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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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棗にまつわるエトセトラ

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茶道具のひとつで、抹茶を入れる木製漆塗の蓋物容器。
それが、棗 (なつめ) です。
掌の中におさまる、その控えめなサイズ感からか、
これまであまりスポットが当てられることがなかった棗。
そんな棗を大々的にフィーチャーした展覧会が、
現在、東京国立近代美術館工芸館で開催されています。
その名も・・・




“棗にまつわるエトセトラ”
間違いなく、PUFFYを意識しています (笑)




やや狙った感がある展覧会タイトルですが、
もしオーソドックスに、“棗コレクション展” であったら、
おそらく、足を運ぼうという気になっていなかったことでしょう。
そういう意味では、東京国立近代美術館工芸館の作戦勝ちです (←?)。
星


さてさて、そんな展覧会の会場には、
東京国立近代美術館工芸館が所蔵する近現代の工芸作家による棗がズラリ勢ぞろい。




木製漆塗の伝統的なスタイルの棗はもちろん、




竹工芸のものであったり、




青銅製のものであったり、




さまざまなタイプの棗が紹介されています。
これほどまでに棗にバリエーションがあったとは!
とに~の知らない棗の世界を存分に堪能いたしました。


今回出展されていた棗の中で、特に印象的だったものをいくつかご紹介いたしましょう。
まずは、黒田辰秋の 《螺鈿白蝶縞中次》 です。




どことなく近未来的でSFチックなデザイン。
思わず、『スター・ウォーズ』 のミレニアム・ファルコンを連想してしまいました。
蓋を開けると、中からレーザーやミサイルが出てきそうな気がしてなりません。

同じく、黒田辰秋による 《白檀塗四稜茶器》




こちらも、かなり独創的なデザインです。
カッコイイですが、茶室には合わないような・・・。
茶器というよりも、ヘアワックスのパッケージのような印象を受けました。


続いては、赤地友哉の 《木地糸目旅棗》




パッと見は気づかないですが、ジーッと見ていると、
表面に糸目と呼ばれる極めて細かいラインが、びっしり彫られているのが見て取れます。
さらに、木目に注目してみると、球体の中心から同心円状に広がっているのが見て取れます。
シンプルながら、超絶技巧な棗です。


超絶技巧といえば、松波保真によるこちらの棗も。




シンプルすぎて、どこがどう超絶技巧なのか、パッと見、全然わかりません。
ジーッと見ても・・・・やっぱりわかりません (汗)
実はこの棗は、あまりにも漆の塗りが精巧すぎて、
どれだけ目を凝らしても、蓋と身の境目が見えないのです。
地味だからと素通り禁止です。


出展されていた棗の中で、もし1点貰えるなら、中野孝一さんの 《蒔絵棗 蛍》 を。




さらにもう1点貰えるなら、田口義明さんの 《蒔絵棗 金魚》 を所望しようと思います。
(↑たぶん貰えないけど)




ちなみに、個人的な感想ですが、




せっかくであれば、棗だけがズラーっと並んだ展覧会で良かったような。
棗以外のエトセトラが、意外と数多く展示されていました。
エトセトラのほうが、棗よりもサイズが大きいので、
どうしても、エトセトラに目がいってしまいがちになります。
棗が主役なのに。




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