この秋、三菱一号館美術館で開催されているのは、
“全員巨匠!フィリップス・コレクション展” という展覧会です。
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております)
アメリカを代表する市立美術館の一つ、フィリップス・コレクション。
あのニューヨーク近代美術館の開館よりも早く、
1921年にアメリカ初の近代美術館として開館しました。
そのコレクションの礎を築いたのが、ダンカン・フィリップス。
強い情熱と高い見識、そして、裕福な実業家生まれで財産もあった稀代の美術コレクターです。
彼が形成した近代美術コレクションは、世界有数の質の高さを誇っています。
今回の展覧会では、そんなフィリップス・コレクションから選りすぐりの75点が来日。
日本人に特に人気のあるモネや、
クロード・モネ 《ヴェトゥイユへの道》 1879年 油彩/カンヴァス フィリップス・コレクション蔵 The Phillips Collection
アンリ・ルソーの作品をはじめ、
アンリ・ルソー 《ノートル・ダム》 1909年 油彩/カンヴァス フィリップス・コレクション蔵 The Phillips Collection
セザンヌ、ゴーガン、ドラクロワ、ピカソ、マティスらの傑作の数々が展示されています。
右を見ても巨匠、左を見ても巨匠。
まさに、全員巨匠の看板に偽りなしの展覧会です。
と、そんな “フィリップス・コレクション展” の展覧会場を、
しばらく観進めていくにつれ、なんだか妙なことに気が付きました。
「あれっ?さっきの展示室にもブラックの作品があったけど、またここにも飾ってあるぞ。
あれあれ?ボナールの作品って、向こうにも展示されてなかったっけ?」
どうやら画家ごとに作品をまとめて展示してはいないようです。
そう言えば、思い返してみると、展覧会全体を通して、
作品は国籍ごとにも、流派ごとにも、まとまってはいないようでした。
さらには、制作年代順にも展示されていない模様。
それだけに、こんな不思議な光景も。
アングルを挟んで、その両脇にモディリアーニとゴッホ。
無秩序にもほどがある並べ方です。
このように、ちょっと違和感のある取り合わせが、展覧会のあちこちで見られました。
“もしかして、学芸員さんが適当に並べたのかな?”
と思いきや・・・。
実は、今回の “フィリップス・コレクション展” では、
これまでにあまり例がない試みとして、フィリップスの購入年順に作品が並べられているとのこと。
どのようにして、彼の美術コレクションが形成されていったのかがわかる展示となっているのです。
「若い時には、こういう作品が好きだったんだなァ」 とか。
「へー。このタイミングで、19世紀の名画を手に入れたんだ」 とか。
「ここに来て、またあの画家の作品を買ったのか。趣味が一周回ったのかな」 とか。
いろいろ思うことはありました。
自分がこれほどのコレクターになれる可能性は、ほぼ0%なので (笑)
コレクターがコレクションを形成していく感覚が、追体験できるのは、なんとも興味深かったです。
さてさて、今回出展されていた作品の中で、
個人的に印象的だったのは、カミーユ・コローの 《ジェンツァーノの眺め》 という一枚。
正座した青年が、ロバだかラマだかと向き合っています。
「お前さ、人間なんだから、ちゃんと考えて行動しろよ」
「はい。仰る通りでございます」
そんな会話が聞こえてきそうな一枚でした。
それから、ドラクロワによる 《パガニーニ》 も印象的な一枚。
パガニーニといえば、早弾きでお馴染みのバイオリニスト。
しかし、この絵に描かれたパガニーニは、
のんびりとバイオリンを演奏しているように見えます。
いや、もしかしたら、レイザーラモンHGのネタと同じ原理で、
余りにも速く弾き過ぎていて、逆にゆっくりに見えてるのかもしれませんね!
フェルメール展を筆頭に、ルーベンス展、ムンク展、ルオー展と、
例年以上に、巨匠の個展形式の展覧会が多喰開催されている今年の芸術の秋。
それだけに、巨匠の作品をちょっとずつ味わえる、
ビュッフェのような “フィリップス・コレクション展” は貴重な存在といえましょう。
あれもこれも楽しみたいというタイプの人に特にオススメの展覧会です。
1位を目指して、ランキングに挑戦中。
下のボタンをポチッと押して頂けると嬉しいです!
“全員巨匠!フィリップス・コレクション展” という展覧会です。
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております)
アメリカを代表する市立美術館の一つ、フィリップス・コレクション。
あのニューヨーク近代美術館の開館よりも早く、
1921年にアメリカ初の近代美術館として開館しました。
そのコレクションの礎を築いたのが、ダンカン・フィリップス。
強い情熱と高い見識、そして、裕福な実業家生まれで財産もあった稀代の美術コレクターです。
彼が形成した近代美術コレクションは、世界有数の質の高さを誇っています。
今回の展覧会では、そんなフィリップス・コレクションから選りすぐりの75点が来日。
日本人に特に人気のあるモネや、
クロード・モネ 《ヴェトゥイユへの道》 1879年 油彩/カンヴァス フィリップス・コレクション蔵 The Phillips Collection
アンリ・ルソーの作品をはじめ、
アンリ・ルソー 《ノートル・ダム》 1909年 油彩/カンヴァス フィリップス・コレクション蔵 The Phillips Collection
セザンヌ、ゴーガン、ドラクロワ、ピカソ、マティスらの傑作の数々が展示されています。
右を見ても巨匠、左を見ても巨匠。
まさに、全員巨匠の看板に偽りなしの展覧会です。
と、そんな “フィリップス・コレクション展” の展覧会場を、
しばらく観進めていくにつれ、なんだか妙なことに気が付きました。
「あれっ?さっきの展示室にもブラックの作品があったけど、またここにも飾ってあるぞ。
あれあれ?ボナールの作品って、向こうにも展示されてなかったっけ?」
どうやら画家ごとに作品をまとめて展示してはいないようです。
そう言えば、思い返してみると、展覧会全体を通して、
作品は国籍ごとにも、流派ごとにも、まとまってはいないようでした。
さらには、制作年代順にも展示されていない模様。
それだけに、こんな不思議な光景も。
アングルを挟んで、その両脇にモディリアーニとゴッホ。
無秩序にもほどがある並べ方です。
このように、ちょっと違和感のある取り合わせが、展覧会のあちこちで見られました。
“もしかして、学芸員さんが適当に並べたのかな?”
と思いきや・・・。
実は、今回の “フィリップス・コレクション展” では、
これまでにあまり例がない試みとして、フィリップスの購入年順に作品が並べられているとのこと。
どのようにして、彼の美術コレクションが形成されていったのかがわかる展示となっているのです。
「若い時には、こういう作品が好きだったんだなァ」 とか。
「へー。このタイミングで、19世紀の名画を手に入れたんだ」 とか。
「ここに来て、またあの画家の作品を買ったのか。趣味が一周回ったのかな」 とか。
いろいろ思うことはありました。
自分がこれほどのコレクターになれる可能性は、ほぼ0%なので (笑)
コレクターがコレクションを形成していく感覚が、追体験できるのは、なんとも興味深かったです。
さてさて、今回出展されていた作品の中で、
個人的に印象的だったのは、カミーユ・コローの 《ジェンツァーノの眺め》 という一枚。
正座した青年が、ロバだかラマだかと向き合っています。
「お前さ、人間なんだから、ちゃんと考えて行動しろよ」
「はい。仰る通りでございます」
そんな会話が聞こえてきそうな一枚でした。
それから、ドラクロワによる 《パガニーニ》 も印象的な一枚。
パガニーニといえば、早弾きでお馴染みのバイオリニスト。
しかし、この絵に描かれたパガニーニは、
のんびりとバイオリンを演奏しているように見えます。
いや、もしかしたら、レイザーラモンHGのネタと同じ原理で、
余りにも速く弾き過ぎていて、逆にゆっくりに見えてるのかもしれませんね!
フェルメール展を筆頭に、ルーベンス展、ムンク展、ルオー展と、
例年以上に、巨匠の個展形式の展覧会が多喰開催されている今年の芸術の秋。
それだけに、巨匠の作品をちょっとずつ味わえる、
ビュッフェのような “フィリップス・コレクション展” は貴重な存在といえましょう。
あれもこれも楽しみたいというタイプの人に特にオススメの展覧会です。
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