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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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おさなごころを、きみに

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この夏、東京都現代美術館で開催されているのは、

なんとなくエヴァ感のあるタイトルの “おさなごころを、きみに” という展覧会。

すべての子どもと、子ども心を忘れてしまった大人のための展覧会です。

 

 

 

展覧会の冒頭にこそ、名和晃平さんや吉岡徳仁さんの作品が紹介されていますが。

 

 

 

全体としては、Rhizomatiks Researchによるダンスパフォーマンス作品や、

エンタメにテクノロジーを溶け込ませる開発ユニット・AR三兄弟による映像作品など、

アートとテクノロジーを組み合わせたメディアアート多めの展覧会となっています。

星

 

 

印象に残った作品はいくつかありましたが。

その中でも特に印象的だったのが、のらもじ発見プロジェクトによる同名のプロジェクト。

 

 


《のらもじ発見プロジェクト》 とは、街中のあちこちで見かける、

個性的で味わい深い看板の文字に魅力を見出し、愛でるプロジェクトです。
それだけでは、赤瀬川原平さんらの路上観察学会の活動と、大差がないような気がしますが、
そんな 「のらもじ」 を実際に使用可能なフォントにしているのが、このプロジェクトの最大のポイント。

 

 

 

さらに、インターネットから有料でダウンロードすると、

その代金が、その看板の持ち主に還元されるのだそうです。

皆さまも気に入ったフォントがあれば、ダウンロードしてみてはいかがでしょうか。

 

なお、今回の展覧会では、会場のあちらこちらに、のらもじが使われていました。

 

 

 

もはや “野良もじ” ではなく、“飼いもじ” ですね (←?)。

 

続いて印象的だったのが、藤木淳さんの 《P055E5510N》 という作品です。

 

 

 

画面の中にいるのは、人型をしたたくさんのキャラクター。

それぞれが思い思いに歩いたり、止まったり、方向転換したり、しています。

実はこの中に一人だけ。

 

 

 

手元にあるスーファミのコントローラーで動かせるヤツがいるのです。

一体それがどの人型なのか。

なんとか見極めて、画面上にある旗まで動かさねばなりません。

チャレンジしてみましたが、かなり難しかったです。。。

「コイツか!」 と思えば、いつの間にか全然違う方向に進み、

「じゃあ、コイツか!」 と思えば、コントローラーを動かしているのに動きが止まり。

時間が経つにつれ、だんだんとイライラしてきました。

気が短い人には、オススメできない作品です。

 

 

人前が恥ずかしい人にオススメできないのが、

GRINDER-MANによる 《HERO HEROINE》 という作品。

 

 

 

こちらは、『だれでも20秒はヒーローになることができる』 というコンセプトのメディアアート作品。

体験者は、こちらのクロマキーカーテンの前で6カット撮影することとなります。
すると、撮影したポーズや動きがリアルタイムに合成されて、

超越したパワーをそなえたヒーローになった20秒の動画が生成されます。 

その動画は、すぐさまインターネットに公開。

 

 

 

蘇の動画の中で、誰でもヒーロー気分が味わえるというわけです。

ちなみに、次に別の人がこの作品を体験すると、

一つ前の体験者は、ヒーローに倒される相手として次の人の映像の中に登場します。

ヒーローから悪者へ。

ヒーロー気分だけでなく、闇堕ちも体験できる作品です。

 

 

今回の展覧会の一番の収穫は、幸村真佐男さんというアーティストを知れたこと。

彼は、早くも1960年代後半からコンピューターを使ったアート作品を制作していたようです。

こちらはその一つで、《非語辞典》 という作品。

 

 

 

コンピューターのプログラムでランダムに制作された非語、

つまり、意味をまったくなさない単語だけを網羅した辞典となっています。

 

 

 

現代ならば、思い付くかもしれないアイディアですが、

これを1983年に制作し発表していたということに、驚かされました。

 

その隣に展示されていたのは、同じ年に発表された 《二言絶句集》

 

 

 

こちらには、コンピューターがランダムに制作した漢字2字の熟語が網羅されています。

 

 

 

やはりすべての単語が意味をなしていないのですが・・・・・・・・おや??

作品の発表から約35年。

一つだけ意味をなしてしまった2字熟語がありました。

 

 

 

さてさて、会場にはそんな幸村さんの2011年の作品も。

 

 

 

その名も、《非語辞典 人名編》

手をセンサーにかざすと、自分に新しい名前を付けてくれるのだそうです。

せっかくなので、やってみました。

その結果、僕に付いた新たな名前は・・・・・・・・

 

 

 

鳥山琉翔。

“夜の街” 関連っぽい名前となりました。

 




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