横浜市と並んで、日本屈指のアートな街。金沢市。
その中核をなす金沢21世紀美術館のほど近くに、
先日6月21日に、新たな私設美術館が誕生しました。
その名は、KAMU kanazawa (カム カナザワ)。
若手アートコレクター・林田堅太郎氏が、満を持して開館した現代アート美術館です。
そのこけら落としを飾るのが、“The power of things” という展覧会。
KAMU kanazawaコレクションの中核をなす3人のアーティストにスポットを当てた展覧会です。
美術館は、全部で3フロアで構成。
1フロアにつき、1人のアーティストが紹介されています。
最上階、3階で紹介されていたのは、
世界中から注目を集める陶芸界の若き鬼才・桑⽥卓郎さん。
“陶芸って何か地味じゃない?”
そう思っている方も、少なくはないでしょうが。
そんな方が、きっと桑田さんの陶芸作品を目にしたら、ド肝を抜かれるはず。
なんじゃ
“あれ?陶芸って、どんなんだっけ??” と、
良くも悪くも、陶芸の概念がぶっ飛ぶことでしょう。
「陶芸=使い勝手のいいもの」 と思い込んでいましたが。
桑田さんの陶芸作品を観続けていると、
”あれっ?そもそも陶芸が使い勝手がいいものって誰が決めたんだろう?” と、
根本から揺さぶられる気がします。
まず何よりもインパクトがあるのは、そのフォルムです。
もしかしたら、本人は真面目に制作しているのでしょうが。
なんかフィンガーチョコレートみたいなのが、ぶっ刺さってたり。
蛭子さんの漫画の登場人物ばりに汗をかいているようであったり。
あまりにも見た目がカオスなため、ふざけ倒してるようにしか思えないのです。
もちろん、いい意味で。
それから、色合いもインパクト大!
わびさび感は皆無。
ソニプラで売ってる外国のお菓子みたいな色をしています。
この器でお茶やお酒を飲んだら、どんな味がするのでしょう??
あくまで勝手なイメージですが、
バブリシャスの風味が足されるような気がしてなりません。
その下のフロア、2階で紹介されていたのは、
イギリス・マン島出身の女性アーティスト、ステファニー・クエールの作品の数々です。
彼女は豊かな自然に囲まれた農場で働き、
そこで生活しながら、作品を制作しているのだそう。
生の粘土を捏ねて作られた彼女の作品は、どこか未完成のような印象を受けます。
まるでサササッと作られたような。
即興性のようなものが感じられます。
音楽でいえば、ジャズのような。
絵画でいえば、デッサンやドローイングのような。
とはいえ、決して、適当に作られた雑な印象を受けるものではありません。
それぞれ動物から、生命力がありありと感じられるのです。
そこが、彼女の作品の何よりもの魅力と言えましょう。
彼女が生み出した動物は、ちゃんと生きていました。
もはや剥製よりも、生命力を感じられるほどです。
さてさて、美術館の顔となる1階で紹介されているのは、レアンドロ・エルリッヒ。
金沢21世紀美術館の一番人気の作品 《スイミング・プール》 の作者としてもお馴染みの人物です。
そんなエルリッヒの新作が金沢の地に、新たに常設されるだなんて!
今以上に、金沢がアートの街として盛り上がることでしょう。
・・・・・・・・でも、どこにエルリッヒの作品が??
キョロキョロしていると、スタッフさんが 「あの非常口の中ですよ」 と教えてくれました。
確かに、言われてみれば、普段目にする非常口の誘導灯よりも一回り大きい気がします。
何より、その下にある脚立が不自然でした。
スタッフさんが脚立を押さえてくれたので、
脚立をズンズンとのぼり、誘導灯の中を覗いてみます。
すると、その中には、こんな光景が広がっていました!
初見なら驚いたのでしょうが。
以前、森美術館で開催されたレアンドロ・エルリッヒ展で、
同様の作品を目にしていたので。そこまでは驚けませんでした (笑)
エルリッヒの作品は、出オチ勝負みたいなところがありますね。
とはいえ、まさかこれでエルリッヒの作品が終わりというわけは・・・・・・・さすがに無いようです。
ちゃんと大型の体験型の作品が、しかも、新作が、
この美術館のオープンのために制作されたとのこと。
それが、こちらです。
パッと見、幕に覆われていますね。
いや、パッと見どころが、普通に膜に覆われていました。
どうやらコロナの影響で制作がストップしていたるのだろう。
7月中旬以降を目途にお披露目されるそうです。
そんなことをスタッフさんにサラッと告げられました。
入館料を払った後に。
“・・・・・・・・・・・・・・いやいやいや!
一番はエルリッヒの作品が観たくて訪れたんですけど!
そんなこと一切HPに書いてなかったんですけど!!”
という言葉が飛び出そうになるのを、なんとか飲み込みました。
もう少しでKAMI付くところでした。