現在、すみだ北斎美術館で開催されているのは、
“「綴プロジェクト」-高精細複製画で綴るー スミソニアン協会フリーア美術館の北斎展” という展覧会です。
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております)
ワシントンD.C.にあるフリーア美術館。
質の高い日本美術コレクションで、知られる美術館です。
その中でも特に世界屈指との呼び声が高いのが、北斎の肉筆画コレクション。
それらの名品が、ついに日本へ!
・・・・・・・・だったら、いいのですが。
設立者であるフリーアさんの遺言により、コレクションは門外不出。
館外に貸し出すことは一切禁止されています。
北斎の肉筆画コレクションの実物は、現地に行かねば観ることは出来ません。
が、しかし、実物とはいきませんが、フリーア美術館の全面協力のもと、
京都文化協会とキヤノン株式会社が推進する 「綴プロジェクト」 によって、
このたび、北斎の肉筆画コレクションの中から13点の複製画が制作されました。
今回の展覧会では、そんな出来立てホヤホヤの複製画と、
すみだ北斎美術館が所蔵する約130点 (←こっちは本物!) の関連作品が併せて展示されています。
「なぁんだ、レプリカなのかぁ」 とガッカリした方もいらっしゃるかもしれませんが。
いやいや、ただの複製画ではありません。
高精細複製画。
作品によっては、本プロジェクトのために開発された絹本に出力されたものも。
担当学芸員さん曰く、ガラスケースに入った状態では、
実物とまったく見分けがつかないレベルとのことでした。
というわけで、百聞は一見に如かず。
本物の肉筆画と高精細複製画を見分けられるのか?
ブログの前の皆様も一緒にお考え下さい。
一方は、すみだ北斎美術館が所蔵する肉筆画。
そして、もう一方は、綴プロジェクトで制作された高精細複製画です。
果たして、本物の肉筆画はAとBどちらでしょうか?
正解は・・・・・
A
Bは、高精細複製画です。
確かに、高精細複製画は再現度が高く、
展示ケースのギリギリまで近づいてみても、実物との差が判別できないレベルでした。
こちらの 《琵琶に白蛇図》 にいたっては・・・
葛飾北斎 《琵琶に白蛇図》 (通期) フリーア美術館蔵
Original: Freer Gallery of Art, Smithsonian Institution, Washington, D.C.: Gift of Charles Lang Freer, F1904.134
※展示は高精細複製画となります。
色彩を再現するのは当然のこと、
顔料が盛り上がった鱗の質感まで、完全再現されていました。
江戸時代にこれほどまでに独創的でビビッドな絵を描いた北斎も、もちろん素晴らしいのですが。
その絵を、ここまで完璧に再現できる現代の技術も素晴らしかったです。
そういう意味では、普通の肉筆画 (?) よりも、Wで感動できた気がします。
また、ただ完全再現できて良かったね、というだけでは決してなく。
展覧会では、高精細複製画だからこそ実現できる仕組みを積極的に取り入れていました。
例えば、実際の肉筆画は、保存の関係上、ガラスケースに入れる必要があります。
しかし、高精細複製画ならば、そのまま展示することが可能であるため、
畳の上に設置し、作品が描かれた当時のスタイルで鑑賞できるコーナーが設けられていました。
また例えば、古歌に詠まれた6か所の玉川を描いた 《玉川六景図》。
葛飾北斎 《玉川六景図》 (通期) フリーア美術館蔵
Original: Freer Gallery of Art, Smithsonian Institution, Washington, D.C.:Gift of Charles Lang Freer, F1904.204-205
※展示は高精細複製画となります。
現在、フリーア美術館に所蔵されている屏風の仕立てでは、
上のように右隻には人物が、左隻には風景が、それぞれ描かれていますが。
どうやら、もともとは人物と風景を一対として構成されていた可能性が高かったとのこと。
そこで今回、高精細複製画を制作するにあたって、
北斎が描いた当初の姿であろう形で再現されていました。
レプリカでお茶を濁した展覧会では決してなく、
レプリカだからこそ実現できることが満載の展覧会。
日本の伝統文化と日本の最先端技術が融合した展覧会でした。
ちなみに。
今回制作された高精細複製画の中で、
特に印象的だったのは、やはり 《蟹尽し図》 でしょうか。
葛飾北斎 《蟹尽し図》 (通期) フリーア美術館蔵
Original: Freer Gallery of Art, Smithsonian Institution, Washington, D.C.: Gift of Charles Lang Freer, F1902.254
※展示は高精細複製画となります。
画面にビッシリと描かれたカニ、カニ、カニ (と、一部カブトガニやヤシガニ)。
その数は、実に106匹。
インパクト抜群の1枚です。
何より、蟹が食べたくなること必至です。
それから、もう1点印象的だったのが、《波濤図》 。
'The Great Wave' こと 《冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏》 と対比させるように展示されていました。
《波濤図》 を描いた時、北斎は88歳。
《冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏》 を発表してか16年が経過しています。
葛飾北斎 《波濤図》 (通期) フリーア美術館蔵
Original: Freer Gallery of Art, Smithsonian Institution, Washington, D.C.: Gift of Charles Lang Freer, F1905.276
※展示は高精細複製画となります。
波の鉤爪感 (?) は、より進化。
ゴジラの手のようになっていました。
《波濤図》 と見比べてしまうと、《冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏》 の波なんて可愛いもの。
葛飾北斎 《冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏》 (通期)
作品を替えて通期で展示 すみだ北斎美術館蔵
公園の水飲み場みたいな感じ。
のほほんとしています。
対して、《波濤図》 の波は、確実に意思を持っています。
そして、おそらく何かを実際に掴むことができるはず。
ジョジョの新手のスタンドか?!
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“「綴プロジェクト」-高精細複製画で綴るー スミソニアン協会フリーア美術館の北斎展” という展覧会です。
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております)
ワシントンD.C.にあるフリーア美術館。
質の高い日本美術コレクションで、知られる美術館です。
その中でも特に世界屈指との呼び声が高いのが、北斎の肉筆画コレクション。
それらの名品が、ついに日本へ!
・・・・・・・・だったら、いいのですが。
設立者であるフリーアさんの遺言により、コレクションは門外不出。
館外に貸し出すことは一切禁止されています。
北斎の肉筆画コレクションの実物は、現地に行かねば観ることは出来ません。
が、しかし、実物とはいきませんが、フリーア美術館の全面協力のもと、
京都文化協会とキヤノン株式会社が推進する 「綴プロジェクト」 によって、
このたび、北斎の肉筆画コレクションの中から13点の複製画が制作されました。
今回の展覧会では、そんな出来立てホヤホヤの複製画と、
すみだ北斎美術館が所蔵する約130点 (←こっちは本物!) の関連作品が併せて展示されています。
「なぁんだ、レプリカなのかぁ」 とガッカリした方もいらっしゃるかもしれませんが。
いやいや、ただの複製画ではありません。
高精細複製画。
作品によっては、本プロジェクトのために開発された絹本に出力されたものも。
担当学芸員さん曰く、ガラスケースに入った状態では、
実物とまったく見分けがつかないレベルとのことでした。
というわけで、百聞は一見に如かず。
本物の肉筆画と高精細複製画を見分けられるのか?
ブログの前の皆様も一緒にお考え下さい。
一方は、すみだ北斎美術館が所蔵する肉筆画。
そして、もう一方は、綴プロジェクトで制作された高精細複製画です。
果たして、本物の肉筆画はAとBどちらでしょうか?
正解は・・・・・
A
Bは、高精細複製画です。
確かに、高精細複製画は再現度が高く、
展示ケースのギリギリまで近づいてみても、実物との差が判別できないレベルでした。
こちらの 《琵琶に白蛇図》 にいたっては・・・
葛飾北斎 《琵琶に白蛇図》 (通期) フリーア美術館蔵
Original: Freer Gallery of Art, Smithsonian Institution, Washington, D.C.: Gift of Charles Lang Freer, F1904.134
※展示は高精細複製画となります。
色彩を再現するのは当然のこと、
顔料が盛り上がった鱗の質感まで、完全再現されていました。
江戸時代にこれほどまでに独創的でビビッドな絵を描いた北斎も、もちろん素晴らしいのですが。
その絵を、ここまで完璧に再現できる現代の技術も素晴らしかったです。
そういう意味では、普通の肉筆画 (?) よりも、Wで感動できた気がします。
また、ただ完全再現できて良かったね、というだけでは決してなく。
展覧会では、高精細複製画だからこそ実現できる仕組みを積極的に取り入れていました。
例えば、実際の肉筆画は、保存の関係上、ガラスケースに入れる必要があります。
しかし、高精細複製画ならば、そのまま展示することが可能であるため、
畳の上に設置し、作品が描かれた当時のスタイルで鑑賞できるコーナーが設けられていました。
また例えば、古歌に詠まれた6か所の玉川を描いた 《玉川六景図》。
葛飾北斎 《玉川六景図》 (通期) フリーア美術館蔵
Original: Freer Gallery of Art, Smithsonian Institution, Washington, D.C.:Gift of Charles Lang Freer, F1904.204-205
※展示は高精細複製画となります。
現在、フリーア美術館に所蔵されている屏風の仕立てでは、
上のように右隻には人物が、左隻には風景が、それぞれ描かれていますが。
どうやら、もともとは人物と風景を一対として構成されていた可能性が高かったとのこと。
そこで今回、高精細複製画を制作するにあたって、
北斎が描いた当初の姿であろう形で再現されていました。
レプリカでお茶を濁した展覧会では決してなく、
レプリカだからこそ実現できることが満載の展覧会。
日本の伝統文化と日本の最先端技術が融合した展覧会でした。
ちなみに。
今回制作された高精細複製画の中で、
特に印象的だったのは、やはり 《蟹尽し図》 でしょうか。
葛飾北斎 《蟹尽し図》 (通期) フリーア美術館蔵
Original: Freer Gallery of Art, Smithsonian Institution, Washington, D.C.: Gift of Charles Lang Freer, F1902.254
※展示は高精細複製画となります。
画面にビッシリと描かれたカニ、カニ、カニ (と、一部カブトガニやヤシガニ)。
その数は、実に106匹。
インパクト抜群の1枚です。
何より、蟹が食べたくなること必至です。
それから、もう1点印象的だったのが、《波濤図》 。
'The Great Wave' こと 《冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏》 と対比させるように展示されていました。
《波濤図》 を描いた時、北斎は88歳。
《冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏》 を発表してか16年が経過しています。
葛飾北斎 《波濤図》 (通期) フリーア美術館蔵
Original: Freer Gallery of Art, Smithsonian Institution, Washington, D.C.: Gift of Charles Lang Freer, F1905.276
※展示は高精細複製画となります。
波の鉤爪感 (?) は、より進化。
ゴジラの手のようになっていました。
《波濤図》 と見比べてしまうと、《冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏》 の波なんて可愛いもの。
葛飾北斎 《冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏》 (通期)
作品を替えて通期で展示 すみだ北斎美術館蔵
公園の水飲み場みたいな感じ。
のほほんとしています。
対して、《波濤図》 の波は、確実に意思を持っています。
そして、おそらく何かを実際に掴むことができるはず。
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