現在、東京ステーションギャラリーでは、
“坂田一男 捲土重来” という展覧会が開催中です。
日本の前衛美術の先駆者、坂田一男にスポットを当てた展覧会です。
“・・・・・坂田一男?誰??”
そう思われた方は、少なくないはず。
とりあえず、その名前からは、彼が長男であることくらいしかわかりません。
もし、坂田一男の名前を知らなかったとしても、どうぞご安心を。
おそらく美術関係者でも、彼の名前を知らない人がほとんどでしょう。
ということで、まずは坂田一男の紹介を。
坂田一男 (1889~1956) は、医学者・坂田快太郎の長男として、岡山市に生まれました。
若き日は岡田三郎助や藤島武二に師事した坂田。
30歳を過ぎてからパリに渡り、本格的に画業をスタートさせました。
パリで当時最先端だった芸術運動キュビスムに出合った坂田は、
フェルナン・レジェの助手を務めながら、前衛の画家としてパリの第一線で活躍します。
ちなみに、展覧会の冒頭では、師匠のレジェの作品とともに、
そんなパリ時代の坂田が描いたキュビスム風の作品が紹介されていました。
《キュビスム的人物像》 1925年 岡山県立美術館
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております。)
ここまでは順風満帆、華やかな画家人生のように思えますが。
1933年に帰国した後、故郷の岡山に戻ってからは、
一貫して中央画壇から距離を置いていたため、知名度はパッとせず、フェードアウト気味。
生前も没後も岡山以外で大きく紹介されることは、ほぼありませんでした。
今展は、そんな “This is 知る人ぞ知る画家” 坂田一男、
彼の知られざる画業の全貌を明らかにしようと試みた初の展覧会です。
タイトルに付けられた “捲土重来” なる聞きなれない言葉は、
「一度敗れたり、失敗した人がまた盛り返すこと」 を表す四字熟語。
最近の例でいえば、アンタッチャブルが捲土重来を果たしましたね。
と、それはさておき。
坂田自身は、知名度がパッとしないだけで、
特に負けもしくじりもしていない気がしますが (笑)
今展を機に、坂田の時代が 「来るぅ~」 かもしれません。
さて、展覧会のメインとなるのは、
これまであまり大々的に紹介されてこなかった岡山時代の坂田一男作品です。
中でも特に興味深かったのは、仲良く並んだ 《静物I》 と 《静物II》 という作品。
近づいてみると、どちらもその表面に剥落が見て取れます。
《静物I》 1934年 大原美術館
《静物Ⅱ》 1934年 大原美術館
実は、1944年と1954年の二度にわたり、
アトリエが水害に遭ってしまった坂田一男。
多くの作品が冠水で破損、あるいは消失の憂き目にあったのだとか。
坂田は、被害に遭った作品を自らの手で修復したそうですが、
完全に元の姿に戻すのではなく、《静物I》 や 《静物II》 のように、あえてその剥落を残したままのものも。
そうすることで、水害前と水害後、異なる時間を1枚の絵画の中に共存させたのです。
転んでもただは起きない。
まさに、捲土重来な絵画作品です。
ちなみに、今回の展覧会を監修したのは、造形作家の岡﨑乾二郎さん。
《静物I》 や 《静物II》 の絵の中に、
異なる時間が共存しているうんぬんかんぬんは、岡崎さんによる見解です。
他にも、坂田が何度も絵画のモチーフにした手榴弾に対する見解や、
《コンポジション》 1936年 個人蔵
スリット状の形が横縞模様のように配置された絵画に対する見解などが、
《コンポジション(メカニック・エレメント)》 1955年 岡山県立美術館
モランディやジャスパー・ジョーンズ、坂本繁二郎ら、
坂田が影響を受けたであろう画家や同時代の画家の作品と比較しつつ紹介されていました。
正直なところ、内容が高度すぎて、
岡崎さんが言わんとすることの3割も理解できた気がしませんが (笑)
大事な真相が明らかになったことは、ニュアンスでわかるので、
本格推理小説の解決編を読んでいるようなワクワク感はありました。
一般的には、抽象画はフィーリングで観るものと思われていますが、
この展覧会に関しては、フィーリングタイプよりもロジックタイプの人のほうが楽しめそうです。
・・・・・・・たぶんですけど (←フィーリング)。
┃会期:2019年12月7日(土)~2020年1月26日(日)
┃会場:東京ステーションギャラリー
┃http://www.ejrcf.or.jp/gallery/exhibition/201912_sakata.html
~読者の皆様へのプレゼント~
“坂田一男展” の無料鑑賞券を、5組10名様にプレゼントいたします。
住所・氏名・電話番号を添えて、以下のメールフォームより応募くださいませ。
https://ws.formzu.net/fgen/S98375463/
なお、〆切は、12月25日です。当選は発送をもって代えさせていただきます。
1位を目指して、ランキングに挑戦中。
下のボタンをポチッと押して頂けると嬉しいです!
“坂田一男 捲土重来” という展覧会が開催中です。
日本の前衛美術の先駆者、坂田一男にスポットを当てた展覧会です。
“・・・・・坂田一男?誰??”
そう思われた方は、少なくないはず。
とりあえず、その名前からは、彼が長男であることくらいしかわかりません。
もし、坂田一男の名前を知らなかったとしても、どうぞご安心を。
おそらく美術関係者でも、彼の名前を知らない人がほとんどでしょう。
ということで、まずは坂田一男の紹介を。
坂田一男 (1889~1956) は、医学者・坂田快太郎の長男として、岡山市に生まれました。
若き日は岡田三郎助や藤島武二に師事した坂田。
30歳を過ぎてからパリに渡り、本格的に画業をスタートさせました。
パリで当時最先端だった芸術運動キュビスムに出合った坂田は、
フェルナン・レジェの助手を務めながら、前衛の画家としてパリの第一線で活躍します。
ちなみに、展覧会の冒頭では、師匠のレジェの作品とともに、
そんなパリ時代の坂田が描いたキュビスム風の作品が紹介されていました。
《キュビスム的人物像》 1925年 岡山県立美術館
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております。)
ここまでは順風満帆、華やかな画家人生のように思えますが。
1933年に帰国した後、故郷の岡山に戻ってからは、
一貫して中央画壇から距離を置いていたため、知名度はパッとせず、フェードアウト気味。
生前も没後も岡山以外で大きく紹介されることは、ほぼありませんでした。
今展は、そんな “This is 知る人ぞ知る画家” 坂田一男、
彼の知られざる画業の全貌を明らかにしようと試みた初の展覧会です。
タイトルに付けられた “捲土重来” なる聞きなれない言葉は、
「一度敗れたり、失敗した人がまた盛り返すこと」 を表す四字熟語。
最近の例でいえば、アンタッチャブルが捲土重来を果たしましたね。
と、それはさておき。
坂田自身は、知名度がパッとしないだけで、
特に負けもしくじりもしていない気がしますが (笑)
今展を機に、坂田の時代が 「来るぅ~」 かもしれません。
さて、展覧会のメインとなるのは、
これまであまり大々的に紹介されてこなかった岡山時代の坂田一男作品です。
中でも特に興味深かったのは、仲良く並んだ 《静物I》 と 《静物II》 という作品。
近づいてみると、どちらもその表面に剥落が見て取れます。
《静物I》 1934年 大原美術館
《静物Ⅱ》 1934年 大原美術館
実は、1944年と1954年の二度にわたり、
アトリエが水害に遭ってしまった坂田一男。
多くの作品が冠水で破損、あるいは消失の憂き目にあったのだとか。
坂田は、被害に遭った作品を自らの手で修復したそうですが、
完全に元の姿に戻すのではなく、《静物I》 や 《静物II》 のように、あえてその剥落を残したままのものも。
そうすることで、水害前と水害後、異なる時間を1枚の絵画の中に共存させたのです。
転んでもただは起きない。
まさに、捲土重来な絵画作品です。
ちなみに、今回の展覧会を監修したのは、造形作家の岡﨑乾二郎さん。
《静物I》 や 《静物II》 の絵の中に、
異なる時間が共存しているうんぬんかんぬんは、岡崎さんによる見解です。
他にも、坂田が何度も絵画のモチーフにした手榴弾に対する見解や、
《コンポジション》 1936年 個人蔵
スリット状の形が横縞模様のように配置された絵画に対する見解などが、
《コンポジション(メカニック・エレメント)》 1955年 岡山県立美術館
モランディやジャスパー・ジョーンズ、坂本繁二郎ら、
坂田が影響を受けたであろう画家や同時代の画家の作品と比較しつつ紹介されていました。
正直なところ、内容が高度すぎて、
岡崎さんが言わんとすることの3割も理解できた気がしませんが (笑)
大事な真相が明らかになったことは、ニュアンスでわかるので、
本格推理小説の解決編を読んでいるようなワクワク感はありました。
一般的には、抽象画はフィーリングで観るものと思われていますが、
この展覧会に関しては、フィーリングタイプよりもロジックタイプの人のほうが楽しめそうです。
・・・・・・・たぶんですけど (←フィーリング)。
┃会期:2019年12月7日(土)~2020年1月26日(日)
┃会場:東京ステーションギャラリー
┃http://www.ejrcf.or.jp/gallery/exhibition/201912_sakata.html
~読者の皆様へのプレゼント~
“坂田一男展” の無料鑑賞券を、5組10名様にプレゼントいたします。
住所・氏名・電話番号を添えて、以下のメールフォームより応募くださいませ。
https://ws.formzu.net/fgen/S98375463/
なお、〆切は、12月25日です。当選は発送をもって代えさせていただきます。
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