昨年末、東京を・・・いや、日本を代表する現代アートの美術館、
原美術館が閉館するというニュースが発表され、アート界に大きな激震が走りました。
何かの誤報であることを期待したのですが、どうやら事実のよう。
落ち込んでいたところで、閉館が撤回されるわけではないので、
2020年末の閉館まで、めいっぱい原美術館を応援したいと思います。
さてさて、そんな原美術館で、現在開催されているのは、
“「ソフィ カル ─ 限局性激痛」原美術館コレクションより” という展覧会。
こちらは、1999年から2000年にかけて、
原美術館で開催されたフランスのアーティスト、ソフィ・カルの個展をフル再現した展覧会です。
演劇の世界では、そこまで珍しくないリバイバル上演ですが、
美術の世界でのリバイバル展覧会というのは、あまり聞いたことがありません。
19年前の展覧会を訪れた人にとっては、懐かしく感じられるでしょうし、
19年前の展覧会を逃した人にとっては、降って湧いたような貴重な機会といえましょう。
展覧会は、二部構成。
まず1階の展示室では、奨学金を得て、
日本に滞在できることになったカルの約90日間の様子が、写真を交えて紹介されています。
「ソフィ カル―限局性激痛」 1999-2000 原美術館での展示風景
寺社仏閣を巡ったり、
Sophie Calle Exquisite Pain 1984-2003 ©Sophie Calle / ADAGP, Paris 2018 and JASPAR, Tokyo, 2018
温泉でしっぽりしたり、
Sophie Calle Exquisite Pain 1984-2003 ©Sophie Calle / ADAGP, Paris 2018 and JASPAR, Tokyo, 2018
占いをしたり、おみくじをしたり、服を買ったり…etc
奨学金で来日したものの、「芸術活動はしてるのかいな?」 と、
こちらが心配になるくらいに、カルは日本観光を満喫していました (笑)
ちなみに、写真とともに手紙も展示されています。
こちらは、フランスに残してきた最愛の彼からの手紙。
“僕の可愛いお嫁さん” 的なフレーズが何度も登場していました (←ヒューヒューだよ!)
さてさて、気になるのはカルの写真や手紙に登場する、謎のスタンプ。
一日進むごとに、スタンプの数字は1つずつ減っていきます。
よく見ると、「DAYS TO UNHAPPINESS」 の文字。
そう。このスタンプの数字は、ソフィ・カルの人生に降り掛かる最大の不幸へのカウントダウン。
“〇日後、あんな不幸が起こるとは。その時の私は知る由もなかったのです” 的な感じです。
では、カウントダウン最終日、カルの身に一体何が起きたというのでしょうか?
その日、日本での滞在を終えたカルは、
待ちに待った最愛の彼と再会するため、約束していたインドのデリーへと降り立ちました。
しかし、デリーの空港で、カルはとんでもないメッセージを受け取ることになるのです。
「Mr.●●氏は、事故のため入院し、貴殿とデリーで落ちあえず。
パリのボブ (※カルの父) に連絡取られたし。よろしく」
恋人が事故で入院するという衝撃の展開!
軽い怪我なの?それとも、重症?もしくは、もっと最悪の事態も・・・?!
と、ハラハラドキドキさせられたところで、第2部に続きます。
続きが気になって、足早で2階の展示室へ!
そこには、びっしりと写真とテキストが展示されていました。
「ソフィ カル―限局性激痛」 1999-2000 原美術館での展示風景
何が書かれているのか、テキストをじっくりと読んでみます。
すると、驚愕の事実が判明いたしました。
「ソフィ カル―限局性激痛」 1999-2000 原美術館での展示風景
なんと恋人は事故に遭っておらず、ましてや入院もしていなかったのです。
(実際は、足の爪が指に食い込んだのを処置してもらっただけ)
嘘のメッセージを送った理由は、カルが日本に滞在している間に、他に好きな女性が出来たから。
デリーにまで行く気は、さらさら無かったというわけです。
最愛の恋人に裏切られたショックを、カルは赤裸々に文章にしています。
そして、そのテキストを刺繍しています。
針でチクチク刺すような痛み、ということなのでしょうか。
さてさて、その隣にあったテキストに目を向けると、
そこには、カルではない人物の不幸体験が刺繍で書かれています。
そのまたお隣は、カルの失恋話。
失恋の内容は同じですが、テキストはやや変化がありました。
そう、第2部で紹介されているのは、
“カルが他人に失恋話を披露→その相手から最も体験談を聞く” というターンを繰り返し、
カルが失恋で受けた心の傷を癒していく過程。
他人と不幸を共有することで、また、失恋から日にちが経つことで。
カルのテキストの内容は、どんどんと変化していきます。
はじめは、くどくどした内容でしたが、
最後のほうには、サバサバとした内容に。
こうして人は、失恋から立ち直っていけるのですね。
失恋経験のあるすべての男女が共感すること必至の展覧会です。
ちなみに。
間違いなく、カルの元カレに100%非があるわけですが。
事故で入院という、すぐバレるしょうもない嘘をついたばっかりに、
カルの悲しみ、怒りの火に油を注ぐことになり、結果、このようにアート作品の題材にされてしまい、
作品を見たすべての人々の敵となってしまったことに関しては、可哀そうに感じなくもありません。
別れ話は計画的に。
1位を目指して、ランキングに挑戦中。
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原美術館が閉館するというニュースが発表され、アート界に大きな激震が走りました。
何かの誤報であることを期待したのですが、どうやら事実のよう。
落ち込んでいたところで、閉館が撤回されるわけではないので、
2020年末の閉館まで、めいっぱい原美術館を応援したいと思います。
さてさて、そんな原美術館で、現在開催されているのは、
“「ソフィ カル ─ 限局性激痛」原美術館コレクションより” という展覧会。
こちらは、1999年から2000年にかけて、
原美術館で開催されたフランスのアーティスト、ソフィ・カルの個展をフル再現した展覧会です。
演劇の世界では、そこまで珍しくないリバイバル上演ですが、
美術の世界でのリバイバル展覧会というのは、あまり聞いたことがありません。
19年前の展覧会を訪れた人にとっては、懐かしく感じられるでしょうし、
19年前の展覧会を逃した人にとっては、降って湧いたような貴重な機会といえましょう。
展覧会は、二部構成。
まず1階の展示室では、奨学金を得て、
日本に滞在できることになったカルの約90日間の様子が、写真を交えて紹介されています。
「ソフィ カル―限局性激痛」 1999-2000 原美術館での展示風景
寺社仏閣を巡ったり、
Sophie Calle Exquisite Pain 1984-2003 ©Sophie Calle / ADAGP, Paris 2018 and JASPAR, Tokyo, 2018
温泉でしっぽりしたり、
Sophie Calle Exquisite Pain 1984-2003 ©Sophie Calle / ADAGP, Paris 2018 and JASPAR, Tokyo, 2018
占いをしたり、おみくじをしたり、服を買ったり…etc
奨学金で来日したものの、「芸術活動はしてるのかいな?」 と、
こちらが心配になるくらいに、カルは日本観光を満喫していました (笑)
ちなみに、写真とともに手紙も展示されています。
こちらは、フランスに残してきた最愛の彼からの手紙。
“僕の可愛いお嫁さん” 的なフレーズが何度も登場していました (←ヒューヒューだよ!)
さてさて、気になるのはカルの写真や手紙に登場する、謎のスタンプ。
一日進むごとに、スタンプの数字は1つずつ減っていきます。
よく見ると、「DAYS TO UNHAPPINESS」 の文字。
そう。このスタンプの数字は、ソフィ・カルの人生に降り掛かる最大の不幸へのカウントダウン。
“〇日後、あんな不幸が起こるとは。その時の私は知る由もなかったのです” 的な感じです。
では、カウントダウン最終日、カルの身に一体何が起きたというのでしょうか?
その日、日本での滞在を終えたカルは、
待ちに待った最愛の彼と再会するため、約束していたインドのデリーへと降り立ちました。
しかし、デリーの空港で、カルはとんでもないメッセージを受け取ることになるのです。
「Mr.●●氏は、事故のため入院し、貴殿とデリーで落ちあえず。
パリのボブ (※カルの父) に連絡取られたし。よろしく」
恋人が事故で入院するという衝撃の展開!
軽い怪我なの?それとも、重症?もしくは、もっと最悪の事態も・・・?!
と、ハラハラドキドキさせられたところで、第2部に続きます。
続きが気になって、足早で2階の展示室へ!
そこには、びっしりと写真とテキストが展示されていました。
「ソフィ カル―限局性激痛」 1999-2000 原美術館での展示風景
何が書かれているのか、テキストをじっくりと読んでみます。
すると、驚愕の事実が判明いたしました。
「ソフィ カル―限局性激痛」 1999-2000 原美術館での展示風景
なんと恋人は事故に遭っておらず、ましてや入院もしていなかったのです。
(実際は、足の爪が指に食い込んだのを処置してもらっただけ)
嘘のメッセージを送った理由は、カルが日本に滞在している間に、他に好きな女性が出来たから。
デリーにまで行く気は、さらさら無かったというわけです。
最愛の恋人に裏切られたショックを、カルは赤裸々に文章にしています。
そして、そのテキストを刺繍しています。
針でチクチク刺すような痛み、ということなのでしょうか。
さてさて、その隣にあったテキストに目を向けると、
そこには、カルではない人物の不幸体験が刺繍で書かれています。
そのまたお隣は、カルの失恋話。
失恋の内容は同じですが、テキストはやや変化がありました。
そう、第2部で紹介されているのは、
“カルが他人に失恋話を披露→その相手から最も体験談を聞く” というターンを繰り返し、
カルが失恋で受けた心の傷を癒していく過程。
他人と不幸を共有することで、また、失恋から日にちが経つことで。
カルのテキストの内容は、どんどんと変化していきます。
はじめは、くどくどした内容でしたが、
最後のほうには、サバサバとした内容に。
こうして人は、失恋から立ち直っていけるのですね。
失恋経験のあるすべての男女が共感すること必至の展覧会です。
ちなみに。
間違いなく、カルの元カレに100%非があるわけですが。
事故で入院という、すぐバレるしょうもない嘘をついたばっかりに、
カルの悲しみ、怒りの火に油を注ぐことになり、結果、このようにアート作品の題材にされてしまい、
作品を見たすべての人々の敵となってしまったことに関しては、可哀そうに感じなくもありません。
別れ話は計画的に。
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