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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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クリムト展 ウィーンと日本 1900

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2019年の大本命展覧会の一つ、
"クリムト展 ウィーンと日本 1900" が、いよいよ東京都美術館で開幕しました!


(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております)


日本人、特に日本人女性に絶大な人気を誇るウィーンを代表する画家グスタフ・クリムト。
その日本過去最大規模となる回顧展で、
本国オーストリアの所蔵品を中心に、25点以上 (!) のクリムトの油彩画が出展されています。
ちなみに、東京でのクリムト展は、実に約30年ぶりとのこと。
平成元年の開催からの、令和元年の開催。
この法則でいけば、次の東京でのクリムト展の開催は、新元号を待たねばならないようです (←?)。

さてさて、展覧会の目玉は何と言っても、
メインビジュアルに使われている 《ユディトⅠ》


グスタフ・クリムト 《ユディトⅠ》 1901年 油彩、カンヴァス 84×42cm
ベルヴェデーレ宮オーストリア絵画館 © Belvedere, Vienna, Photo: Johannes Stoll



クリムトと言えば、ゴールド。ゴールドと言えば、クリムト。
そんなクリムトが初めて金を使った記念碑的作品が、この 《ユディトⅠ》 です。
今回初めてその実物を前にしましたが・・・




とにかく、フェロモンがスゴかったです。
"こうやって蜂は花に吸い寄せられるのか!" というくらいに、
《ユディトⅠ》 の画面から漂う妖しい魅力に吸い寄せられてしまいました。
ユディトと一度目が合ったら最後、完全にその虜に。
「いやいや、生首持ってるぜ!」 という理性的な自分の心の声は、本能の僕には届きません。
もし、ユディトが 「生命保険に入って❤」 と言ったら、間違いなく判を押していたことでしょう。
・・・・・・・危ないところでした。


それから、こちらも今展の目玉作品。
ローマ国立近代美術館が所蔵する 《女の三世代》 です。




縦横約170㎝の油彩画。
壁画などを別にすればクリムト最大級の作品で、今回が初来日となります。
作品のテーマは、「生命の円環」 とのこと。
人間の一生を、幼年期、青年期、老年期の三世代で表現しているそうです。
あどけない表情で眠る赤ちゃんと、その子を愛おしそうに抱く若い女性。
そして、その背後には、顔を手で覆った老婆が描かれています。
青年期と老年期の対比っぷりは、残酷も残酷。
"いつまでも若くないんだぞ" という現実を、クリムトに突き付けられた気がします。


また、厳密には作品ではないのですが。
もう一つ展覧会の目玉なのが、クリムトが40歳の頃に手掛けた大作で、
全長34mを超える壁画 《ベートーヴェン・フリーズ》 の精巧な原寸大複製。




ベートーヴェンの交響曲第9番にインスピレーションを得て制作されたクリムトの代表作の一つです。


グスタフ・クリムト 《ベートーヴェン・フリーズ》(部分) 1984年(原寸大複製/オリジナルは1901-02年) 216×3438㎝
ベルヴェデーレ宮オーストリア絵画館 © Belvedere, Vienna



複製とはいっても、なんちゃってコピーではありません。
金や銀、漆喰など、素材までもちゃんと再現されています。




(実物を見たことはないですが) 実物と見分けがつかないレベル。
実物と同じくらいの壮大さ、迫力が感じられます。
それだけに、壁画に三方を囲まれた瞬間、
どこからともなく、ベートーヴェンの交響曲第9番が聴こえてきました。
なんという臨場感!!
・・・・・と思ったら、天井の指向性スピーカーから、
実際に、交響曲第9番のBGMが再生されていただけでした。


ちなみに、見逃せない作品は、他にもまだまだいっぱい。
いくらなんでも布が多すぎる気がしてならない 《赤子(ゆりかご)》 や、


グスタフ・クリムト 《赤子(ゆりかご)》 1917年 油彩、カンヴァス 110.9×110.4cm
ワシントン・ナショナル・ギャラリー National Gallery of Art, Washington, Gift of Otto and Franciska Kallir with the help of the Carol and Edwin Gaines Fullinwider Fund, 1978.41.1



どうしたって 「ハンマーカンマー」 を連想してしまう?
クリムトの風景画の傑作 《アッター湖畔のカンマー城III》


グスタフ・クリムト 《アッター湖畔のカンマー城III》 1909/10年 油彩、カンヴァス 110×110cm
ベルヴェデーレ宮オーストリア絵画館 © Belvedere, Vienna, Photo: Johannes Stoll



サブタイトルに、"ウィーンと日本 1900" とあるだけに、
ジャポニスムの影響を受けたと思われるクリムトの作品なども紹介されています。




改めて、これだけまとまった数の作品を目の当たりにして、
まず驚かされたのは、作品によってタッチが全く違うということ。
印象派風のサラッとしたタッチのものもあれば、
ゴッホを彷彿とさせるような荒々しいタッチのものも。
こんなにも多彩なパターンの持ち主だったのかと、再認識させられました。
そして、何よりも感じたのは、クリムトの絵画作品は華があるということ。




金箔が使われているから、という物理的な理由ではなく。
クリムトの作品はもとより、作品のある空間もキラキラと輝いていました。
ゴージャスにして、ラグジュアリー。
そんな贅沢な空間が、冒頭からラストまでずっと続きます。
開幕前から期待値は高かったですが、
その上がり切ったハードルを、悠々と越えてくる展覧会でした。
星星星




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