現在、すみだ北斎美術館では、北斎没後170年を記念して、
“北斎 視覚のマジック 小布施・北斎館名品展” という展覧会が開催されています。
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております。)
こちらは、前回の “茂木本家美術館の北斎名品展” に次ぐ、他館とのコラボ展。
長野県小布施町にある北斎館の名品の数々を一挙公開するものです。
「栗と北斎と花のまち」 として親しまれているほどに、北斎との縁が深い小布施町。
83歳の時に初めて小布施を訪れて以来、
北斎は晩年までたびたび、その地を訪れていたのだそうです。
車や新幹線がない時代、ましてや当時の80代の人間が、
たびたび東京から小布施まで足を運んでいたという事実には驚きを隠せません。
北斎館を訪れてみたいとは思っているものの、
つい億劫がってしまい、まだ一度も足を運べていませんでしたが。
北斎のバイタリティを見習わなくては、と反省。
近いうちに訪れようと思います。
とはいえ、その前に、今回、北斎館のほうから、
名品の数々が上京してくれいるので、まずはこの展覧会を存分に楽しむことに。
《冨嶽三十六景》 シリーズや 《諸国名橋奇覧》 シリーズなど、
北斎の浮世絵の代表作の数々ももちろん紹介されていましたが、
今展の見どころは、やはり北斎の肉筆画コレクションでしょう。
「画狂人葛飾北斎の肉筆画美術館」 を自称するほどに、
北斎の肉筆画のコレクションが充実している北斎館。
中でも見逃せないのが、前期 (11月19日~12月15日) に出展中の 《富士越龍》 です。
葛飾北斎筆 《富士越龍》 北斎館蔵 (前期)
縦長の画面に納めるためでしょうか、
少しスリムになった富士山と、天に昇る龍が描かれた一枚です。
黒い雲は、まるで富士山に絡みついているかのよう。
どことなく不穏な印象がありますが、なんとお正月に描かれた作品なのだとか。
ちなみに、この絵を描いた約3ヶ月後に、北斎はこの世を去っています。
もしかしたら、龍は北斎自身を、
黒い雲はこの世への未練を表しているのかもしれません!。
また、肉筆画といえば、こんな作品も。
葛飾北斎筆 《「日新除魔」 霜月十三日》 北斎館蔵 (後期)
《日新除魔》 は、83歳頃の北斎がプライベートで毎日描いていたという獅子や獅子舞の絵の総称。
「除魔」 、つまり、魔を払うために、
毎日、北斎は獅子や獅子舞の絵を描いていたのだそうです。
そして、書き終わるや否や、丸めてポイッと家の外に捨てていたのだとか。
さてさて、そんな北斎を悩ませる魔の正体は、
エクソシスト的な悪魔でもなければ、病魔でもありません。
その正体は、なんと北斎の実の孫とのこと。
放蕩を繰り返す素行不良な孫だったようで、
一説には、孫が作った借金を北斎が肩代わりしていたと言われています。
『画狂老人卍』 を名乗るおじいちゃんから、
“魔” 呼ばわりされるだなんて、よっぽどヤバい孫だったのでしょうね。
さらに、今展の目玉作品は、何といっても祭屋台天井絵。
コレを目当てに北斎館を訪れる人も多いという、まさに北斎館の至宝ともいうべき逸品です。
祭屋台は、北斎唯一の立体造形物とされる作品で、
その天井部分に、北斎が肉筆で描いた絵が2面飾られています。
今展では、北斎館で常設されている東町祭屋台と上町祭屋台、
2つの祭屋台からそれぞれ1面ずつ、《鳳凰》 と 《男浪》 が特別に上京中です。
葛飾北斎筆 《東町祭屋台天井絵 鳳凰》 小布施町東町自治会所蔵 北斎館寄託 (通期)
葛飾北斎筆 《上町祭屋台天井絵 男浪》 小布施町東町自治会所蔵 北斎館寄託 (通期)
しかも、目線と同じ高さで観賞することが出来るように展示されていました。
《鳳凰》 も 《男浪》 も、どちらもスゴい迫力がありましたが、
目を背けたくなるような圧迫感はなく、むしろ視線が引き込まれるよう。
特に、《男浪》 にいたっては、
目がグルングルンしそうなものなのに、思わずボーッと見続けてしまいました。
しかも、観れば観るほど、妙に心がスーッと落ち着いてくるものがあります。
あれっ?この感覚、どこかでも経験したような・・・・・はっ!!
コインランドリーやドラム式洗濯機で、
グルグル回る洗濯物をじーっとボーッと眺めてしまう。
あの感覚に近いものがありました。
北斎の名品の数々そのものにも、もちろん感銘を受けましたが。
それと同じくらいに、貴重な肉筆画コレクションにくわえ、
館の目玉である祭屋台天井絵4面のうち2面を貸し出してくれた北斎館、
その出し惜しみしない姿勢にも感銘を受けました。
やはり何が何でも、訪れなくては!
ただ、せっかくであれば、祭屋台は完璧な状態で観たいので、
今回のすみだ北斎美術館での展覧会が終わってから、訪れたいと思います。
ちなみに。
今回の出展作品の中で他に印象的だったのは、《白拍子》 という肉筆画 (画面手前) です。
表装が完全にポール・スミス。
江戸時代にも、ポール・スミスはあったのですね (←?)。
1位を目指して、ランキングに挑戦中。
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“北斎 視覚のマジック 小布施・北斎館名品展” という展覧会が開催されています。
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております。)
こちらは、前回の “茂木本家美術館の北斎名品展” に次ぐ、他館とのコラボ展。
長野県小布施町にある北斎館の名品の数々を一挙公開するものです。
「栗と北斎と花のまち」 として親しまれているほどに、北斎との縁が深い小布施町。
83歳の時に初めて小布施を訪れて以来、
北斎は晩年までたびたび、その地を訪れていたのだそうです。
車や新幹線がない時代、ましてや当時の80代の人間が、
たびたび東京から小布施まで足を運んでいたという事実には驚きを隠せません。
北斎館を訪れてみたいとは思っているものの、
つい億劫がってしまい、まだ一度も足を運べていませんでしたが。
北斎のバイタリティを見習わなくては、と反省。
近いうちに訪れようと思います。
とはいえ、その前に、今回、北斎館のほうから、
名品の数々が上京してくれいるので、まずはこの展覧会を存分に楽しむことに。
《冨嶽三十六景》 シリーズや 《諸国名橋奇覧》 シリーズなど、
北斎の浮世絵の代表作の数々ももちろん紹介されていましたが、
今展の見どころは、やはり北斎の肉筆画コレクションでしょう。
「画狂人葛飾北斎の肉筆画美術館」 を自称するほどに、
北斎の肉筆画のコレクションが充実している北斎館。
中でも見逃せないのが、前期 (11月19日~12月15日) に出展中の 《富士越龍》 です。
葛飾北斎筆 《富士越龍》 北斎館蔵 (前期)
縦長の画面に納めるためでしょうか、
少しスリムになった富士山と、天に昇る龍が描かれた一枚です。
黒い雲は、まるで富士山に絡みついているかのよう。
どことなく不穏な印象がありますが、なんとお正月に描かれた作品なのだとか。
ちなみに、この絵を描いた約3ヶ月後に、北斎はこの世を去っています。
もしかしたら、龍は北斎自身を、
黒い雲はこの世への未練を表しているのかもしれません!。
また、肉筆画といえば、こんな作品も。
葛飾北斎筆 《「日新除魔」 霜月十三日》 北斎館蔵 (後期)
《日新除魔》 は、83歳頃の北斎がプライベートで毎日描いていたという獅子や獅子舞の絵の総称。
「除魔」 、つまり、魔を払うために、
毎日、北斎は獅子や獅子舞の絵を描いていたのだそうです。
そして、書き終わるや否や、丸めてポイッと家の外に捨てていたのだとか。
さてさて、そんな北斎を悩ませる魔の正体は、
エクソシスト的な悪魔でもなければ、病魔でもありません。
その正体は、なんと北斎の実の孫とのこと。
放蕩を繰り返す素行不良な孫だったようで、
一説には、孫が作った借金を北斎が肩代わりしていたと言われています。
『画狂老人卍』 を名乗るおじいちゃんから、
“魔” 呼ばわりされるだなんて、よっぽどヤバい孫だったのでしょうね。
さらに、今展の目玉作品は、何といっても祭屋台天井絵。
コレを目当てに北斎館を訪れる人も多いという、まさに北斎館の至宝ともいうべき逸品です。
祭屋台は、北斎唯一の立体造形物とされる作品で、
その天井部分に、北斎が肉筆で描いた絵が2面飾られています。
今展では、北斎館で常設されている東町祭屋台と上町祭屋台、
2つの祭屋台からそれぞれ1面ずつ、《鳳凰》 と 《男浪》 が特別に上京中です。
葛飾北斎筆 《東町祭屋台天井絵 鳳凰》 小布施町東町自治会所蔵 北斎館寄託 (通期)
葛飾北斎筆 《上町祭屋台天井絵 男浪》 小布施町東町自治会所蔵 北斎館寄託 (通期)
しかも、目線と同じ高さで観賞することが出来るように展示されていました。
《鳳凰》 も 《男浪》 も、どちらもスゴい迫力がありましたが、
目を背けたくなるような圧迫感はなく、むしろ視線が引き込まれるよう。
特に、《男浪》 にいたっては、
目がグルングルンしそうなものなのに、思わずボーッと見続けてしまいました。
しかも、観れば観るほど、妙に心がスーッと落ち着いてくるものがあります。
あれっ?この感覚、どこかでも経験したような・・・・・はっ!!
コインランドリーやドラム式洗濯機で、
グルグル回る洗濯物をじーっとボーッと眺めてしまう。
あの感覚に近いものがありました。
北斎の名品の数々そのものにも、もちろん感銘を受けましたが。
それと同じくらいに、貴重な肉筆画コレクションにくわえ、
館の目玉である祭屋台天井絵4面のうち2面を貸し出してくれた北斎館、
その出し惜しみしない姿勢にも感銘を受けました。
やはり何が何でも、訪れなくては!
ただ、せっかくであれば、祭屋台は完璧な状態で観たいので、
今回のすみだ北斎美術館での展覧会が終わってから、訪れたいと思います。
ちなみに。
今回の出展作品の中で他に印象的だったのは、《白拍子》 という肉筆画 (画面手前) です。
表装が完全にポール・スミス。
江戸時代にも、ポール・スミスはあったのですね (←?)。
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