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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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加藤泉―LIKE A ROLLING SNOWBALL

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現在、原美術館で開催されているのは、
“加藤泉―LIKE A ROLLING SNOWBALL” という展覧会。
国内外で活躍する現代アーティスト加藤泉さんの、
意外にも、東京の美術館では初となる大規模な個展です。




胎児のような、虫のような、はたまた、どこかの国の民族のお面のような、
一目見たなら忘れられない個性的な生命体をモチーフとした作品で知られる加藤泉さん。
今回の展覧会でも、そんな加藤さんが生み出した生命体の数々が紹介されています。




その数、実に69点。
当初は30点の予定だったそうですが、
増殖に増殖を重ね、倍以上の作品が出展されるに至ったそうです。
星
ちなみに、出展されているのはすべて新作。
生まれたてホヤホヤです。

それらの中には、壁に掛けられているモノや、
天井から吊るさげられているモノもいましたが。




中には、床のコーナーに置かれているモノや、




窓の一部に押し込められているモノ、




庭にある木の隙間からひょっこりはんしているモノもいました。




これら加藤さんの生み出すモノたちは、
基本的に無表情なのに、不思議と生命力が感じられます。
パッと見は、ちょっと気持ち悪いのですが (※個人の感想です)
じーっと眺めているうちに愛着が湧き、気がつけば、すっかり彼らに感情移入をしていました。

今回の出展作品の中で最も感情移入をしてしまったのが、サンゴ製のこの子。




何も掛けないで寝ると、風邪引くよ。
ちゃんとタオルケット掛けなさい。
・・・・・と、お母さんみたいなことを思ってしまいました。

それから、展示室ですみっコぐらししていた (?) この子にも感情移入。




夏バテ・・・なのでしょうか?
とりあえず起き上がる気はなさそうです。
こういう体制で扇風機にあたっている小学生に見えます。
もしくは、南米のボブスレー選手にも見えました。


なお、展示室ごとに展示スタイルは、ガラッと変わっています。
どの展示室も見ごたえがありましたが、個人的にオススメなのは、ギャラリー3。




床には、大量の生命体が寝転んでいます。
その中央ですくっと立つアバターのような生命体。
彼の姿が目に飛び込んできた瞬間、
「もしや、神?!」 という考えが頭をよぎりました。
原始宗教のようなものを彷彿とさせます。
狭いながらカオスが充満した密度の高い空間でした。


それと、もう一つオススメなのが、ギャラリー5。


(注:こちらの展示室は撮影不可。記事に使用している写真は、特別に許可を得て撮影したものです)


こちらは、博物館をイメージしたという空間で、
加藤さんの作品にしては珍しく、ガラスケースに収められています。
随分とオシャレな展示ケースだなァと思ったら、家具屋さんにオーダーした特注品とのこと。
ジャストフィットな展示ケースにすっぽりくるまれて、
心なしか、他の作品たちよりも、気持ち良さげな印象を受けました。


正直なところ、加藤さんの作品は、
パッと見、どれも同じように思えます (笑)
しかし、不思議なほどに、マンネリ感はありません。
むしろ、どんどん他の作品も見たくなる、謎の中毒性を持っています。

ちなみに、原美術館の姉妹館であるハラ ミュージアム アークでも、
現在、同じタイトルで、加藤泉さんの大規模な展覧会が開催されています。
そちらは、新作展ではなく、これまでの約25年のアーティスト活動を振り返る回顧展。
未発表を含む約110点が出展されているのだそうです。
そちらも行かねば。




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