現在、国立西洋美術館の企画展示室では、
“開館60周年記念 松方コレクション展” が絶賛開催中です。
・・・・・ん?ということは、常設展示室は、スカスカなのでは??
と思ったら、新館では、日本とフィンランドの外交関係樹立100周年を記念して、
“モダン・ウーマン―フィンランド美術を彩った女性芸術家たち” という別の展覧会が開催されていました。
こちらは、ロシアから独立した1917年前後に活躍した、
フィンランドの女性芸術家たちに焦点を当てた日本初の展覧会。
フィンランド国立アテネウム美術館のコレクションから、
フィンランドの女性芸術家の作品約90点が来日しています。
そういえば、フィンランドの芸術家と聞いて思い浮かべるのは、
先日まで東京ステーションギャラリーにて日本初個展が開催されていたルート・ブリュックや、
『ムーミン』 の作者でもお馴染みのトーベ・ヤンソンなど、女性芸術家が多い気がします。
というのも、19世紀半ばに設立されたフィンランドで最初の美術学校は、
当時世界的にも珍しく、創立当初から男女平等の美術教育を奨励していたのだそう。
それゆえ、女性でも十分に芸術家としてのキャリアを切り開くことができたのだそうです。
(むしろ、そのせいで、フィンランドの男性の芸術家はあまりスポットが当てられていない気がしますが・・・)
さてさて、今展で紹介されている女性芸術家は、
フィンランドでは知らない人はいないほどの国民的画家ヘレン・シャルフベックを含む7名。
ヘレン・シャルフベック以外は、“はじめまして” の芸術家ばかりでしたが。
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております)
それぞれ個性があって、見ごたえがありました。
また、彼女らの作品は、現代の眼で見ても十分に新鮮に映りました。
まさに、「モダン・ウーマン」 の看板に偽りなし。
“松方コレクション展” と併せて楽しみたい展覧会です。
(嬉しいことに、“開館60周年記念 松方コレクション展” の観覧券で鑑賞することも可能です!)
さてさて、今回紹介されていた7名の芸術家の中で、
特に個人的に印象に残っているのが、エルガ・セーセマンです。
エルガ・セーセマン 《自画像》 1946年 フィンランド国立アテネウム美術館
Finnish National Gallery / Ateneum Art Museum Photo: Finnish National Gallery / Yehia Eweis
目元の部分が執拗に塗りつぶされた女性。
全身から得体の知れない負のオーラが発せられていました。
この世のものではない印象。
タクシーの後部座席に乗せたら、絶対に途中でフッと消えることでしょう。
で、シートがぐっしょりと濡れているはず。
そんな 《自画像》 とともに展示されていたのが、写真左のこちらの作品↓
もはや目元どころか、顔全体が、
まるでセメントでパックをしたかのように塗り込められていました。
タイトルは、《カフェにて》。
カフェにて・・・何があったのか?!
気になって気になって仕方ありません。
もしかしたら、ドリフのようにパイ投げされたのかも。
ともあれ、エルガ・セーセマンの絵は、基本的に不穏な空気に満ちていました。
その他、特に印象的だったのが、
マリア・ヴィークの 《ボートをこぐ女性、スケッチ》 という作品です。
マリア・ヴィーク 《ボートをこぐ女性、スケッチ》 1892年頃 フィンランド国立アテネウム美術館
Finnish National Gallery / Ateneum Art Museum, Granberg Collection Photo: Finnish National Gallery / Jenni Nurminen
まさに、スナップショットのような1枚。
幸せオーラに満ち満ちた明るい印象の作品です。
披露宴で流れるプロフィールムービーで目にするようなシーン。
もしくは、一昔前のカラオケビデオで目にするようなシーンです。
なお、展覧会場の一つである版画素描室では、
そんなマリア・ヴィークが美術学校在籍時代に描いたデッサンも紹介されていました。
写真左の男性モデルの臀部にご注目ください。
男なのに、Tバッグ。
こんなところも男女平等だったのですね (←?)
ちなみに、紹介されている芸術家は、画家だけにありません。
ロダンに学び、ロダンの代表作 《カレーの市民》 の助手も務めた・・・
女性彫刻家シーグリッド・アフ・フォルセルスも紹介されていました。
シーグリッド・アフ・フォルセルス 《青春》 1880年代 フィンランド国立アテネウム美術館
Finnish National Gallery / Ateneum Art Museum Photo: Finnish National Gallery / Hannu Aaltonen
ロダンの人体彫刻は、筋肉のゴツゴツした質感が特にリアルであるのに対し、
シーグリッド・アフ・フォルセルスの彫刻は、女性の頬や唇のプニプニした質感がリアル。
ブロンズとは思えない、やわらかさを感じました。
さてさて、いろいろ紹介してきましたが、
やはり最も目を惹かれたのは、ヘレン・シャルフベックの作品群。
さすが、フィンランドを代表する画家だけはあります。
それらの中でひときわ異彩を放っていたのが、
画面手前の 《コスチューム画Ⅰ》 という一枚でした。
女性の顔があきらかに不自然。
能面のような表情を浮かべています。
というか、よく見たら、髪の生え際と能面のような表情の間に、地の肌が見えています。
これは本当にお面を被っているのでしょう。
なんとも不気味な作品です。
ちなみに、今展のメインビジュアルに採用されているのも、ヘレン・シャルフベックの作品。
ヘレン・シャルフベック 《占い師(黄色いドレスの女性)》 1926年 フィンランド国立アテネウム美術館
Finnish National Gallery / Ateneum Art Museum, Kaunisto Collection Photo: Finnish National Gallery / Hannu Aaltonen
どことなく、霜降り明星の粗品に似ています。
「モダン・ウーマン!」 も粗品のツッコミフレーズの一つに思えてきました。
┃会期:2019年6月11日(火)〜9月23日(月・祝)
┃会場:国立西洋美術館
┃https://www.nmwa.go.jp/jp/exhibitions/2019modernwoman.html
~読者の皆様へのプレゼント~
こちらの “モダン・ウーマン展” の無料鑑賞券を、5組10名様にプレゼントいたします。
住所・氏名・電話番号を添えて、以下のメールフォームより応募くださいませ。
https://ws.formzu.net/fgen/S98375463/
なお、〆切は、7月5日です。当選は発送をもって代えさせていただきます。
1位を目指して、ランキングに挑戦中。
下のボタンをポチッと押して頂けると嬉しいです!
“開館60周年記念 松方コレクション展” が絶賛開催中です。
・・・・・ん?ということは、常設展示室は、スカスカなのでは??
と思ったら、新館では、日本とフィンランドの外交関係樹立100周年を記念して、
“モダン・ウーマン―フィンランド美術を彩った女性芸術家たち” という別の展覧会が開催されていました。
こちらは、ロシアから独立した1917年前後に活躍した、
フィンランドの女性芸術家たちに焦点を当てた日本初の展覧会。
フィンランド国立アテネウム美術館のコレクションから、
フィンランドの女性芸術家の作品約90点が来日しています。
そういえば、フィンランドの芸術家と聞いて思い浮かべるのは、
先日まで東京ステーションギャラリーにて日本初個展が開催されていたルート・ブリュックや、
『ムーミン』 の作者でもお馴染みのトーベ・ヤンソンなど、女性芸術家が多い気がします。
というのも、19世紀半ばに設立されたフィンランドで最初の美術学校は、
当時世界的にも珍しく、創立当初から男女平等の美術教育を奨励していたのだそう。
それゆえ、女性でも十分に芸術家としてのキャリアを切り開くことができたのだそうです。
(むしろ、そのせいで、フィンランドの男性の芸術家はあまりスポットが当てられていない気がしますが・・・)
さてさて、今展で紹介されている女性芸術家は、
フィンランドでは知らない人はいないほどの国民的画家ヘレン・シャルフベックを含む7名。
ヘレン・シャルフベック以外は、“はじめまして” の芸術家ばかりでしたが。
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております)
それぞれ個性があって、見ごたえがありました。
また、彼女らの作品は、現代の眼で見ても十分に新鮮に映りました。
まさに、「モダン・ウーマン」 の看板に偽りなし。
“松方コレクション展” と併せて楽しみたい展覧会です。
(嬉しいことに、“開館60周年記念 松方コレクション展” の観覧券で鑑賞することも可能です!)
さてさて、今回紹介されていた7名の芸術家の中で、
特に個人的に印象に残っているのが、エルガ・セーセマンです。
エルガ・セーセマン 《自画像》 1946年 フィンランド国立アテネウム美術館
Finnish National Gallery / Ateneum Art Museum Photo: Finnish National Gallery / Yehia Eweis
目元の部分が執拗に塗りつぶされた女性。
全身から得体の知れない負のオーラが発せられていました。
この世のものではない印象。
タクシーの後部座席に乗せたら、絶対に途中でフッと消えることでしょう。
で、シートがぐっしょりと濡れているはず。
そんな 《自画像》 とともに展示されていたのが、写真左のこちらの作品↓
もはや目元どころか、顔全体が、
まるでセメントでパックをしたかのように塗り込められていました。
タイトルは、《カフェにて》。
カフェにて・・・何があったのか?!
気になって気になって仕方ありません。
もしかしたら、ドリフのようにパイ投げされたのかも。
ともあれ、エルガ・セーセマンの絵は、基本的に不穏な空気に満ちていました。
その他、特に印象的だったのが、
マリア・ヴィークの 《ボートをこぐ女性、スケッチ》 という作品です。
マリア・ヴィーク 《ボートをこぐ女性、スケッチ》 1892年頃 フィンランド国立アテネウム美術館
Finnish National Gallery / Ateneum Art Museum, Granberg Collection Photo: Finnish National Gallery / Jenni Nurminen
まさに、スナップショットのような1枚。
幸せオーラに満ち満ちた明るい印象の作品です。
披露宴で流れるプロフィールムービーで目にするようなシーン。
もしくは、一昔前のカラオケビデオで目にするようなシーンです。
なお、展覧会場の一つである版画素描室では、
そんなマリア・ヴィークが美術学校在籍時代に描いたデッサンも紹介されていました。
写真左の男性モデルの臀部にご注目ください。
男なのに、Tバッグ。
こんなところも男女平等だったのですね (←?)
ちなみに、紹介されている芸術家は、画家だけにありません。
ロダンに学び、ロダンの代表作 《カレーの市民》 の助手も務めた・・・
女性彫刻家シーグリッド・アフ・フォルセルスも紹介されていました。
シーグリッド・アフ・フォルセルス 《青春》 1880年代 フィンランド国立アテネウム美術館
Finnish National Gallery / Ateneum Art Museum Photo: Finnish National Gallery / Hannu Aaltonen
ロダンの人体彫刻は、筋肉のゴツゴツした質感が特にリアルであるのに対し、
シーグリッド・アフ・フォルセルスの彫刻は、女性の頬や唇のプニプニした質感がリアル。
ブロンズとは思えない、やわらかさを感じました。
さてさて、いろいろ紹介してきましたが、
やはり最も目を惹かれたのは、ヘレン・シャルフベックの作品群。
さすが、フィンランドを代表する画家だけはあります。
それらの中でひときわ異彩を放っていたのが、
画面手前の 《コスチューム画Ⅰ》 という一枚でした。
女性の顔があきらかに不自然。
能面のような表情を浮かべています。
というか、よく見たら、髪の生え際と能面のような表情の間に、地の肌が見えています。
これは本当にお面を被っているのでしょう。
なんとも不気味な作品です。
ちなみに、今展のメインビジュアルに採用されているのも、ヘレン・シャルフベックの作品。
ヘレン・シャルフベック 《占い師(黄色いドレスの女性)》 1926年 フィンランド国立アテネウム美術館
Finnish National Gallery / Ateneum Art Museum, Kaunisto Collection Photo: Finnish National Gallery / Hannu Aaltonen
どことなく、霜降り明星の粗品に似ています。
「モダン・ウーマン!」 も粗品のツッコミフレーズの一つに思えてきました。
┃会期:2019年6月11日(火)〜9月23日(月・祝)
┃会場:国立西洋美術館
┃https://www.nmwa.go.jp/jp/exhibitions/2019modernwoman.html
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こちらの “モダン・ウーマン展” の無料鑑賞券を、5組10名様にプレゼントいたします。
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