この夏、三井記念美術館で開催されているのは、
“日本の素朴絵 ―ゆるい、かわいい、たのしい美術―” という展覧会です。
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております)
上手いとか下手といった物差しでは測れない、
ゆるくとぼけた味わいのある表現で描かれた絵画。
それが、素朴絵。
地獄の恐ろしさを伝えたいはずなのに、なぜか真逆の効果を生んでしまっている 《十王図屏風》 や、
《十王図屏風》 8曲1隻 江戸時代・17世紀 日本民藝館蔵
山の上から下へと進んでいるはずの川の流れが、
逆に上へと昇っているように見える、どこかエッシャー風な 《伊勢参詣曼荼羅》 などなど、
《伊勢参詣曼荼羅》 2幅 江戸時代・17世紀 三井文庫蔵
描いている本人はいたって本気なのでしょうが、
観ているこちらとしては、「どうしてこうなった」 と首を傾げざるを得ない。
そんな日本美術史に残る素朴絵の名品が会場に大集結しています。
確かに、伊藤若冲や円山応挙といった、
一流画家によって描かれた絵に、人は心を動かされるものですが。
絵心ない芸人が描いた絵や、しょうこお姉さんが描いたスプーの絵など、
決して上手くはない、いや、むしろ実物とは似ても似つかない絵にも、人は心を動かされるものです。
・・・・・ある意味で。
そして、その衝撃度に関しては、時に一流画家の名品を超えることもあります。
今展に出展されているのは、そんな “奇跡の一枚” ばかりです。
一人で展覧会を鑑賞していて、笑っていたら変なヤツと思われはしないか。
そう思って、終始笑いをこらえながら鑑賞するはめに。
“絶対に笑ってはいけない展覧会” 状態でした。
今回出展されていた素朴絵は、どれもポテンシャルが高かったですが。
その中でもやはり頭一つ抜けていたのは、《かるかや》。
出家した武士、苅萱道心 (かるかやどうしん) とその息子にまつわる説話の絵入り本です。
《かるかや》 2帖 室町時代・16世紀 サントリー美術館蔵
画面の右中央に、ピクミンみたいなのが5体ほどいますが、実はその正体は、天上から現れた仏様。
いわゆる来迎図のように、天上からパーッスーッと現れる様子を表現したかったのでしょうが。
5人が等間隔で突っ立っているだけなので、
『ドリフの大爆笑』 のオープニングのように感じられてなりません。
だめだこりゃ。
また、今回の展覧会には、今やミュージアムキャラ界の人気者となった、
京都国立博物館のトラりんのモデルとなった尾形光琳の 《竹虎図》 も参戦しています。
尾形光琳筆 《竹虎図》 1幅 江戸時代・18世紀 京都国立博物館蔵
むしろ、トラりんのほうを何回も目にしていたので、
《竹虎図》 と初対面を果たした瞬間、「本物だ!」 とテンションが上がってしまいました (笑)
しかし、何故にだっちゅーのポーズ?
さてさて、素朴絵がテーマの展覧会ですが、
会場には、大阪のオカン感の強い (?) 仏像や、
大阪の歯のないオッちゃん感の強い (?) 狛犬など、
いうなれば、素朴立体ともいうべき作品も数多く紹介されています。
その中でも特に印象的だったのは、展覧会の冒頭を飾っていた 《はにわ(猪を抱える猟師)》 です。
《はにわ(猪を抱える猟師)》 1躯 古墳時代 個人蔵
顔が完全にビートたけし。
それも、『世界まる見え』 のオープニングのたけしです。
あの右手で抱えているイノシシから、白い煙が噴き出すに近いありません。
それからもう一つ印象的だったのが、《木造 神馬・口取人形》 です。
《木造 神馬・口取人形》 1組 鎌倉時代・13世紀 御上神社蔵
どう見ても男性のポーズが、いつもここからの 「悲しいとき」。
悲しいとき~ 真面目に作った人形が、
何百年後に、展覧会で笑いものにされているとき~
1位を目指して、ランキングに挑戦中。
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“日本の素朴絵 ―ゆるい、かわいい、たのしい美術―” という展覧会です。
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております)
上手いとか下手といった物差しでは測れない、
ゆるくとぼけた味わいのある表現で描かれた絵画。
それが、素朴絵。
地獄の恐ろしさを伝えたいはずなのに、なぜか真逆の効果を生んでしまっている 《十王図屏風》 や、
《十王図屏風》 8曲1隻 江戸時代・17世紀 日本民藝館蔵
山の上から下へと進んでいるはずの川の流れが、
逆に上へと昇っているように見える、どこかエッシャー風な 《伊勢参詣曼荼羅》 などなど、
《伊勢参詣曼荼羅》 2幅 江戸時代・17世紀 三井文庫蔵
描いている本人はいたって本気なのでしょうが、
観ているこちらとしては、「どうしてこうなった」 と首を傾げざるを得ない。
そんな日本美術史に残る素朴絵の名品が会場に大集結しています。
確かに、伊藤若冲や円山応挙といった、
一流画家によって描かれた絵に、人は心を動かされるものですが。
絵心ない芸人が描いた絵や、しょうこお姉さんが描いたスプーの絵など、
決して上手くはない、いや、むしろ実物とは似ても似つかない絵にも、人は心を動かされるものです。
・・・・・ある意味で。
そして、その衝撃度に関しては、時に一流画家の名品を超えることもあります。
今展に出展されているのは、そんな “奇跡の一枚” ばかりです。
一人で展覧会を鑑賞していて、笑っていたら変なヤツと思われはしないか。
そう思って、終始笑いをこらえながら鑑賞するはめに。
“絶対に笑ってはいけない展覧会” 状態でした。
今回出展されていた素朴絵は、どれもポテンシャルが高かったですが。
その中でもやはり頭一つ抜けていたのは、《かるかや》。
出家した武士、苅萱道心 (かるかやどうしん) とその息子にまつわる説話の絵入り本です。
《かるかや》 2帖 室町時代・16世紀 サントリー美術館蔵
画面の右中央に、ピクミンみたいなのが5体ほどいますが、実はその正体は、天上から現れた仏様。
いわゆる来迎図のように、天上からパーッスーッと現れる様子を表現したかったのでしょうが。
5人が等間隔で突っ立っているだけなので、
『ドリフの大爆笑』 のオープニングのように感じられてなりません。
だめだこりゃ。
また、今回の展覧会には、今やミュージアムキャラ界の人気者となった、
京都国立博物館のトラりんのモデルとなった尾形光琳の 《竹虎図》 も参戦しています。
尾形光琳筆 《竹虎図》 1幅 江戸時代・18世紀 京都国立博物館蔵
むしろ、トラりんのほうを何回も目にしていたので、
《竹虎図》 と初対面を果たした瞬間、「本物だ!」 とテンションが上がってしまいました (笑)
しかし、何故にだっちゅーのポーズ?
さてさて、素朴絵がテーマの展覧会ですが、
会場には、大阪のオカン感の強い (?) 仏像や、
大阪の歯のないオッちゃん感の強い (?) 狛犬など、
いうなれば、素朴立体ともいうべき作品も数多く紹介されています。
その中でも特に印象的だったのは、展覧会の冒頭を飾っていた 《はにわ(猪を抱える猟師)》 です。
《はにわ(猪を抱える猟師)》 1躯 古墳時代 個人蔵
顔が完全にビートたけし。
それも、『世界まる見え』 のオープニングのたけしです。
あの右手で抱えているイノシシから、白い煙が噴き出すに近いありません。
それからもう一つ印象的だったのが、《木造 神馬・口取人形》 です。
《木造 神馬・口取人形》 1組 鎌倉時代・13世紀 御上神社蔵
どう見ても男性のポーズが、いつもここからの 「悲しいとき」。
悲しいとき~ 真面目に作った人形が、
何百年後に、展覧会で笑いものにされているとき~
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