国立西洋美術館の本館は、「ル・コルビュジエの建築作品―近代建築運動への顕著な貢献」として、
2016年に、日本国内では20番目、都内では初となるユネスコ世界文化遺産に登録されました。
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そんな国立西洋美術館は、今年でめでたく開館60周年を迎えます。
それを記念して、現在開催されているのが・・・・
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パリ、ジャコブ通りの自宅におけるル・コルビュジエと 《多数のオブジェのある静物》(部分) 1923年
パリ、ル・コルビュジエ財団 ©FLC/ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2018 B0365
国立西洋美術館の本館の生みの親ル・コルビュジエを主役に据えた展覧会。
“ル・コルビュジエ 絵画から建築へ―ピュリスムの時代” です。
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会場となるのは、企画展示室ではなく、もちろん本館。
普段は、常設展が行われている本館展示室を全面的に使って開催されています。
いつもはロダンの彫刻が数点設置されている19世紀ホールも・・・
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(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております。なお、1階19世紀ホールは撮影可です)
すっかり、ル・コルビュジエ展モードにシフトチェンジされていました。
ちなみに、20世紀を代表するスター建築家ゆえに、
これまで日本でも数多くのル・コルビュジエ展が開催されてきましたが。
ル・コルビュジエが設計した空間で、
大々的なル・コルビュジエ展が開催される機会は、そうそうありません。
実は、世界的に見ても、激レアな展覧会なのです。
また、珍しいといえば、今回のル・コルビュジエ展は、
彼の建築には、それほどスポットが当てられていません。
ル・コルビュジエ展なのに。
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模型や写真、図面などは展示されてはいましたが、
展覧会全体の出品数の半数くらいにとどまる程度でした。
どうやらオーソドックスなル・コルビュジエの展覧会ではないようです。
(建築の代わりに) 焦点が当てられていた。
何が?
ー絵画が。
そう。今回のル・コルビュジエ展の大きな見どころは、ル・コルビュジエの絵画。
建築展というよりも、絵画展の要素が強い展覧会なのです。
実は、建築家としてブレイクを果たす前、若き頃のル・コルビュジエは、
本名のシャルル=エドゥアール・ジャンヌレ名義で、ピュリスムの画家としても活動していました。
今回の展覧会では、そんなル・コルビュジエ・・・もとい、
シャルル=エドゥアール・ジャンヌレの絵画作品が数多く紹介されています。
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シャルル=エドゥアール・ジャンヌレ(ル・コルビュジエ) 《多数のオブジェのある静物》 1923年
油彩、カンヴァス 114×146cm パリ、ル・コルビュジエ財団 ©FLC/ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2018 B0365
ル・コルビュジエファン、建築ファンの目には、新鮮に映ること請け合い。
建築に興味があまり持てなかった絵画ファンにとっても、抵抗なく楽しめる展覧会です。
また、ピュリスム (純粋主義) に大きな影響を与えた、
フアン・グリスやフェルナン・レジェらキュビスムの作家の作品も併せて紹介されていました。
(大人の都合で画像は掲載できませんが、キュビスムを代表するブラックやピカソの作品も紹介されています)
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ピュリスムとキュビスム。
どちらも、瓶やバイオリンといった立体のモチーフを、ペタンと平面的に描いています。
2つの主義には、そう大差がないような印象を受けますが、
よくよく見比べてみると、ちゃんと違いがあることに気が付きます。
モチーフを解体したり、変形させたり、展開させたり、
その結果、描かれたモチーフが何かわからなくなってしまうこともあるキュビスム。
それに対して、ピュリスムは、時にやや強引な描き方はあるものの、
モチーフが何かわかるように描き、それらを組み合わせて画面を構成しています。
さらに、全体的に抑えめな色遣いのキュビスムに対し、
ピュリスムは、パステルカラーを基調とし、華やかでポップな色遣いなのも大きな特徴です。
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鑑賞していて、純粋に楽しかったのは、ピュリスム。
この展覧会を機に、ピュリスムブームが起こるかもしれません。
ちなみに。
今回出展されていたシャルル=エドゥアール・ジャンヌレの作品の中で、
もっとも印象に残っているのは、31歳の時にパリで初めて描いたという油彩画です。
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砂漠のような場所に、ポツンと一軒家。
のちの建築家ル・コルビュジエを彷彿とさせるモダニズムの白い住宅建築が建っています。
・・・・・・・・・と、信じて疑わなかったのですが。
キャプションを思わず二度見!
そこには、《暖炉》 というタイトルが書かれていました。
どうやら左下に描かれているのは、マントルピースの一部とのこと。
暖炉の上に本やら何やらが置かれている情景を切り取って描いた作品だったようです。
ル・コルビュジエに、まんまとひっかけられました (←?)。
さてさて、今回の展覧会には、もう一人の主人公ともいうべき人物がいます。
その名は、ル・コルビュジエとともに、
ピュリスム運動を主張したフランスの画家アメデ・オザンファン (1886~1966)。
ル・コルビュジエとともに建築に関する雑誌や書籍を発刊したり、
若き日のル・コルビュジエが、そのアトリエ兼自宅を設計していたり。
ル・コルビュジエとオザンファンは、まさに盟友ともいうべき関係でした。
初期のオザンファンの作品は、ル・コルビュジエの作品と瓜二つ。
どっちがどっちの作品か、キャプションをいちいち確認しないと区別がつかないほどです。
そんな2人の仲には、徐々にすれ違いが・・・。
最終的には、修復不可能な亀裂が走ることとなります。
そして、お互いは、別々の道を歩むことに。
ル・コルビュジエは、建築家の道へ、
オザンファンはピュリスムを推し進め、次なるステージへと進みました。
またまた、大人の都合で画像は掲載できませんが、
オザンファンが到達した新たな作風は、軽妙かつ洒脱で、どこかエスプリの効いた作風。
純粋に素敵な絵画でした。
さて、ル・コルビュジエとオザンファンの仲は、修復されることはなかったそうですが。
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長い時を経て、遠く日本の地で、2人の作品が、
ル・コルビュジエの設計した建物の中で仲良く紹介されているだなんて!
ピュアな友情物語を勝手に妄想して、なんか泣けてきました。
1位を目指して、ランキングに挑戦中。
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パリ、ル・コルビュジエ財団 ©FLC/ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2018 B0365
国立西洋美術館の本館の生みの親ル・コルビュジエを主役に据えた展覧会。
“ル・コルビュジエ 絵画から建築へ―ピュリスムの時代” です。
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会場となるのは、企画展示室ではなく、もちろん本館。
普段は、常設展が行われている本館展示室を全面的に使って開催されています。
いつもはロダンの彫刻が数点設置されている19世紀ホールも・・・
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(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております。なお、1階19世紀ホールは撮影可です)
すっかり、ル・コルビュジエ展モードにシフトチェンジされていました。
ちなみに、20世紀を代表するスター建築家ゆえに、
これまで日本でも数多くのル・コルビュジエ展が開催されてきましたが。
ル・コルビュジエが設計した空間で、
大々的なル・コルビュジエ展が開催される機会は、そうそうありません。
実は、世界的に見ても、激レアな展覧会なのです。
また、珍しいといえば、今回のル・コルビュジエ展は、
彼の建築には、それほどスポットが当てられていません。
ル・コルビュジエ展なのに。
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展覧会全体の出品数の半数くらいにとどまる程度でした。
どうやらオーソドックスなル・コルビュジエの展覧会ではないようです。
(建築の代わりに) 焦点が当てられていた。
何が?
ー絵画が。
そう。今回のル・コルビュジエ展の大きな見どころは、ル・コルビュジエの絵画。
建築展というよりも、絵画展の要素が強い展覧会なのです。
実は、建築家としてブレイクを果たす前、若き頃のル・コルビュジエは、
本名のシャルル=エドゥアール・ジャンヌレ名義で、ピュリスムの画家としても活動していました。
今回の展覧会では、そんなル・コルビュジエ・・・もとい、
シャルル=エドゥアール・ジャンヌレの絵画作品が数多く紹介されています。
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シャルル=エドゥアール・ジャンヌレ(ル・コルビュジエ) 《多数のオブジェのある静物》 1923年
油彩、カンヴァス 114×146cm パリ、ル・コルビュジエ財団 ©FLC/ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2018 B0365
ル・コルビュジエファン、建築ファンの目には、新鮮に映ること請け合い。
建築に興味があまり持てなかった絵画ファンにとっても、抵抗なく楽しめる展覧会です。
また、ピュリスム (純粋主義) に大きな影響を与えた、
フアン・グリスやフェルナン・レジェらキュビスムの作家の作品も併せて紹介されていました。
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どちらも、瓶やバイオリンといった立体のモチーフを、ペタンと平面的に描いています。
2つの主義には、そう大差がないような印象を受けますが、
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モチーフを解体したり、変形させたり、展開させたり、
その結果、描かれたモチーフが何かわからなくなってしまうこともあるキュビスム。
それに対して、ピュリスムは、時にやや強引な描き方はあるものの、
モチーフが何かわかるように描き、それらを組み合わせて画面を構成しています。
さらに、全体的に抑えめな色遣いのキュビスムに対し、
ピュリスムは、パステルカラーを基調とし、華やかでポップな色遣いなのも大きな特徴です。
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のちの建築家ル・コルビュジエを彷彿とさせるモダニズムの白い住宅建築が建っています。
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どうやら左下に描かれているのは、マントルピースの一部とのこと。
暖炉の上に本やら何やらが置かれている情景を切り取って描いた作品だったようです。
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その名は、ル・コルビュジエとともに、
ピュリスム運動を主張したフランスの画家アメデ・オザンファン (1886~1966)。
ル・コルビュジエとともに建築に関する雑誌や書籍を発刊したり、
若き日のル・コルビュジエが、そのアトリエ兼自宅を設計していたり。
ル・コルビュジエとオザンファンは、まさに盟友ともいうべき関係でした。
初期のオザンファンの作品は、ル・コルビュジエの作品と瓜二つ。
どっちがどっちの作品か、キャプションをいちいち確認しないと区別がつかないほどです。
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最終的には、修復不可能な亀裂が走ることとなります。
そして、お互いは、別々の道を歩むことに。
ル・コルビュジエは、建築家の道へ、
オザンファンはピュリスムを推し進め、次なるステージへと進みました。
またまた、大人の都合で画像は掲載できませんが、
オザンファンが到達した新たな作風は、軽妙かつ洒脱で、どこかエスプリの効いた作風。
純粋に素敵な絵画でした。
さて、ル・コルビュジエとオザンファンの仲は、修復されることはなかったそうですが。
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