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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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これぞ黄金の国・日本 金屏風展

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現在、岡田美術館で開催されているのは、
“これぞ黄金の国・日本 金屏風展 ―狩野派・長谷川派・琳派など― という展覧会。
日本独自の美術品である 『金屏風』 にフォーカスしたもので、
岡田美術館が収蔵する狩野派や琳派などの金屏風作品が一挙大公開される展覧会です。

会場となる3階フロアに入る前に、
まずは金屏風についての基本情報をチェック。



(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております)


金屏風に金箔が使われていることくらいは、さすがに知っていましたが。
へー。金箔に、赤金と青金の2種類があったのですね!
さらに驚いたのが、その厚み。
なんと0.0001mmなのだそうです!
つまり、1万枚重ねて、ようやく1mm。
まさに、技術大国日本ならではの美術品なのですね。


知ってるようで意外と知らない。
金屏風のあれこれを学んだところで、いざ会場へ。
すると、まるまる1フロアが・・・




金屏風作品で埋め尽くされているではないですか!
いうなれば、ゴールデン屏風劇場 (←?)。
最低でも金、最高でも金。
令和元年を祝うに相応しい豪華絢爛な展覧会です。
星星


さてさて、一口に金屏風と言っても、その種類はさまざま。
桃山時代のものもあれば、江戸時代、さらには昭和に描かれたものもあります。
花が咲き誇り、鳥が飛び交う、まるで黄金郷のような光景を描いた金屏風もあれば、


狩野派 《松に鶴図屏風》 江戸時代初期 17世紀 岡田美術館蔵


黄金比を取り入れたかのようにデザイン性に優れた琳派風の金屏風もありました。


右)神坂雪佳 《燕子花図屏風》 大正~昭和時代前期 20世紀前半 岡田美術館蔵
左)池田孤邨 《燕子花・八橋図屏風》 江戸時代後期 19世紀中頃 岡田美術館蔵



とにかく見た目が華やかなので、
ただ眺めているだけでも十分に楽しめます。
さらに、今回の展覧会では、すべての金屏風作品に、
一般的なものと 「こども語」 で書かれた2種類の解説付き。




このゴールデンコンビ (?) の解説のおかげで、
金屏風の作品を、より深く味わえるようになっています。
やはり解説があるのと無いのでは、金泥の差・・・もとい、雲泥の差がありました。

例えば、《平家物語図屏風》


《平家物語図屏風》(右隻部分) 江戸時代前期 17世紀 岡田美術館蔵


この金屏風作品の中にも、金屏風が描かれているのですが。
その金屏風は、平家物語の舞台となった時代には、
当然まだ存在していなかった江戸時代の金屏風なのだそう。
言うなれば、明治時代を舞台にしたドラマの中に、
東京スカイツリーが映り込んだ写真が登場しているようなものです。
うっかり、なのか。あえて、なのか。
そんな想像を巡らすのも楽しかったです。
なお、《平家物語図屏風》 のすぐ隣には、
画中の金屏風の図柄とほぼ一致する場面が描かれた 《洛外名所遊楽図屏風》が展示されています。
(注:前期は左隻を展示。後期は右隻を展示)
まるで金屏風の中から金屏風が飛び出したような、不思議な光景でした。


さてさて、数ある金屏風の中で、すーっと目を惹かれたのは、
江戸時代後期に活躍した絵師・森徹山による 《春秋図屏風》 です。


森徹山 《春秋図屏風》 江戸時代後期 19世紀前半 岡田美術館蔵


初めて目にするはずなのに、どこかで見たことあるような。。。
なんとなく懐かしい感じに、思わず作品の前で足を止めてしまいました。
このデジャヴの原因は、きっといつかお歳暮で届いたお茶の缶。
もしくは、海苔の缶でしょう。


それから、もう一つ目を惹かれたのが、《競馬図屏風》
その中に描かれた・・・



《競馬図屏風》 桃山~江戸時代初期 17世紀 岡田美術館蔵


馬のたてがみが、気になって気になって仕方がありません!
ヘアゴムみたいなのでたてがみを縛り、小さなポニーテールがたくさん作られています。
それに一体どんな意味があるのでしょうか??
なお、この謎の馬のドレッドヘアスタイル (?) は、《平家物語図屏風》 にも登場していました。
当時はわりとポピュラーな文化だったのかもしれませんね。


ちなみに、出展作品の一部は、入替あり。
7月5日から始まる後期には、いよいよ尾形光琳の 《菊図屏風》 が登場しますよ!


尾形光琳 《菊図屏風》(部分) 江戸時代前期 18世紀初頭 岡田美術館蔵


さてさて、豪華絢爛なのは3階だけにあらず。
1、2、4、5階の展示フロアも、もちろん見応え抜群でした。
個人的に強く印象に残っているのは、4階に展示中の宮川長春による 《遊楽図巻》


宮川長春 《遊楽図巻》 江戸時代中期 18世紀前半 岡田美術館蔵


人形遣いや万歳といった芸人と、
それを見物する人々の姿が生き生きと描かれた巻物です。
その中に猿回しらしきものも描かれているのですが・・・




芸に集中する猿回しの背後に、袋をガサゴソと物色する怪しい影が!
一瞬、猿かと思ったのですが、よく見ると顔がありません。
全身、真っ黒の謎の生物です。
コナンの犯人を彷彿とさせるものがあります。
見物客は、猿回しの芸よりも、その生物の動向を注視している様子。
地味に怖い作品です。


 ┃会期:2019年4月6日(土)~9月29日(日)
 ┃会場:岡田美術館
 ┃
https://www.okada-museum.com/exhibition/

―講演会情報―
①「桃山の金屏風」
 開催日:2019年5月25日(土)  講師:小林 忠(岡田美術館 館長)

②「屏風を使う」
 開催日:2019年6月22日(土)  講師:榊原 悟 氏(岡崎市美術博物館 館長)

③「琳派の金屏風」
 開催日:2019年7月13日(土)  講師:小林 忠(岡田美術館 館長)

各回13:00~14:30/岡田美術館5階ホール/定員80名/参加費無料(要入館料)
事前申込制:0460-87-3931





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