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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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ポーラ美術館×ひろしま美術館 共同企画 印象派、記憶への旅

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現在、ポーラ美術館で開催されているのは、“印象派、記憶への旅” という展覧会。




質・量ともに充実したフランス近代美術のコレクションで知られる、
国内の2大ミュージアム、ポーラ美術館とひろしま美術館が初タッグを組んだ展覧会です。




東のポーラ美術館。西のひろしま美術館。
会場には、両館のコレクションを代表する名品、併せて73点が展示されています。
モネあり、ルノワールあり、ゴッホあり、ピカソあり、
まさに、夢の豪華共演!
少し前に、レオナルド・ディカプリオと、
ブラッド・ピットが初共演して話題となっていましたが、それに匹敵するレベルです。
星星星


さてさて、そんな両館のコレクションですが、こちらはポーラ美術館のコーナー、
こちらはひろしま美術館のコーナー・・・というように、分けて展示するのではなく。
同じ画家の作品や、同じモティーフの作品などを比較する形で展示されていました。




これはポーラ美術館の所蔵品?
それとも、ひろしま美術館の所蔵品?
どちらの美術館が所蔵しているものなのか、
キャプションをいちいち確認しないと、わかりません。




それほどまでに両館のコレクションはテイストが似ていました。
まるで双子のようなコレクションです。
とはいえ、それぞれのコレクションの礎を築いた広島銀行の元頭取・井藤勲雄氏と、
ポーラ創業家2代目である鈴木常司氏の二人の間には、直接の面識はなかったのだとか。
(コレクションしていた時期もズレていたようです)
『金田一少年の事件簿』 のあるエピソードで紹介された “精神的双子” という概念を思い出しました。

ちなみに、井藤氏が最後に収集した作品は、《仔羊を連れたポール、画家の息子、二歳》
鈴木氏が最後に収集した作品は、《花束を持つピエロに扮したパウロ》 なのだとか。
どちらもピカソが息子のポール (スペイン語でパウロ) をモデルにした作品で、
どちらも画面いっぱいに、右手に棒を持って、直立する姿で描かれています。
会場では、この2点が並べて展示されていました。
(注:大人の事情で、ピカソの作品は掲載できません)
コレクションのラストを飾る作品まで、そっくりだとは!
是非、会場で実物を観てご確認くださいませ。


さてさて、展覧会のラストでは・・・・・


フィンセント・ファン・ゴッホ 《草むら》 1889年 ポーラ美術館蔵


ゴッホの 《草むら》 のカンヴァス裏面に隠されていた制作の秘密を筆頭に、
最新の作品調査で判明した両館の所蔵品に関する新事実の数々が紹介されています。
特に興味深かったのは、マティスの 《ラ・フランス》 に関するとある事実。


アンリ・マティス 《ラ・フランス》 1939年 ひろしま美術館蔵


この作品が、1945年にパリの画廊で発表された際、
作品の左右に4枚ずつ計8枚の白黒写真も併せて展示されたのだとか。
それらの写真は、制作過程を記録したもの。
伸びやかな画風のため、作品をサササッと素早く仕上げている印象の強いマティスですが。
実は、試行錯誤を何度も繰り返し、構成的に描いているのだそう。
こう見えて (?)、《ラ・フランス》 も約3週間かけて完成しているそうです。
今展のために再現された計8枚の写真パネルを見ると、
確かに、描いては消し、消しては描いてを何度も繰り返しているのがわかりました。
いや、でも、何もそこまでして、試行錯誤の様子を披露しなくとも。。。
マティスは、苦労を見せるタイプの人間だったのですね。


ちなみに。
今回の出展作品の中で個人的に印象に残ったのは、
アルベール・マルケの 《冬の太陽、パリ》 という一枚。




太陽の下に、人がシルエットで描かれています。
しかし、縮尺的には、完全に巨人。
色も緑がかっているので、グリーンジャイアントにしか見えません。
「ホホホ~」 という低めの笑い声が、今にも聞こえてきそうでした。





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