昨日紹介したVOCA賞と並ぶ、美術界の春の風物詩。
それは、岡本太郎現代芸術賞。通称TARO賞。
岡本太郎の遺志を継ぎ、「時代を創造する者は誰か」 を問うための賞です。
国籍、年齢の制限はなし。
プロアマ問わず誰でも応募可能となっています。
さらには、表現の技法も一切制限なし!
高さ5m×幅5m、もしくは、奥行き5m以内であれば、平面でも立体でもOKとなっています。
まさに、美術界の異種格闘技戦のような公募展といえましょう。
その第23回目、令和初となるTARO賞の入選作品が、
例によって、今年も川崎市岡本太郎美術館に一堂に会しています。
応募総数は、昨年の416作品を上回る452点。
その中から、厳正な審査を経て入選したのは、たった25作品です。
25作品の中で頂点に輝き、見事チャンピオンの座を獲得、
つまり岡本太郎賞を受賞したのは、野々上聡人さんの 《ラブレター》 という作品でした。
壁全体を埋め尽くす絵画 (時々、映像)。
そして、その中央に積み上げられたたくさんの立体。
これらはすべて、この10年で作り続けていたという膨大な作品から、
野々上さん自身が、良いと思えるものをセレクトしたものなのだそうです。
実は、美術の教育を全く受けていないという野々上さん。
これまでアートの公募展に一回も応募したこともなかったのだとか。
ノーマークながらも、圧倒的なインパクトでチャンピオンに。
昨年末のM-1のミルクボーイと同じスタイルの勝ち方ですね。
さらに、史上最高レベルの激戦となった昨年末のM-1同様、
今年の岡本太郎現代芸術賞 (TARO賞) は史上最高レベルの激戦だった模様。
段ボール製の仮面が壁に敷き詰められた本濃研太さんの 《僕のDNAが知っている》 や、
架空の古美術店をモチーフにした村上力さんの 《(上)一品洞「美術の力」》 を含め、
(↑店主は太郎さん)
なんと史上初となる5作品が特別賞を受賞しています。
皆さま、おめでとうございます!
さて、そんな特別賞の作品の中で、
個人的に一番印象に残っているのは、森貴之さんの 《View Tracing》 です。
暗幕を抜けると、そこに広がっていたのは、
ポリゴンで構成されたヴァーチャルな世界でした。
・・・・・・いや、待てよ。
冷静に考えると、ポリゴンは、2次元の世界。
つまり、ここは平面の世界なのでしょうか。
でも、この空間の中で、自分は自由に動き回ることが出来ています。
つまり立体の世界のはず。
今、自分は2次元の世界にいるのか。
それとも、3次元の世界にいるのか。
考えれば考えるほど、よくわからなくなってくる・・・。
実に奇妙な体験ができる空間でした。
ちなみに、特別賞受賞作品のうちの1点、
藤原千也さんの 《太陽のふね》 という作品ですが・・・・・
なぜか、ビニールでスッポリと覆われていました。
時期が時期だけに、そして、モチーフが船だけに、
横浜港に停泊していたクルーズ船を連想してしまいましたが。
本物の巨木を素材にした作品ということで、
どうやらウイルスとはまた別の何かが発生してしまったとのこと。
残念ながら、近いうちに撤去・・・もとい作家の元へ出港してしまうそうです。
なお、準グランプリに当たる岡本敏子賞を受賞したのは、
陶を手びねりし、奇妙な生物のオブジェを作る根本裕子さん。
今回は、架空の生物ではなく、《野良犬》 を制作しています。
一体一体が、違うポーズ、違う表情をしています。
それぞれの性格までもが伝わってくるようなリアリティがありました。
岡本敏子賞を受賞するに相応しい素晴らしい作品です。
ただ、あまりにも野良犬たちの姿にリアリティがあり過ぎて・・・・・
その奥の壁に展示された井上直さんの絵画、
《Ⅴ字鉄塔のある惑星A》 に近づきづらかったです (笑)
まるで野良犬たちが、絵画を守っているかのよう。
井上さんからすれば、“余計なことしてくれるなよ” といった感じでしょう。
ちなみに、顔面のインパクトが圧倒的な佐藤圭一さんの 《おねすと》 や、
(↑ナダルみたいなのが混じっているような・・・)
青木繁の 《海の幸》 をモチーフにしたであろう丸山喬平さんの 《幸について》 など、
入選作家の作品の中にも気になったものは多数ありました。
中でも一番気になったのは、そんたくズというフリーの芸人による、
《そんたくズ岡本太郎美術館記念コントライブ ~死ぬのはお前だ!アジア初の逆デュシャン展~》 という作品。
正確には、まぁ、作品と言っていいのか、よくわかりませんが。
実際に土日にこのステージでコントライブをするのだそうです。
いや、する予定だったそうです。
しかし、昨今のコロナウィルスの影響により、
ライブを中止せざるを得なくなってしまったようです。
そのことを知らせる張り紙も。
彼らは政府の判断に対して、相当ご立腹のようです。
忖度しないんかい!
1位を目指して、ランキングに挑戦中。
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それは、岡本太郎現代芸術賞。通称TARO賞。
岡本太郎の遺志を継ぎ、「時代を創造する者は誰か」 を問うための賞です。
国籍、年齢の制限はなし。
プロアマ問わず誰でも応募可能となっています。
さらには、表現の技法も一切制限なし!
高さ5m×幅5m、もしくは、奥行き5m以内であれば、平面でも立体でもOKとなっています。
まさに、美術界の異種格闘技戦のような公募展といえましょう。
その第23回目、令和初となるTARO賞の入選作品が、
例によって、今年も川崎市岡本太郎美術館に一堂に会しています。
応募総数は、昨年の416作品を上回る452点。
その中から、厳正な審査を経て入選したのは、たった25作品です。
25作品の中で頂点に輝き、見事チャンピオンの座を獲得、
つまり岡本太郎賞を受賞したのは、野々上聡人さんの 《ラブレター》 という作品でした。
壁全体を埋め尽くす絵画 (時々、映像)。
そして、その中央に積み上げられたたくさんの立体。
これらはすべて、この10年で作り続けていたという膨大な作品から、
野々上さん自身が、良いと思えるものをセレクトしたものなのだそうです。
実は、美術の教育を全く受けていないという野々上さん。
これまでアートの公募展に一回も応募したこともなかったのだとか。
ノーマークながらも、圧倒的なインパクトでチャンピオンに。
昨年末のM-1のミルクボーイと同じスタイルの勝ち方ですね。
さらに、史上最高レベルの激戦となった昨年末のM-1同様、
今年の岡本太郎現代芸術賞 (TARO賞) は史上最高レベルの激戦だった模様。
段ボール製の仮面が壁に敷き詰められた本濃研太さんの 《僕のDNAが知っている》 や、
架空の古美術店をモチーフにした村上力さんの 《(上)一品洞「美術の力」》 を含め、
(↑店主は太郎さん)
なんと史上初となる5作品が特別賞を受賞しています。
皆さま、おめでとうございます!
さて、そんな特別賞の作品の中で、
個人的に一番印象に残っているのは、森貴之さんの 《View Tracing》 です。
暗幕を抜けると、そこに広がっていたのは、
ポリゴンで構成されたヴァーチャルな世界でした。
・・・・・・いや、待てよ。
冷静に考えると、ポリゴンは、2次元の世界。
つまり、ここは平面の世界なのでしょうか。
でも、この空間の中で、自分は自由に動き回ることが出来ています。
つまり立体の世界のはず。
今、自分は2次元の世界にいるのか。
それとも、3次元の世界にいるのか。
考えれば考えるほど、よくわからなくなってくる・・・。
実に奇妙な体験ができる空間でした。
ちなみに、特別賞受賞作品のうちの1点、
藤原千也さんの 《太陽のふね》 という作品ですが・・・・・
なぜか、ビニールでスッポリと覆われていました。
時期が時期だけに、そして、モチーフが船だけに、
横浜港に停泊していたクルーズ船を連想してしまいましたが。
本物の巨木を素材にした作品ということで、
どうやらウイルスとはまた別の何かが発生してしまったとのこと。
残念ながら、近いうちに撤去・・・もとい作家の元へ出港してしまうそうです。
なお、準グランプリに当たる岡本敏子賞を受賞したのは、
陶を手びねりし、奇妙な生物のオブジェを作る根本裕子さん。
今回は、架空の生物ではなく、《野良犬》 を制作しています。
一体一体が、違うポーズ、違う表情をしています。
それぞれの性格までもが伝わってくるようなリアリティがありました。
岡本敏子賞を受賞するに相応しい素晴らしい作品です。
ただ、あまりにも野良犬たちの姿にリアリティがあり過ぎて・・・・・
その奥の壁に展示された井上直さんの絵画、
《Ⅴ字鉄塔のある惑星A》 に近づきづらかったです (笑)
まるで野良犬たちが、絵画を守っているかのよう。
井上さんからすれば、“余計なことしてくれるなよ” といった感じでしょう。
ちなみに、顔面のインパクトが圧倒的な佐藤圭一さんの 《おねすと》 や、
(↑ナダルみたいなのが混じっているような・・・)
青木繁の 《海の幸》 をモチーフにしたであろう丸山喬平さんの 《幸について》 など、
入選作家の作品の中にも気になったものは多数ありました。
中でも一番気になったのは、そんたくズというフリーの芸人による、
《そんたくズ岡本太郎美術館記念コントライブ ~死ぬのはお前だ!アジア初の逆デュシャン展~》 という作品。
正確には、まぁ、作品と言っていいのか、よくわかりませんが。
実際に土日にこのステージでコントライブをするのだそうです。
いや、する予定だったそうです。
しかし、昨今のコロナウィルスの影響により、
ライブを中止せざるを得なくなってしまったようです。
そのことを知らせる張り紙も。
彼らは政府の判断に対して、相当ご立腹のようです。
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