■しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイス
監督:アシュリング・ウォルシュ
出演:サリー・ホーキンス、イーサン・ホーク
2016年/カナダ・アイルランド/116分
カナダ東部の小さな町で叔母と暮らすモードは、
買い物中に見かけた家政婦募集の広告を貼り出したエベレットに興味を抱き、
彼が暮らす町外れの小屋に押しかける。
子どもの頃から重度のリウマチを患っているモード。
孤児院育ちで学もないエベレット。
そんな2人の同居生活はトラブルの連続だったが、はみ出し者の2人は互いを認め合い、結婚する。
そしてある時、魚の行商を営むエベレットの顧客であるサンドラが2人の家を訪れる。
モードが部屋の壁に描いたニワトリの絵を見て、
モードの絵の才能を見抜いたサンドラは、絵の制作を依頼。
やがてモードの絵は評判を呼び、アメリカのニクソン大統領から依頼が来るまでになるが……。
(「映画.com」より)
「モード・ルイス (1903~1970)。
カナダで最も有名な画家の一人だそうですが、
正直なところ、この映画を通じて初めて知りました。
美術教育を特に受けたことはなく、
独学で絵を描き続けたというその作風は、まさに素朴派そのもの。
グランマ・モーゼスに通ずるものがありました。
そんな彼女の生涯を描いた映画ではありますが、
物語のメインとなるのは、アーティストとしての一面にあらず。
(その証拠に、彼女が絵を描くシーンは、映画が始まって約40分後にようやく訪れます)
モード・ルイスとその夫であるエベレットの不思議な夫婦生活を丹念に描いた映画でした。
魚の行商や自身が育った孤児院の手伝いなど、
多数の仕事をこなしながらも、決して裕福ではないエベレット。
家事をする暇もないため、彼は思い切って家政婦を雇うことに。
そこに応募してきたのが、叔母の家で厄介者扱いされていたモード。
エベレットとは、雇用主と従業員という関係で、
ひとつ屋根の下での暮らしを始めることとなるのです。
まるで、『逃げ恥』 状態です。
最初は衝突しあっていた2人ですが、
年月が経つとともに、次第とお互いを理解し合うように。
モードが画家として注目されるようになってからは、
なんだかんだ文句や不満もありながらも、モードの分まで家事をこなすエベレット。
その不器用な優しさに、思わずキュンとしました。
この映画を観ると、きっとどんな人でも、“結婚っていいなァ” と強く実感するはず。
結婚願望が高まること請け合いの映画です。
いやぁ、僕もエベレットみたいな人と結婚したい!
・・・・・・・ん?あれっ??モードじゃなくて??
冷静に考えると、エベレットと比べてしまうと、
主人公であるモードは、そこまで魅力的な人物に描かれていなかった気がします。
正直なところ、モードとの結婚は無いなぁ。
容姿がガッキーだったら別ですが (←?)。
ちなみに。
『しあわせの絵の具』、『愛を描く人』 と、
タイトルにあるので、終始ハッピーなタッチの映画なのかと思いきや。
ほっこりするシーンもあるものの、全体的にはトーンが暗め。
物語も 『ザ・ノンフィクション』 ばりに淡々と進んでいきます。
だいぶ “盛った” タイトルです。
なお、調べてみると、どうやら原題は、『Maudie(モード)』 とのこと。
盛りに盛った邦題と比べて、びっくりするくらいにシンプルでした。
素朴派にもほどがあるタイトルです。
(星2.5つ)」
~映画に登場する名画~
モード・ルイス 《アメリカコガラ》