撮影:Sunhi Mang
ベルリンを拠点に、世界各国で精力的に活動を続けるアーティスト塩田千春さん。
その過去最大規模となる個展 “塩田千春展:魂がふるえる” が、いよいよ森美術館で開幕!
2019年大本命の現代アート展の呼び声が高いこの展覧会、早速、足を運んでまいりました。
今回の展覧会は、展示室に入る前から始まっていました。
エントランスへ向かって伸びるエレベーター、
その手前のスペースに設置されていたのは、新作の 《どこへ向かって》。
天井から吊られている約100艘の舟が、遠く彼方へ、
もしくは、遠い未来へ向かって、まさに今、旅立とうとしているかのよう。
この幻想的で希望に満ちた光景を目にし、早くも魂がふるえました。
展示室に入る前から、この感動。
展示室ではどんな光景が待ち受けているのか、期待で心も打ち震えます。
さてさて、塩田千春さんと言えば、
大規模なインスタレーション作品というイメージが強いですが。
実は、繊細なオブジェのような立体作品やドローイング作品も手掛けています。
展覧会場の冒頭で紹介されていたのは、それらの作品でした。
“なるほど。今回はこういう作品も紹介していくのね” と思わせてからの・・・
ダイナミックなインスタレーション作品!!
カウンターパンチを浴びせられたかのように、
圧倒的な光景がガツンと目に飛び込んできました。
まさに赤い衝撃。
なお、この空間に張り巡らされている赤い糸の全長は、なんと280㎞とのこと。
280mだとしても、まぁまぁ驚きですが、
その1000倍の280㎞の赤い糸が空間を埋め尽くしているようです。
この 《不確かな旅》 という作品以外も、
燃えたグランドピアノと観客用の椅子が黒い糸で繋がり、空間を埋め尽くした 《静けさの中で》 や、
再開発が進むベルリンで廃棄された窓枠約300点を用いた 《内と外》 など、
没入型の大規模インスタレーション作品が続々登場。
どの作品も、舞台のセットを彷彿とさせるものがあり、
まるで自分が何かの登場人物の一人になったかのように感じられます。
作品の中、ステージに立つたびに、魂がふるえました。
ちなみに、今回の塩田千春劇場、
そのフィナーレを飾るのは、《集積―目的地を求めて》 という作品です。
天上から赤い糸で吊るされているのは、440個のスーツケース。
それらのスーツケースが、低いところから高いところへ。
まるで天国へと続く階段であるかのように配置されています。
一つ一つのスーツケースは、どれも使用済み (←?)。
フレッシュさを感じるというよりは、使い込まれているため、むしろ歴史の重みを感じます。
ところが、不思議と作品全体から感じられるのは、
「新たな旅立ち」 や 「新たな希望」 といった印象でした。
一つの生を終えたものが、新たに生まれ変わって別の生へ。
そんな死生観や哲学といったものも含まれたような、
空間的にも精神的にも大きなスケールを感じるインスタレーション作品でした。
・・・・・と、ここまで紹介した作品は、出展作品のほんの一部。
今回の展覧会には、新作18点を含む113点でが紹介されています。
どの作品からも、塩田さんが、その魂をふるわせ、
魂を削って制作したであろうことが伝わってきました。
とにかく一人でも多くの人に観て欲しい、体験して欲しい展覧会です。
さてさて、数多くの出展作品の中で、ある意味、個人的に一番印象に残っているのは、
アーティスト塩田千春の初期も初期、チコちゃんと同い年の5歳の頃に描かれたこちらの絵画。
蝶の配置。
ひまわりの描き方。
「しおたち春」 と 「春」 だけ漢字なところ。
絵の端々に非凡なものを感じます。
一流アーティストは、やはり生まれたときから一流アーティストなのですね。
ちなみに。
この絵のすぐ近くには、塩田さんのこれまでの展覧会歴が紹介されていました。
ズラリと羅列された華やかな経歴。
DHCの化粧品のCMを彷彿とさせるものがありました。
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