現在、奈良国立博物館で開催されているのは、
“糸のみほとけ-国宝 綴織當麻曼荼羅と繍仏-” という展覧会。
糸で作られた仏、つまり刺繍や綴織による仏をテーマにした展覧会です。
仏像や仏画をテーマにした展覧会は数多くあれど、
繍仏をテーマにした大規模な展覧会は、おそらく初めて。
僕の記憶の糸をたぐってみましたが、まとまった数の繍仏を目にした機会は過去にありません。
目玉は何と言っても、4年にも及ぶ修理を終え、
今回が初の公開となる国宝の 《綴織當麻曼荼羅》 です。
修理前に鑑賞した際には、
“全体的に茶色くて、何が描かれているかよくわからんゾ・・・。”
と、強く思ったものですが。
修復後の今回も、
“やっぱり全体的に茶色くて、何が描かれているかよくわからんゾ・・・。”
と、思いました。
デジャヴ?
が、それでも諦めずに、じーっと見ていると、
なんとなくジワジワと像が浮かび上がってきました。
3Dではないですが、「マジカル・アイ」 状態。
もしかしたら、少しくらい視力がアップしたかもしれません。
そんな 《綴織當麻曼荼羅》 のすぐ横に展示されていたのが、
今回の展覧会のために、京都の川島織物セルコンが制作したという部分復元模造です。
もともとは、こんなにも色鮮やかだったのですね!
今とのギャップに、思わず二度見三度見。
出来れば、この頃の 《綴織當麻曼荼羅》 に会ってみたかったものです。
ちなみに、部分復元模造のサイズは、幅23cm×丈19cm。
対して、《綴織當麻曼荼羅》 のサイズは、4m四方。
“部分復元” にもほどがあるだろ・・・と思いきや、
この模造を作るのに、熟練した織手でも40日かかったとのこと。
4m四方の完全復元模造を作るのには、8年かかるとのこと。
改めて、《綴織當麻曼荼羅》 のスゴさを感じました。
さてさて、《綴織當麻曼荼羅》 以外にも、見どころはいっぱい。
例えば、最古の日本刺繍ともいわれる国宝の 《天寿国繡帳》 もその一つ。
歴史的に、とても貴重なものなのでしょうが。
アップリケみたいな感じで、意外と可愛らしかったです。
亀や鳳凰は、どことなくポケモンを彷彿とさせるものがありました。
また、「日本刺繍の歴史的作品」 とも称される 《刺繡釈迦如来説法図》 も出展中。
《綴織當麻曼荼羅》 とほぼ同時代の作品なのに、色が鮮やかで、まずビックリ。
展示ケースすれすれまで近づいてみて、さらにビックリ。
当たり前ですが、ちゃんと1針1針縫われていました。
しかも、全体をただ同じように縫うのではなく、
釈迦の螺髪や菩薩の宝冠などは、糸をあえて玉結びにして立体感を表現しています。
どんな人が、どれほどの時間をかけて、
どんな想いを込めて縫っていたのだろうか。
仏像や仏画以上に、繍仏には人の想いが詰まっている印象を受けました。
ちなみに、個人的にお気に入りの作品は、《刺繍五髻文殊菩薩像》 です。
文殊菩薩を乗せている獅子の表現が実に見事。
たてがみや毛並みは思わず触ってみたくなるほどのリアリティがありました。
ただ、一つ難を言えば、しっぽは不自然に大きかったです。
「もっとモフモフ感を!」 と刺繍しているうちに、
歯止めが利かなくなってしまったのかもしれません。
それと、個人的に印象的だったのが、髪の毛を編み込んだ繍仏が、わりと多かったこと。
当時は、髪の毛を編み込むことは、ポピュラーだったのだとか。
こちらの 《刺繡阿弥陀名号》 にも、髪の毛が編み込まれています。
それは、「南無阿弥陀仏」 の六文字。
近くでマジマジと見ましたが、艶々の黒い糸にしか思えませんでした。
リンスもトリートメントも無い時代に、
これほどまでにキューティクルが美しい人物がいたとは驚きを禁じ得ません。
1位を目指して、ランキングに挑戦中。
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“糸のみほとけ-国宝 綴織當麻曼荼羅と繍仏-” という展覧会。
糸で作られた仏、つまり刺繍や綴織による仏をテーマにした展覧会です。
仏像や仏画をテーマにした展覧会は数多くあれど、
繍仏をテーマにした大規模な展覧会は、おそらく初めて。
僕の記憶の糸をたぐってみましたが、まとまった数の繍仏を目にした機会は過去にありません。
目玉は何と言っても、4年にも及ぶ修理を終え、
今回が初の公開となる国宝の 《綴織當麻曼荼羅》 です。
修理前に鑑賞した際には、
“全体的に茶色くて、何が描かれているかよくわからんゾ・・・。”
と、強く思ったものですが。
修復後の今回も、
“やっぱり全体的に茶色くて、何が描かれているかよくわからんゾ・・・。”
と、思いました。
デジャヴ?
が、それでも諦めずに、じーっと見ていると、
なんとなくジワジワと像が浮かび上がってきました。
3Dではないですが、「マジカル・アイ」 状態。
もしかしたら、少しくらい視力がアップしたかもしれません。
そんな 《綴織當麻曼荼羅》 のすぐ横に展示されていたのが、
今回の展覧会のために、京都の川島織物セルコンが制作したという部分復元模造です。
もともとは、こんなにも色鮮やかだったのですね!
今とのギャップに、思わず二度見三度見。
出来れば、この頃の 《綴織當麻曼荼羅》 に会ってみたかったものです。
ちなみに、部分復元模造のサイズは、幅23cm×丈19cm。
対して、《綴織當麻曼荼羅》 のサイズは、4m四方。
“部分復元” にもほどがあるだろ・・・と思いきや、
この模造を作るのに、熟練した織手でも40日かかったとのこと。
4m四方の完全復元模造を作るのには、8年かかるとのこと。
改めて、《綴織當麻曼荼羅》 のスゴさを感じました。
さてさて、《綴織當麻曼荼羅》 以外にも、見どころはいっぱい。
例えば、最古の日本刺繍ともいわれる国宝の 《天寿国繡帳》 もその一つ。
歴史的に、とても貴重なものなのでしょうが。
アップリケみたいな感じで、意外と可愛らしかったです。
亀や鳳凰は、どことなくポケモンを彷彿とさせるものがありました。
また、「日本刺繍の歴史的作品」 とも称される 《刺繡釈迦如来説法図》 も出展中。
《綴織當麻曼荼羅》 とほぼ同時代の作品なのに、色が鮮やかで、まずビックリ。
展示ケースすれすれまで近づいてみて、さらにビックリ。
当たり前ですが、ちゃんと1針1針縫われていました。
しかも、全体をただ同じように縫うのではなく、
釈迦の螺髪や菩薩の宝冠などは、糸をあえて玉結びにして立体感を表現しています。
どんな人が、どれほどの時間をかけて、
どんな想いを込めて縫っていたのだろうか。
仏像や仏画以上に、繍仏には人の想いが詰まっている印象を受けました。
ちなみに、個人的にお気に入りの作品は、《刺繍五髻文殊菩薩像》 です。
文殊菩薩を乗せている獅子の表現が実に見事。
たてがみや毛並みは思わず触ってみたくなるほどのリアリティがありました。
ただ、一つ難を言えば、しっぽは不自然に大きかったです。
「もっとモフモフ感を!」 と刺繍しているうちに、
歯止めが利かなくなってしまったのかもしれません。
それと、個人的に印象的だったのが、髪の毛を編み込んだ繍仏が、わりと多かったこと。
当時は、髪の毛を編み込むことは、ポピュラーだったのだとか。
こちらの 《刺繡阿弥陀名号》 にも、髪の毛が編み込まれています。
それは、「南無阿弥陀仏」 の六文字。
近くでマジマジと見ましたが、艶々の黒い糸にしか思えませんでした。
リンスもトリートメントも無い時代に、
これほどまでにキューティクルが美しい人物がいたとは驚きを禁じ得ません。
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