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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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イサム・ノグチ ─ 彫刻から身体・庭へ ─

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現在、東京オペラシティアートギャラリーでは、
“イサム・ノグチ ─ 彫刻から身体・庭へ ─” という展覧会が開催されています。




「地球を彫刻した男」 とも称される世界的芸術家イサム・ノグチ、
その没後30年を記念したもので、国内では実に12年ぶりとなる本格的な回顧展です。
イサム・ノグチというと、シンプルな作風の石やブロンズの彫刻作品や、
モエレ沼公園をはじめとするランドスケープデザインの印象が強いですが。




今回の展覧会では、それら後半生の作品だけでなく、
イサム・ノグチの初期から中期の作品も余すことなく紹介されています。


例えば、こちらは毛筆による初期作品 『北京ドローイング』 シリーズ。


イサム・ノグチ 《北京ドローイング(横たわる男)》 1930年 インク、紙 イサム・ノグチ庭園美術館(ニューヨーク)蔵
©The Isamu Noguchi Foundation and Garden Museum, New York / Artist Rights Society [ARS] - JASPAR. Photo by Kevin Noble.



日本初公開となる貴重な作品群です。
北京に滞在した際に描いたドローイングだから、『北京ドローイング』。
これ以上ないくらいにシンプルなネーミングです。
「北京」 というネーミングに引っ張られただけかもしれませんが。
墨の軌跡 (動き) が、なんとなく太極拳の動きを連想させました。


また例えば、こちらは戦後来日した際に手掛けたという陶の作品。


イサム・ノグチ 《二枚の板の愛》 1950年 陶(瀬戸) イサム・ノグチ庭園美術館(ニューヨーク)蔵
©The Isamu Noguchi Foundation and Garden Museum, New York / Artist Rights Society [ARS] - JASPAR. Photo by Kevin Noble.



あの北大路魯山人とも交流があったようですが、作風はオリジナリティ全開。
意外にも、ほのぼのとユーモラスなテイストでした。
特に個人的にお気に入りなのが、こちらの作品です。


イサム・ノグチ 《別嬪さん》 1952年 陶(瀬戸)、麻 イサム・ノグチ庭園美術館(ニューヨーク)蔵
©The Isamu Noguchi Foundation and Garden Museum, New York / Artist Rights Society [ARS] - JASPAR. Photo by Kevin Noble.



タイトルは、《別嬪さん》
えっ、どの辺が?
えっ、どちらかといえば、「別嬪さん」 よりも 「ひとつ飛ばして」 とイジられるほうでは?
髪のダメージヘアっぷりが気になります。
パンテーンをオススメしたいところです。


またアート作品以外では、イサム・ノグチがデザインしたプロダクトも紹介されていました。
その一つが、こちらの 《ラジオナース》




剣道かフェンシングのお面かと思ったら・・・全く違いました (汗)。
赤ちゃんが寝ている部屋にこの 《ラジオナース》 を設置。
そして、こちらと対になる機械を、お母さんらがいる台所などに設置します。
もし、赤ちゃんが泣くと、無線を通じて泣き声が伝わるのだとか。
いうなれば、無線インターフォンの走りのような機械です。


他にも、岐阜県の伝統的な灯篭に着想を得た光の彫刻 《あかり》 をデザイン。
今回の展覧会では、その中でも特に巨大な 《2mのあかり》 も特別に出展されていました。




あまりに大きすぎて、反対側の視界をすっぽり覆い隠してしまっています。
灯りとしては、本末転倒なのではないでしょうか。


陶芸作品といい、2mもある灯りといい。
イサム・ノグチのお茶目な一面が垣間見えた展覧会でした。
星


最後に、一番印象に残ったタイトルの作品をご紹介。




《道化師のような高麗人参》 だそうです。
たまに人間の形をした大根やイモが採れたというニュースがありますが。
あんな感じなのでしょうか。
何はともあれ、僕にはこの作品が、道化師にも高麗人参にも見えませんでした。




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