Quantcast
Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
Viewing all articles
Browse latest Browse all 5005

タータン 伝統と革新のデザイン展

$
0
0
寒い日が続きますね。
マフラーや手袋のお世話になっている方も多いことでしょう。
さてさて、そのマフラーや手袋、柄は “タータン” ではありませんか?
もしくは、冬用のジャケットやコート、スカート、それらの柄が、“タータン” では?
また、ファッションだけにとどまらず、
クッションカバーやソファーカバー、ラグマットの柄が “タータン” というパターンも。


と、スコットランド発祥ながら、
日本人の生活にも当たり前に浸透しているタータン
そんなタータンに、本格的にスポットを当てた日本初の展覧会、
“タータン 伝統と革新のデザイン展” が、この冬、三鷹市美術ギャラリーで開催されています。


(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております)


会場には、タータンの伝統的なアフタヌーン・ドレスや、




タータンが登場する肖像画や挿絵、




さらには、ヴィヴィアン・ウエストウッドら、
現代のファッションデザイナーによる、タータンを取り入れたファッションなど、




タータンに関する美術作品や資料が、計約250点勢ぞろい。
まさに、タータン尽くしの展覧会です。
ちなみに、展覧会のチケットもタータン。
徹底しています。




ところで、そもそもタータンとは、どんな柄なのでしょうか?
展覧会の冒頭で、その定義が次のように紹介されていました。




・・・・・と、ここで一つの疑問が。
”タータン” と “チェック” は、何が違うのでしょうか??
すると、そんな僕の思考回路を読んでいたのか、
次のパネルでその違いについての説明がありました。
“チェック” とは、2色の小さな正方形で構成された格子柄とのこと。
日本でいう市松模様です。
そもそも英語圏では、“タータン” 以外の格子柄を “チェック” と呼んでいるのだとか。
つまり、“チェック” とは、“タータンではないもの”。
“タータンチェック” という言葉は、日本だけで使われている謎の言葉なのだそうです。
「“タータンチェック” 柄のものをください」 と、
もし外国の人に言ったら、「どっちだよ!」 とツッコまれること必至。
お勉強になりました。


勉強になったと言えば、タータンのバリエーションの多さも。
今回の展覧会では、100種類以上のタータンの布地が紹介されていました。
(注:これでも、全タータンのうちのほんの一部です)




地域や地方に根差したタータンもあれば、




日本でいう家紋のようにクラン (氏族) ごとのタータンや、




ブラックウォッチ・タータンをはじめとする軍隊用のタータンも。




さらには、企業が制服や販売促進、
コーポレート・アイデンティティに利用するコーポレート・タータンなるものも。
会場では、そのうちの数点が紹介されていました。




↑中央の “タータン” は、なんとあのブルドックソースのタータン。
黒は 「スパイス」 を、赤は 「トマト・りんご・にんじん」、
そして、緑は 「野菜」 (←漠然としてる) をイメージしているのだとか。
・・・・・・・茶色を使わなかったところが謎です。

ちなみに、日本の企業でタータンといえば、やはり何と言っても伊勢丹。
もちろん展覧会では、バッチリ紹介されていました。




今回の展覧会で、個人的にもっとも興味深かったのは、
日本人とタータンとの関わりを掘り下げたコーナーです。




その一環として、アイビールックや、




「タータン旋風」 を巻き起こしたベイ・シティ・ローラーズが紹介されていました。




世代ドンピシャの人には、たまらないはず。
世代でない僕らにとっては、一周回って新鮮でした。


ぶっちゃけ、会場を訪れるまで、
タータンだけで展覧会が成立するのか、半信半疑だったのですが。
予想以上に、奥深く、内容の濃い展覧会でした。
星星


そうそう。展覧会場も、タータン尽くしでしたが、
当然のように、お土産コーナーも、タータン尽くし。
本場イギリスのタータンのマフラーやネクタイ、ノートなどが販売されています。
また、展覧会オリジナルグッズとして、こんなアイテムも。




爽やかなミントカラーの “ミントタータン” は、
なんと、この展覧会に合わせて制作されたオリジナルのタータン。
しかも、スコットランド・タータン登記所に、
ちゃんと申請し、認定を受けた 「正当」 なタータンです。




タータンの展覧会のために、新たなタータンを生み出すなんて。
どこまでも徹底した展覧会でした。




1位を目指して、ランキングに挑戦中。
下のボタンをポチッと押して頂けると嬉しいです!

Blogランキングへ  にほんブログ村 美術ブログへ

Viewing all articles
Browse latest Browse all 5005

Trending Articles