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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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原三溪-茶と美術へのまなざし

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今年2018年は、横浜を代表する実業家にして、
日本屈指の美術コレクターである原三 (1868~1939) の生誕150年という節目の年。
それを記念して、この秋、白金台の畠山記念館では、
“原三

-茶と美術へのまなざし” という展覧会が開催されています。




畠山記念館といえば、荏原製作所の創業者・畠山一清(号・即翁)が蒐集した茶道具を中心に、
書画、陶磁、漆芸、能装束など、日本、中国、朝鮮の古美術品を展示公開している美術館です。
一見すると、原三とは何の接点もないような気もしますが。
実は、原三の死後、コレクションの一部を畠山即翁が入手しており、
国宝に指定されている 《禅機図断簡 因陀羅筆 楚石梵琦賛》 や、


《禅機図断簡 因陀羅筆 楚石梵琦賛》  元時代 (注:展示は、10/30から11/25まで)


重要文化財の 《豊臣秀吉画像》 をはじめとする、


《豊臣秀吉画像》  桃山時代 (注:展示は、11/27から12/16まで)


それらの原三溪旧蔵の美術品は、畠山記念館の収蔵品の大きな柱となっています。
今回の展覧会では、実に20年ぶりに、原三溪コレクションをまとまった形で展示。
前後期にわけて、約50点を一挙大公開しています。
星


交流の深かった茶人の益田鈍翁に、
「三の茶は、いつでも名残の茶のようだ」 と言われていただけあって、


《絵瀬戸割高台筒茶碗 元贇》  江戸時代


《古瀬戸肩衝茶入 銘 畠山》  室町時代


全体的には、渋いテイストの作品が多かったですが、
中には、「えっ?草間作品?」 と思わず二度見してしまった、


《水玉透鉢》  江戸時代 (注:展示は、10/6から11/8まで)


野々村仁清作の 《水玉透鉢》 のように、現代的なセンスを感じる作品も。
共通していたのは、どことなく洒脱でダンディズムが感じられること。
俳優でいうと、舘ひろしのようなイメージでしょうか。
ハズキルーペが似合いそうな感じです (←?)。

個人的に一番惹きつけられたのは、本阿弥光悦作の 《赤楽茶碗 銘 李白》


《赤楽茶碗 銘 李白》  江戸時代  


すっきりと立ち上がったフォルムが、実にスタイリッシュです。
少しフワッと浮かんで見えるのも印象的で、吸い寄せられるように見入ってしまいました。
また、特に惹きつけられたのが、その色や肌合い。
パッと見は、紅葉を連想しましたが、
しばらく見つめていたら、古代の遺跡やグランドキャニオン、果ては木星を連想しました。
とてつもなくスケールの大きな茶碗です。


原三溪コレクションの大半は、茶道具ですが、
尾形光琳や酒井抱一といった絵画作品も、少数ながら含まれています。
その中でも特に印象的だったのは、雪村周継の 《竹林七賢図屏風》 でした。



《竹林七賢図屏風》  室町時代 (注:展示は、10/30から11/25まで)


画題や色味は、三溪好みであろう渋いテイストなのですが。
よくよく観ると、描かれた人物の顔が、なんとも個性的。
童子の顔なんて、地獄のミサワっぽいです。
左隻の一番左に描かれた天を仰ぐ人物の顔に関しては、
「えっ、その角度からなのに、目も鼻も口も見えるの?」 と、
もはや不安を覚えてしまうほどでした (笑)




ちなみに、展覧会には、三の書簡も数点展示されていました。
微笑ましかったのは、益田鈍翁に当てた詫び状。
茶会に招かれたのに、体調が悪くて出席できなかったようです。
その原因は、好物の鰻を食べ過ぎたから。
曰く、鰻の祟りとのことです (笑)
今はお腹に優しいものばかり食べているため、鰻を食べたい思いが強まっているというオチも。
そんな詫び状を読んでいたら、こちらまで鰻が食べたくなってきました。




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