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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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第22回岡本太郎現代芸術賞(TARO賞)

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岡本太郎の遺志を継ぎ、「時代を創造する者は誰か」 を問うための賞。
それが、岡本太郎現代芸術賞。通称TARO賞です。
その第22回目、平成最後となるTARO賞の入選作品が、
例によって、今年も川崎市岡本太郎美術館に一堂に会しています。

応募総数は、416作品。
厳正な審査を経て入選したのは、わずか25作品。
その中で、栄えあるグランプリ、岡本太郎賞に輝いたのは、
檜皮一彦さんによる 《hiwadorome: type ZERO spec3》 という作品です。
アゲアゲのミュージックに、無数のレーザーライト。
まるでクラブのような空間の中央に聳え立っていたのが、こちらの巨大なオブジェ。




近づいてよく観てみると、その正体は・・・・・




なんと車椅子を何台も積み上げたものでした。
実は、四肢に障害をもつ檜皮さん。
周囲の壁では、自身の身体を題材にした映像作品も紹介されていました。
障害を “個性” と捉え、ポジティブに制作された作品は、圧倒的なパワーに満ちています。
檜皮さんに手を差し伸べてあげよう、だなんておこがましい考えでした。
むしろ、檜皮さんがこの作品を通じて、人々に手を差し伸べているような気がします。
岡本太郎賞を受賞するのも納得の作品でした。
星


準グランプリに当たる岡本敏子賞を受賞したのは、
北海道生まれのアーティスト風間天心さんの 《Funetasia》 です。




祭壇の中央に飾ってあったのは、『平成』 の文字。




そう。こちらは、今年4月末にお別れとなる 『平成』 という元号の葬儀です。
しかも、ただ単に祭壇をしつらえただけでなく、
4月末には、供養箱に入れられた「手放したいもの」 とともに、「お焚き上げ」 するのだそう。




そういうていのパフォーマンスなのかと思いきや、
作者の風間天心さんはアーティストでもあり、禅宗の僧侶でもあります。
つまり、ガチの葬儀。
平成最後となる岡本太郎現代芸術賞に相応しい作品です。


また、特別賞は、武内カズノリさん、田島大介さん、國久真有さんの3名が受賞。
個人的には、國久真有さんの 《BPM》 という作品が特に気になりました。




ひたすら腕をグルグル回して描く。
名付けて、ストローク画法を、1、2ヶ月続けることで、作品は完成するのだそうです。
中央の部分が空白のままなのは、その部分には手が届かなかったから。
描くためには、なんとかして腕を伸ばすしかないのです。
ところで、手前に、あきらかに描きかけの作品がありますね。
なんでも、期間中毎日、國久さんは会場で制作を続けるのだそう。
生ストローク画法を目の当たりにするチャンスです。


さてさて、今回惜しくも受賞を逃した作品の中にも、印象的なものが数多くありました。
例えば、藤原史江さんの 《森羅万象》 という作品シリーズ。




黒い紙に白い絵の具、もしくはチョークで描いた作品なのかと思いきや。
実は、こちらは黒いサンドペーパーに、石を擦り付けて描いたもの。
絵の横に展示されているのは、




実際に制作に使われ、擦り減ってしまった石です。
なお、こちらの石は、山の石とのこと。
山の石を使って、山が描かれているわけです。
会場には、他にも川の石で描かれた川の絵と、枯れ枝で描かれた木の絵が展示されていました。
それぞれが、まさに身を粉にして、
かつて属していた光景をサンドペーパー状に定着させています。


続いて紹介したいのは、還暦を迎えたベテランアーティスト本堀雄二さん。
発表されていたのは、薬師三尊と十二神将をモチーフにした作品です。




木製でもなければ、金属製でもなし。
その素材の正体は・・・




なんと使用済みの段ボールです!
ありそうでなかった発想。そして、何よりも、完成度の高さ。
受賞してもおかしくない作品だと思うのですが、
強いて言うなら、タイトルのセンスがいま一つ・・・。
その名も、《捨てる紙あれば、拾う神あり》
完全に親父ギャグ。


入選作の中には、会場を飛び出していたものも。




井口雄介さんの 《Para-site-flame-work》 という作品です。
岡本太郎美術館という建築物そのものを巻き込む作品とのこと。
発想は面白いと思ったのですが、
インパクトに関して言えば、その後ろにある岡本太郎作品に負けていたような。
やはり太郎さんはスゴイ。


ちなみに。
入選者の名前が発表された段階から、
個人的に注目していたのが、革命アイドル暴走ちゃん。
昨年の岡本太郎賞を受賞したのが、さいあくななちゃんだったので、
「2年連続で、“〇〇ちゃん” が受賞したりして?」 と、ひそかに楽しみにしていました。
そんな革命アイドル暴走ちゃんが発表していたのは、《暴走の肉塊》 という作品。




名は体を表す、とは、まさにこのこと。
カオスな作品でした。。。
この空間にボー然としていると、
どこからともなく、地下アイドルみたいな恰好をした女性が現れました。

「作品を観てくれてありがとうございます♪
 あとで、ここで私たちのパフォーマンスがあるので、是非観に来てくださいね♪」

「・・・・・・・はぁ」

苦手とするノリに、困惑する僕。
さりげなく、その場を離れることにしました。
・・・・・・・が、その数十分後。
会場の別の場所で、再び地下アイドルみたいな女性とばったり遭遇。
《暴走の肉塊》 に戻るハメになりました。
で、パフォーマンスがスタート。




・・・・・・・・僕は何を見させられているんだろう??

と、次の瞬間、意外な展開が。
彼女たちが、いきなり衣装を脱ぎ捨てたではないですか!
その下に着ていたのは、〇〇〇〇 (←ネタバレを防ぐため伏字にしています)。
そう言えば、パフォーマンスの冒頭に、
「普段は劇団をやってます」 と、彼女たちは語っていましたが。
もしかしたら、ワハハ本舗の人たちなのかもしれません。

数分後、まさに暴走としか言いようのないパフォーマンスが終了。
それと同時に、メンバーの一人に完全にロックオン。
そして、僕のほうに走ってくるなり、
「今日は来てくれてありがとうございました♪」 と言って、これを手渡されました。




手書きのメッセージに、思わずキュン (←単純なヤツ!)。
パフォーマンスのノリには付いていけませんが、
革命アイドル暴走ちゃんを、応援していきたいと思います。




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