据えるという奇抜さ、大胆さに、妙に心を奪われました。
何でこんな絵を描いたのか??
観れば観るほど、よくわからなくなります。
あと5分、いや、あと3分、眺めていたら、この絵の中に閉じ込められてしまったかも。
そんな不思議な怖さもある絵です。
不思議と言えば、《イカロス》 という作品も。
イカロスと言えば、蝋で固めた鳥の羽で空を飛ぶも、
太陽に近づきすぎたために、蝋が溶けて墜落死してしまったギリシア神話の登場人物。
そんなイカロスをモチーフにした絵画は数多くありますが、
ルドンが描いた 《イカロス》 は、他のどの作品とも違っていました。
いや、飛ばへんのかーいwww
イカロスが捧げものをしているシーンとのこと。
そんなオフショットは、いいですから。
他にもツッコみたくなる作品が、いくつもありました。
ルドンは意外とツッコミどころの多い画家。
これも、今回の展覧会で明らかになった (僕が勝手に見出した) 新たなルドン像です。
例えば、こちらの 《ヴィーナスの誕生》。
ヴィーナスの誕生も、多くの画家によって描かれているモチーフの一つ。
ボッティチェリの 《ヴィーナスの誕生》 しかり、
カバネルの 《ヴィーナスの誕生》 しかり、ヴィーナスは祝福されて誕生していますが。
ルドンが描くと、ごらんの通り。
オディロン・ルドン 《ヴィーナスの誕生》 1912年頃 ポーラ美術館蔵
ひっそりのっそり、ヴィーナスが誕生しています。
しかも、セクシーさは皆無。
「よっこらしょ」 と言わんばかりに、貝から出てきています。
もしかしたら、出る日を間違えたのかも。
「あれっ?セレモニーって明日だっけ?」
登校日を間違えた小学生くらいに恥ずかしい感じです。
ちなみに。
今回もっともツッコミを入れたかったのは、ルドンの作品ではなく、
ルドンに大きな影響を与えたというジュール・ヴェルヌの 『気球に乗って五週間』 という本。
挿絵には、もちろん気球が登場していますが。
表紙を見てみると・・・
いや、気球どこ行ってんwww
『気球に乗って五週間』 感が無いにもほどがあります。
1位を目指して、ランキングに挑戦中。
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“ルドン―秘密の花園” という大規模なルドンの展覧会が開催されていましたが。
それと入れ替わるかのように、現在、ポーラ美術館では、
“ルドン ひらかれた夢ー幻想の世紀末から現代へ” という展覧会が開催されています。
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております。)
入り口に待ち受けているのは、巨大な 『ルドン』 の文字。
ここを 「脳カベ」 のごとく、くぐって会場へ。
くれぐれも、『ト』 の濁点や 『ン』 の横棒から入りませんように。
さて、これまでの展覧会では、本人が他者からの影響を明らかにしていないこともあり、
「ルドン=夢の世界に生きた孤高の幻想画家」 と紹介されることが多かったようですが。
ここ近年、そんなルドン像が崩壊し始めているのだそうです。
研究が進んだことにより、ルドンが美術史上の傑作や同時代の美術作品、
さらには、当時の雑誌などからも、大きな影響を受けていることがわかってきたのだとか。
ルドンが隠してきた秘密 (?) が、100年以上の時を経て、暴かれてしまっただなんて。
美術の研究者、学芸員さんは、週刊文春の記者よりも優秀で執拗です (笑)
それはさておき、今回の展覧会は、そんな新たなルドン像を紹介しようというもの。
最初の展示室でも、いわゆる 「黒の時代」 に描かれたルドンの作品群と併せて、
若き日のルドンにアドバイスを与えたとされるコローや、
ルドンが大きな影響を受けたゴヤなどの作品が展示されていました。
さらに、新たなルドン像に焦点を当てるべく、
今回の展覧会では、ルドンが影響を受けたアーティストだけでなく、
ルドンに影響を受けた現代アーティストやクリエイターの作品も紹介されています。
その中には、人気現代美術家である鴻池朋子さんや、
手前:鴻池朋子 《素焼粘土》 2013年 作家蔵 ©️Tomoko Konoike
ドイツ在住の芸術家イケムラレイコさんの作品、
左:イケムラレイコ 《よるのうみ》 2003-2004年 シュウゴアーツ ©️Leiko Ikemura, Courtesy of ShugoArts
さらには、カルト的な人気を誇るあの漫画の原画も。
岩明均 《『寄生獣』(原画)》 1990-1995年 作家蔵
今までルドンと結び付けたことはなかったですが、
比較してみると、テイストに通ずるものがあるように感じました。
確かに、鴻池朋子さんの作品も、
イケムラレイコさんの作品も、そして、『寄生獣』 も、ルドン的です。
(↑人生で初めて、「ルドン的」 という単語を使いました!)
これまでルドンという芸術家の輪郭は、なんとなくぼんやりしていたのですが。
ルドンがハブとなった今回の展覧会を通じて、初めてくっきりとした気がします。
ちなみに、今回の展覧会で一番驚いたのは、
実は、モネとルドンがタメだったという事実。
同い年、同じフランス生まれでも、こんなにも作風が違うのですね。
もちろんモネの風景画も良かったですが、
ルドンの描く風景画も独特の味わいがあって良かったです。
特にお気に入りは、《薔薇色の岩》。
おそらく海景、砂浜を描いているのでしょうが。
海よりも岩をメインに据えるという奇抜さ、大胆さに、妙に心を奪われました。
何でこんな絵を描いたのか??
観れば観るほど、よくわからなくなります。
あと5分、いや、あと3分、眺めていたら、この絵の中に閉じ込められてしまったかも。
そんな不思議な怖さもある絵です。
不思議と言えば、《イカロス》 という作品も。
イカロスと言えば、蝋で固めた鳥の羽で空を飛ぶも、
太陽に近づきすぎたために、蝋が溶けて墜落死してしまったギリシア神話の登場人物。
そんなイカロスをモチーフにした絵画は数多くありますが、
ルドンが描いた 《イカロス》 は、他のどの作品とも違っていました。
いや、飛ばへんのかーいwww
イカロスが捧げものをしているシーンとのこと。
そんなオフショットは、いいですから。
他にもツッコみたくなる作品が、いくつもありました。
ルドンは意外とツッコミどころの多い画家。
これも、今回の展覧会で明らかになった (僕が勝手に見出した) 新たなルドン像です。
例えば、こちらの 《ヴィーナスの誕生》。
ヴィーナスの誕生も、多くの画家によって描かれているモチーフの一つ。
ボッティチェリの 《ヴィーナスの誕生》 しかり、
カバネルの 《ヴィーナスの誕生》 しかり、ヴィーナスは祝福されて誕生していますが。
ルドンが描くと、ごらんの通り。
オディロン・ルドン 《ヴィーナスの誕生》 1912年頃 ポーラ美術館蔵
ひっそりのっそり、ヴィーナスが誕生しています。
しかも、セクシーさは皆無。
「よっこらしょ」 と言わんばかりに、貝から出てきています。
もしかしたら、出る日を間違えたのかも。
「あれっ?セレモニーって明日だっけ?」
登校日を間違えた小学生くらいに恥ずかしい感じです。
ちなみに。
今回もっともツッコミを入れたかったのは、ルドンの作品ではなく、
ルドンに大きな影響を与えたというジュール・ヴェルヌの 『気球に乗って五週間』 という本。
挿絵には、もちろん気球が登場していますが。
表紙を見てみると・・・
いや、気球どこ行ってんwww
『気球に乗って五週間』 感が無いにもほどがあります。
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