■永遠の門 ゴッホの見た未来
監督:ジュリアン・シュナーベル
出演:ウィレム・デフォー、ルパート・フレンド、オスカー・アイザック
2018年/イギリス・フランス・アメリカ/111分
画家としてパリで全く評価されないゴッホは、
出会ったばかりの画家ゴーギャンの助言に従い南仏のアルルにやってくるが、
地元の人々との間にはトラブルが生じるなど孤独な日々が続く。
やがて弟テオの手引きもあり、待ち望んでいたゴーギャンがアルルを訪れ、
ゴッホはゴーギャンと共同生活をしながら創作活動にのめりこんでいく。
しかし、その日々も長くは続かず……。
作品が世に理解されずとも筆を握り続けた不器用な生き方を通して、
多くの名画を残した天才画家が人生に何を見つめていたのかを描き出していく。
(「映画.com」より)
「ティム・ロスが主人公を務めた 『ゴッホ』 や、
カーク・ダグラスがゴッホを演じた 『炎の人ゴッホ』 、
全編油彩画で制作されたアニメーション映画 『ゴッホ 最期の手紙』 など、
ゴッホの生涯を取り上げた映画は数多くありますが、本作は最新版。
自らもアメリカ新表現主義の画家でもあり、
『バスキア』 や 『潜水服は蝶の夢を見る』 で知られるジュリアン・シュナーベルの新作映画です。
なお、日本での一般公開は、11月8日から。
一足先に試写会で観させて頂きました。
まず何と言っても驚かされるのが、ゴッホ役のキャスティングです。
ジュリアン・シュナーベルがゴッホ役として白羽の矢を立てたのは、
『プラトーン』 や 『スパイダーマン』 の悪役でお馴染みの名優ウィレム・デフォー。
御年64歳。
春風亭小朝や松山千春と同い年です。
最初はミケランジェロにしか見えなかったものの、
ウィレム・デフォーの演技力の高さゆえ、途中からはゴッホに見えてきました。
・・・が、さすがに37歳のゴッホには見えず、
どうひいき目に見ても、50代のゴッホにしか見えませんでした。。。
顔はともかくも、手足の皴に関しては、もはや完全におじいちゃん。
舞台であれば、そこまで違和感はなかったのでしょうが、
映像作品となると、いくらなんでもゴッホ役には無理があるような。
ちなみに、劇中では、ゴッホが走るシーンが何度も登場します。
特にあまり意味はないのに、幾度となくゴッホが走っていました。
まるで昭和のアニメのオープニングのように。
30代のゴッホが走っていると思えば、何も気にならないのですが、
実際は60代のウィレム・デフォーが走っていると思うと、心配で仕方がありませんでした。
さてさて、今回の映画で特徴的だったのは、
ゴッホが見ていたであろう視線や目線を再現していること。
つまり、ゴッホの目を通した 〈世界〉 を追体験できるというわけです。
実際に映画を観るまでは、
ゴッホはどんな〈世界〉 を見ていたのか、と非常に楽しみだったのですが。
いざ、実際の仕上がりを見てみると、
「・・・・・いや、こういうことじゃないでしょ」 と苦笑せざるを得ませんでした。
ネタバレになるので、多くは語りませんが、
ゴッホ目線のシーンになるたびに、「ハズキルーペ買えよ!」 とツッコミたくなりました。
そんなゴッホの目線のシーンも、なかなかの難解さでしたが。
他にも意図的に手ブレさせたり、急に場面がブツ切りになったり
俳優の顔のアップが多かったり、シーンとBGMのピアノの音が合っていなかったり。
全体を通して、難解な演出が目立ちました。
1回観ただけでは、監督の言わんとすることも半分も理解できていなかった気がします。
劇中で、ゴッホが自分が画家になったのは、
「(自分を理解してくれない) 今の人々ではなく、未来の人々のためである」 と述べていましたが。
もしかしたら、この映画も、未来の人々のための映画なのかもしれません。
個人的には、ゴッホとゴーギャンの友情にはグッときました。
たいていは、自己中キャラとして描かれるゴーギャンですが、
この映画では、友情と美術に熱いナイスガイとして描かれています。
珍しく、ゴーギャンの好感度があがる映画でした。
(星2つ)」
~映画に登場する名作~
《アルルの女(ジヌー夫人)》