Quantcast
Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
Viewing all articles
Browse latest Browse all 5005

没後160年記念 歌川広重

$
0
0
今年2018年は、歌川広重没後160年の節目の年。
それを記念して、この秋、太田記念美術館では、
前後期に分けて、代表作200点以上を紹介する “没後160年記念 歌川広重” が開催されています。
ちなみに、太田記念美術館で、歌川広重の大々的な回顧展が開催されるのは、13年ぶりとのこと。
・・・・・ってことは、あれれ??
よりキリがいい没後150年はスルーされたということですね。


と、まぁ、それはさておきまして。
広重の大々的な回顧展ということで、代表作中の代表作 《東海道五拾三次》 シリーズや、




晩年の傑作 《名所江戸百景》 シリーズなど、




広重の代名詞といえる風景画の名品の数々が紹介されているのは、もちろんのこと。
広重が手掛けていたイメージがほとんどない美人画や、




武者絵なども紹介されています。




美人画に関しては、そこまで華がなかったですし、
武者絵に関しては、悪い意味で、動きが止まって見えますし。
展覧会全体を通じて、改めて、広重は風景画が得意だったのだなァと実感できる展覧会でした。
星星


それと同時に、もう一つ実感したのは、どんな人間でも、
大ブレイクを果たしてしまうと、それを超える作品を生み出すのに苦労するのだなァということ。
広重の場合、代表作中の代表作 《東海道五拾三次》 シリーズがあまりにヒットしすぎたため、
その後に制作された作品シリーズが、どうにも今一つ、いや、今二つな感じなものが多かったです。
例えば、二番煎じ感が拭えない 《木曽街道六拾九次》 シリーズ。




海あり、船あり、富士山ありの 《東海道五拾三次》 と比べて、
「木曾路はすべて山の中である」 からなのでしょうか、絵面が圧倒的に地味です。
永谷園のお茶づけ海苔に、このカードが入っていても、全く嬉しくありません。


また例えば、《冨士三十六景》 シリーズ。




あっちは横長の画面で、こっちは縦長の画面という違いはありますが。
完全なるパクリです。
富士山を題材にするというコンセプトも、全36図という点も。
たまたま似てしまったと言い逃れできるレベルではありません。
さらに、こちらの 《冨士三十六景 駿河薩タ之海上》 にいたっては、波の描き方までクリソツ。
原案ではなく、原作:葛飾北斎です。


ちなみに、今回紹介されていた中で、印象に残った作品をいくつかご紹介いたしましょう。
まずは、《山海見立相撲 越中立山》




《山海見立相撲》は、日本各地の山の名所と、
海の名所を相撲に見立てて対決させようという作品シリーズです。
こちらで描かれているのは、立山連峰なのだそうですが、日本という感じがしません。
中国の光景という感じがしました。
いや、それよりも、『ドラゴンボール』 の光景?
山の向こうから、筋斗雲に乗った孫悟空が現れそうな予感がします。


続いては、《東海道五拾三次之内 日本橋 行烈振出》




《東海道五拾三次之内》 が大ヒットしたため、
その人気に応える形で、のちに発売されたという日本橋の図の別バージョンです。
描かれている人物が多すぎて、ほとんど日本橋が見えなくなってしまっています。
やりすぎ感が、否めません。


最後は、《相州江之嶋岩屋之図》




江の島を描いた浮世絵なのですが、
人の大きさと比べると、江の島が小さすぎるような・・・。
トムソーヤ島くらいのサイズしかない気がします。




1位を目指して、ランキングに挑戦中。
下のボタンをポチッと押して頂けると嬉しいです!

Blogランキングへ  にほんブログ村 美術ブログへ

Viewing all articles
Browse latest Browse all 5005

Trending Articles