石川県立美術館に、
金沢商工会議所会館に、
そして、昨日紹介した鈴木大拙館に、
金沢市を歩くと、いくつもの谷口吉郎・吉生親子の建築を目にすることができます。
実は谷口親子にとって、金沢市はとても縁の深い街。
金沢市内の九谷焼の窯元に生まれ、高校卒業まで金沢で過ごしたという谷口吉郎。
金沢の景観まちづくりにも尽力した功績から、金沢の名誉市民第一号となっています。
そんな谷口吉郎のかつての住まいの跡地に、
昨年夏にオープンしたのが、谷口吉郎・吉生記念 金沢建築館。
国内ではまだ珍しい建築専門のミュージアムです。
設計は、もちろん谷口吉生氏。
内部は、豊田市美術館のようでもあり、法隆寺宝物館のようでもあり、
丸亀市猪熊弦一郎現代美術館でもあり、京都国立博物館の平成知新館のようでもあり。
・・・・・・・・・・・要するに。
これまで通りの谷口吉生建築です。
それ以上でも、それ以下でもなく。
こちらのミュージアムの一番の目玉となるのは何と言っても、
2階に常設展示された谷口吉郎設計による 「游心亭」 の広間の完全再現。
游心亭とは、叙々苑の最高ランクのお店・・・・・ではありません (←それは、游玄亭です!)。
迎賓館赤坂離宮の和風別館の名称。
谷口吉郎が手掛けた和風建築の最高峰ともいわれる、
「游心亭」 の広間が金沢建築館では、1分の1スケールで完全再現されています。
広さは、実に47畳。
中央のテーブルは、外国の要人たちと会食する場合に備えて、掘りごたつ式となっています。
ただし、このテーブルは床下に収納できるそうで、全面を畳敷きにすることも可能とのこと。
ということは、もし、外国の要人たちとここに泊まるとしたら、
布団を並べて、修学旅行のように寝ることもできるのでしょうね。
その際はやっぱり、枕投げをしたり、好きな異性の大臣を告白したりするのでしょうか。
0時過ぎてもまだ寝ないで、喋っていると、
菅官房長官が見回りしにきて、説教したり・・・・・・って、いつまで変な妄想を続けているのでしょう。
話をもとの 「游心亭」 に戻します。
広間に隣接しているのは12畳からなる 「ニの間」。
こちらは余興の場として使われているようです。
また特徴的なのが、天井の傾斜。
この傾斜は広間や二の間の外まで続いています。
これは、外の景色を取り込むための工夫とのこと。
なお、実際の 「游心亭」 は目の前に、水庭が広がっていますが。
ここは、2階。
水庭ではなく、谷口吉生建築には欠かせない水盤で再現されています。
これはこれで風情があって素敵でした。
また、こちらの常設展示室では、
「游心亭」 の茶室も、やはり1分の1サイズで完全再現されています。
パッと見は、趣のある大人しい上品な茶室なのですが。
ふと上を見上げると・・・・・・・
3種類の天井が大胆に組み合わされており、
意外とアヴァンギャルドな一面も持ち合わせていました。
なお、「游心亭」 の再現展示は、写真撮影可能となっています。
さすが、谷口吉郎が手掛けた和風建築の最高峰。
どこを撮っても画になります。
金沢の中心地からは少し離れた位置にあるのは、ネックですが。
建築ファンなら、押さえておきたい美術館の一つでしょう。
ちなみに。
地下1階にある企画展示室では、現在、
“日本を超えた日本建築― Beyond Japan―” という展覧会が開催中。