Quantcast
Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
Viewing all articles
Browse latest Browse all 5005

美の競演 -静嘉堂の名宝-

$
0
0

今年2020年は、三菱創業150周年という節目の年。

それを記念して、この夏、三菱一号館美術館では、

“三菱創業150周年記念 三菱の至宝展” という展覧会が開催される予定でした。

 

 

 

・・・・・・・・・・・が。

新型コロナウィルスのせいで、来年に延期に。

 

しかし、同じく三菱と深い関わりを持つ静嘉堂文庫美術館で、

同時期に開催予定だった “美の競演 -静嘉堂の名宝-” は、無事に開催されています。

いやぁ良かった良かった。

 

こちらは、静嘉堂文庫美術館のコレクションの中から、

重要文化財13点を含む選りすぐりの絵画や茶道具などの名品を、前後期に分け紹介する展覧会。

しかも、ただ普通に名品を並べるだけなく。

かつて岩崎家の深川別邸に陳列されていた古伊万里と清朝の陶磁器を競演させてみたり、

 

 

 

日本の絵師と中国の絵師による同じモチーフの作品を競演させてみたり、

 

  

左)原在明 (太田南畝賛) 《朝顔に双猫図》 江戸時代・文化2年(1805)頃 静嘉堂文庫美術館蔵

右)沈南蘋 《老圃秋容図》 清時代・雍正9年(1731) 静嘉堂文庫美術館蔵 (注:出展はともに6/27~8/2)

 

 

全部で8つのテーマからなる、さまざな “競演” で紹介しています。

いうなれば、ここでしか見られないコラボがたくさん披露されるFNS歌謡祭のような展覧会。

三菱創業150周年を祝うにふさわしい豪華絢爛な展覧会と言えましょう。

星星

 

 

修理後初公開となる重要文化財の孫君沢 《楼閣山水図》 や、

 

 

重要文化財 孫君沢 《楼閣山水図》 元時代(14世紀) 静嘉堂文庫美術館蔵 (注:出展は6/27~8/2)

 

 

“江戸琳派の祖” 酒井抱一による 《絵手鑑》

 

 

酒井抱一 《絵手鑑》 江戸時代(19世紀) 静嘉堂文庫美術館蔵 【場面替えあり―全期】

 

 

江戸時代の名工・長曾祢虎鉄の 《刀 銘 〈長曽袮興里入道乕徹〉》 をはじめ、

 

長曽袮虎徹 《刀 銘 〈長曽袮興里入道乕徹〉》 江戸時代(17世紀) 静嘉堂文庫美術館蔵

 

 

見逃せない作品は多々ありましたが。

やはり今展の一番の目玉となるのは、茶道具の名品、それも天目茶碗の競演です。

まず展示されていたのは、重要文化財に指定さえれている 《油滴天目》

 

重要文化財 《油滴天目》 南宋時代(12~13世紀) 静嘉堂文庫美術館蔵

 

 

「油滴」 というネーミングのせいで、

工業地帯の海の表面にプカプカ浮いている汚れとか、

クリンビューでないと取れないギラギラした油膜のようなイメージを持たれたかもしれません。

もしくは、背油ギタギタなラーメンスープのようなイメージを持たれたかもしれません。

いえいえ、実際は、全然違います。

プラチナやダイヤモンドダストのような美しい輝きを放っています。

その神秘的な輝きに、目が吸い込まれること請け合いです。

 

 

そんな 《油滴天目》 と競演しているのが、毛利家に伝えられた 《灰被天目》

そして、こちらの茶人で作庭家の小堀遠州が所持していたという 《灰被天目 銘 埋火》 です。

 

 

 

見どころは、斜めに入ったシルバーアッシュのライン。

(画像で見えてる以外にも、裏側にもう1つラインが入っています)

実に渋いシルバーアッシュです。

吉川晃司のシルバーヘアーアッシュに匹敵する渋さです。

そして、そのシルバーアッシュのラインのシャシャッとした感じ。

『モニカ』 を歌う時の吉川晃司を、どことなく彷彿とさせるものがあります。

「銘 吉川」 と改名したいくらいです (←?)。

 

 

ちなみに。

静嘉堂文庫美術館の天目茶碗といえば、

そう、国宝の 《曜変天目 (稲葉天目》 です。

せっかくの 「美の競演」 というなら、《曜変天目 (稲葉天目》 も是非並べて欲しいところ。

しかし、《曜変天目 (稲葉天目》 は、本来ならば、“三菱の至宝展” に出展されているはずでした。

が、来年に延期になったことで、なんと今回特別にこちらの展覧会に出展されることに!

こればかりは、初めてコロナウィルスの影響に感謝したくなったかもしれません。

 

 

ちなみに。

今回出展されていた全作品の中で、

個人的に一番惹かれたのが、唐時代の 《三彩獅子》 です。

 

重要美術品 《三彩獅子》 一対 唐時代(8世紀) 静嘉堂文庫美術館蔵 

 

 

獅子というよりも、ただの猫。

リラックスした姿に、思わず頬が緩んでしまう作品です。

lこれだけ可愛らしいと、ムツゴロウさんでなくても、

「よーしよしよしよし!」 としたくなってしまいますよね。

小指を噛まれちゃうかもしれませんが。





1位を目指して、ランキングに挑戦中。
下のボタンをポチッと押して頂けると嬉しいです!

Blogランキングへ にほんブログ村 美術ブログへ


Viewing all articles
Browse latest Browse all 5005

Trending Articles