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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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横浜船渠 ドック物語

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横浜みなとみらい21地区にある横浜美術館には、何十回と訪れているのに。
同じ横浜みなとみらい21内にある横浜みなと博物館は、これまで一度も訪れたことがありませんでした。




こちらは、日本初にして日本最大規模の港、横浜港をテーマにした博物館で、
「横浜みなと博物館」 という名で再出港して、今年でちょうど10年目を迎えます。
ちなみに、リニューアル前の名称は、横浜マリタイムミュージアム。
開館は、1989年とのことなので、今年でちょうど開館30年目を迎えました。
実は意外と歴史のあるミュージアムです。
昨年には、同館内に、柳原良平アートミュージアムもオープン!




サントリーウイスキーのキャラクター、
アンクルトリスのデザインで知られるイラストレーター柳原良平の作品が常設されています。
アンクルトリスが登場するポスターや原画はもちろんのこと、




生涯、船を愛したという柳原良平による船をモチーフにした油彩画などを観ることができます。




グッズも充実しているので、ノスタルジックな気分を味わいたい方には、特にオススメですよ。
さて、そんな横浜みなと博物館の見どころの一つといえば、
太平洋の白鳥と言われた帆船日本丸 (重要文化財) の船内見学。




・・・・・・・・・・・・が。
残念なことに、3月末頃 (予定) まで、大規模な修繕工事が行われおり、
現在は、内部が見学できないだけでなく、外観もほとんどよくわからない状況となっています。

「だったら、修繕工事が終わってから行くことにしよう」

そう思われた方も多いことでしょうが、いやいや、逆に、今こそが大チャンス!
今しか見れない貴重な光景を目にすることが出来るのです。




帆船日本丸の修繕工事に合わせて、
約20年ぶりに、第一号ドックの水をぜんぶ抜く、ドライアップされています。
つまり、約20年ぶりに第一号ドックが、その姿を現しているのです。

ちなみに、こちらの第一号ドックは、
係留されている帆船日本丸と同様に、重要文化財に指定されている貴重なドック。
明治31年に竣工された明治期を代表的するドックの一つです。
建設当時でも最大規模を誇っていましたが、
大正7年に増幅され、長さ約204m、幅約39m、深さ約11mとなったのだとか。
水が張られていた時には、全く気付きませんでしたが、こんなにも巨大な建造物だったのですね。




さてさて、第一号ドックの全貌が明らかになっていることにちなんで、
現在、横浜みなと博物館では、“横浜船渠 ドック物語” という企画展が開催されています。




第一号ドックをはじめ、長きにわたって横浜港を支えたドックを、
建設した人や会社に関する資料、かつての写真などを交えて紹介した展覧会です。

“第一号ドックがあるならば、第二号ドックもあるのかな?”

その疑問に対する答えも、会場にありました。
もちろん第二号ドックもあったようです。
そして、その第二号ドックは今、復元され、
横浜ランドマークタワーの足元にあるイベントスペースとして活用されていました。
実は、何度かここを訪れたことがありましたが、
まさか、そんな歴史のある場所だったとは、想像だにしませんでした。
確かに、名前は、ドックヤードガーデン。
その名に、『ドック』 とありますね。




しかも、注意深く見渡してみると、
ちゃんと 『NO.2 DOCK』 の文字もありました。




なお、展覧会で紹介されていた昭和40年代の写真をよく見てみると・・・


海側から見た三菱重工業横浜造船所横浜工場 1972(昭和47)年 三菱重工業株式会社横浜製作所蔵


かつては、第三号ドックも存在していたことがわかります。




第三号ドックは、すでに埋め立てられているそうですが、
位置関係からするに、ちょうど横浜美術館の敷地内にあたりそうです。
知らず知らず、第三号ドックの跡地の上を歩いていたのかもしれません。

横浜みなとみらい21は、新しく作られた人工的な街かと思っていましたが。
実は、地区のあちこちに、歴史の痕跡が残っていたのですね。
『ブラタモリ』 のような気分を味わえる展覧会でした。(BGM 井上陽水『瞬き』)
星


余談ですが。
横浜みなと博物館の常設展会場に、
ハマことばの数々を紹介するコーナーがありました。
「メリケン」 や 「ハイカラ」 、「半ドン」 など、横浜発祥の言葉はいろいろあるようです。
「ちゃぶ台」 も、その一つ。
そう言われてみれば、「ちゃぶ台」 の 『ちゃぶ』 って何でしょう?
今まで疑問に思わず、ボーっと生きてきてしまいました。
正解は、「チョップハウス (=安い食堂)」 の 『チョップ』 が訛ったものとのことです。
念のため、帰宅後、 Googleで調べてみましたが、
ほとんどのサイトで、ちゃぶ台の語源として、中国説が紹介されていました。
果たして、本当に 「チョップハウス」 でいいのか。
信じるか信じないかはあなた次第です。




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