曽我蕭白に、
曽我蕭白 《雪山童子図》 紙本着色 一幅 169.8×124.8cm 明和元年(1764)頃 三重・継松寺
歌川国芳に、
歌川国芳 《宮本武蔵の鯨退治》 大判錦絵三枚続 弘化4年(1847)頃 個人蔵
狩野山雪に、長沢芦雪に、岩佐又兵衛に、
さらには、もっとも集客力のある日本の芸術家といっても過言ではない伊藤若冲に。
伊藤若冲 《紫陽花双鶏図》 絹本着色 一幅 139.4×85.1cm 江戸時代中期(18世紀) 米国・エツコ&ジョー・プライスコレクション
江戸時代に活躍したスーパースター絵師たちが大集結した、
まさにミラクルな展覧会が、現在、東京都美術館で開催されています。
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております)
その名も、“奇想の系譜展 江戸絵画ミラクルワールド”。
会期は、4月7日までです。
さてさて、展覧会のタイトルになっている 『奇想の系譜』 とは・・・
日本を代表する美術史家・辻惟雄氏によって、
今から半世紀近く前の1970年に刊行された伝説の一冊。
この本で取り上げられていたのが、
曽我蕭白、歌川国芳、狩野山雪、長沢芦雪、岩佐又兵衛、伊藤若冲の6人です。
今でこそ、日本各地で展覧会に引っ張りだこの6人ですが。
『奇想の系譜』 が出版された当時は、
アカデミックな美術史の世界では、彼らは、主流ではなく異端扱いされていました。
そんな彼らの魅力を “奇想” と定義し、スポットを当てたのが、『奇想の系譜』。
もし、この一冊が無かったら、今の若冲ブーム、
いや、そもそも江戸絵画ブームすらなかったかもしれないのです。
さてさて、今回の展覧会では、6名に加えて、
サントリー美術館での大々的な回顧展が記憶に新しい江戸琳派の絵師・鈴木其一と、
2012年に開催されたBunkamuraザ・ミュージアムでの回顧展が大きな話題となった白隠慧鶴、
2名の新メンバー (?) が加入。
その奇想ぶりをいかんなく発揮しています。
もちろん、『奇想の系譜』 のオリジナルメンバー (?) 6人も負けてはいません。
代表作の数々に加え、新発見&初公開の貴重な作品も特別に出展されていました。
そのうちの1点が、長沢芦雪の 《猿猴弄柿図》 。
長沢芦雪 《猿猴弄柿図》 絹本着色 一幅 104.0×37.7cm 江戸時代中期(18世紀) 個人蔵
大正4年の売立目録 (カタログ) に掲載されていたもので、その後、行方知れず。
今回の展覧会の調査で、再発見されたそうです。
柿を手に恍惚の表情を浮かべる猿の姿が、なんとも印象的。
見れば見るほど、志村けんに見えてきます。
印象的と言えば、狩野山雪の 《梅花遊禽図襖絵》 も。
狩野山雪 《梅花遊禽図襖絵》 紙本金地着色 四面 各184.0×94.0cm 寛永8年(1631) 京都・天球院
老梅の幹が、なんとも奇怪なことになっています。
曲がって曲がって、さらに曲がって。
クランク状態です。
何でまたこんなにもグイグイ幹と枝を曲げたのか。
じーっと見ていたら、中央の2つの引手が目玉に見えてきました。
枝で形どられた金箔の部分と併せたら、ウサギのようにも見えてきました。
奇想の絵を観過ぎて、想像力まで奇想になってきたようです。
他にも、初公開となる若冲の 《梔子雄鶏図》 や、
2月19日から公開となる岩佐又兵衛の 《妖怪退治図屏風》 など、見逃せない作品が多数出品。
「こんな江戸絵画展が観たかった!」
まさに王道を行く展覧会でした。
3ツ星。
あえて一つだけ難を挙げるなら、
“ミラクルワールド” ってワードが、ちょいダサいことくらいなものです (笑)
『奇想の系譜展』 が刊行された昭和の当時には、
誰も開催しようと思わなかった展覧会が、平成のラストに実現したことも感慨深いものがあります。
次の元号では、どんな絵師にスポットが当てられるのでしょうか。
ちなみに、会場のラストでは、
横尾忠則さんが本展のために制作した特別作品が展示されていました。
出品作家のうち6名の絵師の作品部分を、コラージュしたものとのことですが。
横尾忠則さんのオリジナリティのほうが、前面に押し出ていました。
さすが平成の奇想。
┃会期:2019年2月9日(土)〜4月7日(日)
┃会場:東京都美術館
┃https://kisou2019.jp/
1位を目指して、ランキングに挑戦中。
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曽我蕭白 《雪山童子図》 紙本着色 一幅 169.8×124.8cm 明和元年(1764)頃 三重・継松寺
歌川国芳に、
歌川国芳 《宮本武蔵の鯨退治》 大判錦絵三枚続 弘化4年(1847)頃 個人蔵
狩野山雪に、長沢芦雪に、岩佐又兵衛に、
さらには、もっとも集客力のある日本の芸術家といっても過言ではない伊藤若冲に。
伊藤若冲 《紫陽花双鶏図》 絹本着色 一幅 139.4×85.1cm 江戸時代中期(18世紀) 米国・エツコ&ジョー・プライスコレクション
江戸時代に活躍したスーパースター絵師たちが大集結した、
まさにミラクルな展覧会が、現在、東京都美術館で開催されています。
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております)
その名も、“奇想の系譜展 江戸絵画ミラクルワールド”。
会期は、4月7日までです。
さてさて、展覧会のタイトルになっている 『奇想の系譜』 とは・・・
奇想の系譜 (ちくま学芸文庫) 1,404円 Amazon |
日本を代表する美術史家・辻惟雄氏によって、
今から半世紀近く前の1970年に刊行された伝説の一冊。
この本で取り上げられていたのが、
曽我蕭白、歌川国芳、狩野山雪、長沢芦雪、岩佐又兵衛、伊藤若冲の6人です。
今でこそ、日本各地で展覧会に引っ張りだこの6人ですが。
『奇想の系譜』 が出版された当時は、
アカデミックな美術史の世界では、彼らは、主流ではなく異端扱いされていました。
そんな彼らの魅力を “奇想” と定義し、スポットを当てたのが、『奇想の系譜』。
もし、この一冊が無かったら、今の若冲ブーム、
いや、そもそも江戸絵画ブームすらなかったかもしれないのです。
さてさて、今回の展覧会では、6名に加えて、
サントリー美術館での大々的な回顧展が記憶に新しい江戸琳派の絵師・鈴木其一と、
2012年に開催されたBunkamuraザ・ミュージアムでの回顧展が大きな話題となった白隠慧鶴、
2名の新メンバー (?) が加入。
その奇想ぶりをいかんなく発揮しています。
もちろん、『奇想の系譜』 のオリジナルメンバー (?) 6人も負けてはいません。
代表作の数々に加え、新発見&初公開の貴重な作品も特別に出展されていました。
そのうちの1点が、長沢芦雪の 《猿猴弄柿図》 。
長沢芦雪 《猿猴弄柿図》 絹本着色 一幅 104.0×37.7cm 江戸時代中期(18世紀) 個人蔵
大正4年の売立目録 (カタログ) に掲載されていたもので、その後、行方知れず。
今回の展覧会の調査で、再発見されたそうです。
柿を手に恍惚の表情を浮かべる猿の姿が、なんとも印象的。
見れば見るほど、志村けんに見えてきます。
印象的と言えば、狩野山雪の 《梅花遊禽図襖絵》 も。
狩野山雪 《梅花遊禽図襖絵》 紙本金地着色 四面 各184.0×94.0cm 寛永8年(1631) 京都・天球院
老梅の幹が、なんとも奇怪なことになっています。
曲がって曲がって、さらに曲がって。
クランク状態です。
何でまたこんなにもグイグイ幹と枝を曲げたのか。
じーっと見ていたら、中央の2つの引手が目玉に見えてきました。
枝で形どられた金箔の部分と併せたら、ウサギのようにも見えてきました。
奇想の絵を観過ぎて、想像力まで奇想になってきたようです。
他にも、初公開となる若冲の 《梔子雄鶏図》 や、
2月19日から公開となる岩佐又兵衛の 《妖怪退治図屏風》 など、見逃せない作品が多数出品。
「こんな江戸絵画展が観たかった!」
まさに王道を行く展覧会でした。
3ツ星。
あえて一つだけ難を挙げるなら、
“ミラクルワールド” ってワードが、ちょいダサいことくらいなものです (笑)
『奇想の系譜展』 が刊行された昭和の当時には、
誰も開催しようと思わなかった展覧会が、平成のラストに実現したことも感慨深いものがあります。
次の元号では、どんな絵師にスポットが当てられるのでしょうか。
ちなみに、会場のラストでは、
横尾忠則さんが本展のために制作した特別作品が展示されていました。
出品作家のうち6名の絵師の作品部分を、コラージュしたものとのことですが。
横尾忠則さんのオリジナリティのほうが、前面に押し出ていました。
さすが平成の奇想。
┃会期:2019年2月9日(土)〜4月7日(日)
┃会場:東京都美術館
┃https://kisou2019.jp/
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