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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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田根 剛|未来の記憶

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現在、東京オペラシティ アートギャラリーで開催されているのは、
“田根 剛|未来の記憶 Archaeology of the Future ─ Digging & Building” という展覧会。




今最も注目を集める日本人建築家で、
フランスを拠点に活動する田根剛さんの美術館における初個展です。
建築に興味がなく、田根さんの名前を知らないという方でも、
シチズンとのコラボで展開された、こちらのインスタレーション・・・




《LIGHT is TIME》 は、何らかの形で目にしたことはあるのではないでしょうか。

そんな田根さんが、建築界で鮮烈なデビューを果たしたのは、弱冠26歳のときのこと。
バルト3国のエストニアの国立博物館の建築コンペに、
なんと当時無名だった日本人が優勝を果たしたことで、国内外で大きな話題となったのです。
博物館が建設される敷地は、旧ソ連の軍用滑走路だった場所。
田根さんは、その “負の遺産” である滑走路に建物を連続させるという大胆なプランを提案しました。




滑走路と繋がる建物は、徐々に傾斜があがっていき、最終的には高さ14mの屋根へ。
まるで大地から空に飛び立っていくような。
まるで過去から未来へと向かって進んでいくような。
希望を感じる建物です。

今回の展覧会には、スタッフが4ヶ月間かけて制作したという、
エストニア国立博物館の1/50サイズの巨大模型が展示されていました。




この模型を見られるだけも、展覧会に行く価値は大いにあり。
生涯でエストニアを訪れることは、おそらく無いはず。
是非この機会に、思う存分、目に焼き付けてくださいませ!


ちなみに、会場には他にも、田根さんが初めて設計したという住宅 〈A House for Oiso〉 や、




今年竣工したばかりの等々力の住宅 〈Todoroki House in Valley〉 など、




田根さんを代表する6つのプロジェクトが、
模型、イメージソースや資料とともに紹介されていました。
それらの中には、国立競技場のコンペのゴタゴタの時に、
最終選考案の一つとして、一躍脚光を浴びたあの 〈新国立競技場案 古墳スタジアム〉 も。




古墳スタジアムのCG完成予想図は、幾度となく目にしていましたが。
模型を目にするのは、今回が初めて。





模型とは言え、そのスケールや存在感に圧倒されてしまいました。
もし、この案が採用されていたなら、
東京オリンピック開催の際に、間違いなく世界に大きなインパクト与えたことでしょう。
ひょっとすると、世界的な古墳ブームが起こったかもしれません。

“今からでも、この古墳スタジアム案に変更にならないだろうか??”

と、ちょっと本気で考えてしまいました。
さてさて、気になるのは、この巨大な古墳スタジアムの内部。
スタンドは、一体、どんな感じになっているのでしょうか?
その様子は、下から潜ることで見ることができます。




なんだかコロシアムのような印象を受けました。
オリンピックというよりも、古代オリンピックの会場のようです。
2020年感 (?) は、あまり感じられませんでした。
そういう意味では、やはり当初のザハ・ハディドの案のほうが良かったのかも。


2020年といえば、2020年の開業を目指して、
現在絶賛準備中の現代美術館 〈弘前市芸術文化施設(仮)〉 も紹介されていました。





日本で初めてのシードルの生産拠点となった赤煉瓦倉庫をリノベーションするプロジェクトです。
田根さんが日本で手掛ける初の美術館建築ということで、早くも話題になっていますが、
この美術館の総合アドバイザーを務めるのは、あの森美術館館長の南條史生さんとのこと。
2020年に開館する際は、きっともっと大きな話題となっているはずです。
今から期待が高まります。


また、もう一つ国内で計画中のプロジェクトとして、
京都十条にオープンする複合施設 〈10 kyoto〉 も紹介されていました。
碁盤目状に整備された京都の街に合わせて、建物は十字型に。




古墳やピラミッドのように、段々が積み重なった建築です。
ちなみに、建物全体を覆うのは、京都で解体された家屋の古材なのだそう。




京都の歴史を歩んできた古材が、新しい建築へと受け継がれる。
なんと素敵な建築なのでしょう!
こちらも完成が今から楽しみです。


さてさて、展覧会のラストでは・・・




100を越える田根氏の全活動が時系列に沿って紹介されています。
未完に終わったプロジェクトも含めて、どれもこれもが魅力的でした。
実際の建築を観なくても、十分にワクワクすることができます。
田根剛さんが世界中から注目を集めている理由が、よくわかる展覧会でした。
星星




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