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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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キリシタン―日本とキリスト教の469年―

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「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」 が、
今年7月に、国内22件目となる世界文化遺産に登録されました。
それを記念して、現在、國學院大學博物館では、
“キリシタン―日本とキリスト教の469年―” という展覧会が開催されています。


(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております)


1549年に日本にキリスト教が伝来してから、今年で469年。
日本とキリスト教の関わりを、たくさんの貴重な史料とともに紹介する展覧会です。

来年開催すれば、「470年」 とキリが良かったのに。
・・・と思いましたが、それはさておきまして。
まず最初に展示されていたのは、こちらの小さな像。




日本にキリスト教を伝えたフランシスコ・ザビエルの像です。
ただ、ザビエルのザビエルたる頭頂部 (←?) は確認できず。
ポージングも教科書でお馴染みのものとは、全く違っていました。
何のポーズなのでしょう??
教習所かタクシードライバーという設定のコントをしているようにしか見えません。


さてさて、今回の展覧会の目玉ともいえるのは、
長崎奉行所で実際に使われていたという踏み絵です。




教科書でお馴染みですが、実物を観るのは初めて。
想像していたよりも、小さかったです。
両足を乗せるのではなく、片足を乗せるくらいのサイズ。
その見た目は、少しだけアルフォートに似ていました。
絶対に踏みたくならないような神々しさは、そこまで感じず。
僕が、もし隠れキリシタンだったとしたら、おそらく踏んだことでしょう。
と思ったら、当時の実際の隠れキリシタンの方々も、わりと踏んだと考えられるとのこと。
表面が摩耗していることから、そう推測されているそうです。

そもそも、僕らが想像しているほどは、
隠れキリシタンに対して、厳しい弾圧はなされていなかったとのこと。
幕末あたりになると、キリシタンの取り締まりは、
「毎年の恒例行事だから行っておくか」 的に、ルーティンワーク化していたのだとか。
年末年始のネズミ捕りのような感覚でしょうか。

むしろ、明治時代になって、長崎奉行所の人員が一新された際に、
初期の頃の取り締まりをお手本にしたため、キリシタンの弾圧が厳しくなったそうです。




ちなみに、キリスト教に対する弾圧が終わったのは、明治6年のこと。
キリシタン禁制の高札が引っこ抜かれたことで、一応のピリオドが打たれたのだとか。
なお、信教の自由が認められたのは、大日本帝国憲法が施行される明治23年のことです。


また、もう一つの目玉が、千々石ミゲル夫妻のお墓からの出土品。
調査発掘されたてホヤホヤです。




天正遣欧使節の4人のメンバーの中で、
帰国後に唯一棄教したとされる千々石ミゲル。
しかし、そのお墓の下から出てきたのは、棺の残片とロザリオと思われるガラス玉・・・。
これにより棄教していなかった可能性が急浮上しているのだとか。
400年弱、キリシタンであることを隠してきただなんて。
千々石ミゲルこそが、真の隠れキリシタンといえるでしょう。


個人的に印象に残ったのは、経消しの壺。




隠れキリシタンが亡くなった際、
当然周囲にバレないように、仏式の葬式を挙げます。
しかし、実際は仏教徒ではないため、お坊さんがお経を唱えている際に、
隣の部屋や天井裏に隠れた別の人が呪文を唱え、お経の効力をこの壺の中に封じ込めたのだとか。
信仰の強さを感じるとともに、
封じられているとは知らずに、お経を一生懸命読んでいたお坊さんが不憫でなりません。


この他にも、島原の乱関連の史料や、




鎖国中の日本に潜入し、布教を試みようとしたイタリア人宣教師シドッチに関する史料など、




日本とキリスト教の関係を語る上で欠く事の出来ない史料が多く展示されています。
小さな展示室の中に、まさに 「日本とキリスト教の469年」 がギュッと詰まっていました。
星


ちなみに。
その大きさから展示室に入らなかったようで、
《マッパ・ムンディ》 という15世紀に描かれた世界地図は、会場の外に展示されていました。




北と南が逆に描かれているのと、
四角ではなく円の中に世界が描かれているのが大きな特徴です。
15世紀なので、まだ発見されていないアメリカ大陸は描かれていません。
実は、こちらの地図は、黄金島ジパングが描かれた現存最古の地図。
どこにジパングがあるのかと探してみるも、なかなか見つりません。
正解は、時計でいう9時あたりの場所。





まるで隠れキャラのごとく、こそっと描かれていました。
しかも、形もめちゃくちゃ。
こんな辺鄙な場所を訪れようと思ったザビエルのチャレンジ精神に、改めて驚かされました。




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