海賊とよばれた男 上/講談社
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出光興産の創始者・出光佐三をモデルにした小説 『海賊とよばれた男』 を読み終えまして。
「何てスゴい日本人がいたんだ!!」
と、純粋に感動しました。
この小説は、今年に入って読んだ小説の中でも、1、2を争う面白さでした。
・・・・・と、いきなりブックレビューから始めてしまいましたが。
このブログは、本のブログではなく、美術のブログ。
「何で、今日のとに~さんは、小説を紹介しているの??」
と、不審に思ってしまった方もいらっしゃることでしょう。
ちゃんと美術の話に戻しますので、どうぞご安心を。
この 『海賊とよばれた男』 という小説で、
メインで描かれるのは、もちろん石油の話なのですが。
仙厓の 《指月布袋画賛》 を購入した時のエピソードをはじめ、
物語の随所で、美術コレクターとしての出光佐三も描かれています。
しかも、物語のクライマックスあたりで、
彼の念願だった出光美術館が完成したというエピソードも描かれていました。
・・・・・ということで。
『海賊とよばれた男』 を読み終わったその足で、
本日、出光さんの想いが詰まった出光美術館に行ってきました。
いや、気がついたら、出光美術館に勝手に足が向かっていた・・・という感じです。
(↑我ながら、単純ですw)
さてさて、現在、出光美術館では、
“東洋の白いやきもの ―純なる世界” という美術展が開催中。
こちらは、 《白磁壺》 や、
《白磁暗花蓮唐草文僧帽形水注》
《青白磁獅子鈕蓋水注》 など、
出光コレクションが誇る中国白磁の名品を中心に、
日本や朝鮮など、さまざまな産地や時代の白いやきものも展示する白いやきものオンリーな美術展です。
正直なところ、普段、あまりやきものに関心がない僕ですが、
“へぇ~。このほとんどが、あの出光さんが集めた美術品なのかぁ♪”
と思うと、感動もひとしお。
僕のようにやきものにあまり関心がない方は、
是非、 『海賊とよばれた男』 を読んでから行かれることをお勧めします (笑)
もちろん、読んでなくても、それなりに美術展そのものを楽しめる気はします。
シールを集めれば、もれなく “ヤマザキ春のパンまつり” で貰えてしまうこともあり、
現代では、すっかり有難味の薄れている気がする白いやきもの。
しかし、今回の美術展を通じて、白いやきものの歴史を知ってみると、
純粋に白いやきものに辿り着くまでに、意外と長い年月がかかっていたことがわかりました。
初期の白いやきものは、白というよりも、茶色っぽかったり、
青っぽかったりしていたのです。
(これは、これで綺麗でしたが)
そういう時代を経て、いろいろな人の試行錯誤があって、
現代の白いやきものがあるのかと思うと、なかなか胸に迫ってくるものがありました。
また、いつもは照明を落として、全体的に黒いイメージのある出光美術館の展示室ですが。
今回の展覧会は、いつもとは真逆で、
全体的に会場を白く明るい空間に変えていました。
その演出のおかげで、白いやきものの白さが、より映えていたような気がします。
白いやきものをリスペクトしたくなる美術展。
とりあえず、今日以降は、白い皿を洗う時には、丁寧に洗います (笑)
さてさて、約100点もの白いやきものが展示されている今回の美術展。
そのほとんどが、白くて無地のやきものということもあって。
1点1点眺めて楽しむというよりは、全体的に眺めて楽しむ美術展という印象を受けました。
が、一点だけ、抜きん出て素晴らしかったやきものがありました。
それが、こちら↓
特別出品として、9月30日まで展示されている徳川美術館所蔵の 《白天目》 です。
《白天目》 とは名がついているものの、全体的に緑がかっている茶碗です。
しかし、あまりにも素晴らしい茶碗だったので、
「《白天目》 なのに、白くないじゃん!」 というくだらないツッコミをする気は起きず。
やきものにほぼ関心のない僕ですら、無言で魅入ってしまいました。
横から観た姿も美しかったのですが、
自分的なベストアングルは、やはり斜め上から底を覗き込むアングル。
全体的に緑かかった茶碗ですが、茶碗の内底は、さらに濃い緑色になっており、
あたかも澄んだ池に、ぷかっとハスの葉が浮かんでいるかのように見えました。
そして、茶碗の口縁部にかかっている金覆輪は、水面に反射する光のよう。
『茶碗界 (←?) の印象派』 といったところでしょうか。
出光美術館のコレクションが観たくて、今日は出光美術館に足を運んだはずなのに。
結果的には、徳川美術館の 《白天目》 に一番感動してしまいました。
あれれ (笑) ?
ちなみに。
今回の美術展では、併設として、
出光佐三の一番お気に入りのコレクションである仙厓の作品も20点ほど展示されています。
いやぁ、何度観ても、 《とど画賛》 は、笑えますね。
なんだ、このフルーツみたいなとどは (笑)??
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東洋の白いやきもの ―純なる世界
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