昨年の秋以来、リニューアル工事のため、
コロナウィルスとは関係なく、休館していたサントリー美術館。
当初の再開予定日よりは、少し後にずれ込む形となりましたが、
先日7月22日に、無事リニューアルオープンを果たすこととなりました!
そんな新装開店1発目として開催されているのが、
“ART in LIFE,LIFE and BEAUTY” という展覧会。
1961年に丸の内の地に開館して以来、赤坂、六本木と移転しながらも、
「生活の中の美(Art in Life)」 を基本理念に展示・収集活動してきたサントリー美術館。
記念すべきリニューアル一発目の展覧会では、
「生活の中の美(Art in Life)」 をテーマに、「ハレ」 の場のための調度品や、
酒宴で用いられたであろう調度品など、
おめでたい席を盛り上げたであろう調度品を、惜しげも無く一挙公開しています。
それらの中には、国宝の 《浮線綾螺鈿蒔絵手箱》 も。
さらに、これまでにない新しい試みとして、
サントリー美術館の収蔵品と、現代アーティストのコラボも行われています。
『いだてん』 のOPを手がけた山口晃さんと屏風絵が並べられていたり、
鎧武者をモチーフに制作を続ける野口哲哉さんと屏風絵が競演していたり、
(手前左から:野口哲哉 《THE MET》、《RED MAN2016》、《Avatar1-化身-》、《FRONTEER》、《Un samuraî vient》 いずれも個人蔵)
リニューアルを飾るに相応しい新鮮な光景に満ちた展覧会でした。
通常の展覧会以上に晴れやか!
まだしばらく雨の日が続きそうですが、心はハレの日となる展覧会です。
さてさて。
今展覧には、山口晃さん、野口哲哉さんだけでなく、
日本画家の方の山本太郎さんも参加されていましたが。
個人的にもっとも目を惹かれたのは、漆芸作家で彦十蒔絵の若宮隆志さんとのコラボでした。
どの作品もセンスが素晴らしかったですが、
特に素晴らしかったのが柴田是真の 《五節句蒔絵手箱》 の横に飾られていた・・・・・
《犀の賽銭箱 青銅塗》 という作品。
北方ルネサンスの画家アルブレヒト・デューラーが描いた犀の木版画を立体化させた作品です。
どう見ても、ブロンズ(=青銅) 製に見えますが、実は木製。
ブロンズに見えるように、漆で表面加工が施されているのです。
なので、手に取ったら、確実にその軽さに驚かされるはず。
金属製や木製にしか見えない漆芸作品を作ることでお馴染みの柴田是真。
彼の超絶技巧と見比べても、まったく遜色のない作品でした。
他にも印象的な作品は多々ありましたが。
その中でもとりわけ印象に残っているのは、《染付吹墨文大徳利》 。
その名の通り、「びゅー」 だとか 「しゅー」 だとか、
息を吹きかけて紋様を表面に絵付けしたという徳利です。
シンプルながらにして、この当時にしてはアヴァンギャルド。
ジャクソン・ポロックがまだ生まれていない時代に、
こんな抽象的な表現が日本で生まれていたことに、ただただ驚きです。
アヴァンギャルドといえば、こんな展示品も。
会場の一角に展示されていたのは、
女性のお洒落マストアイテムである櫛やかんざし。
ディテールが細かいものや一目で見て華やかなものに混じって・・・・・
なんとも謎すぎるかんざしが展示されていました。
銀で作られた 『サ』 の一文字。
『サライ』 の 『サ』 なのか。
『サヨナラ』 の 『サ』 なのか。
はたまは、ギンギラギンに 『さりげなく』 の 『サ』 なのか。
「この 『サ』 って何ですか?」 と問わずにはいられない逸品です。
┃会期:2020年7月22日(水)~9月13日(日) ※会期中展示替えあり
┃会場:サントリー美術館
┃https://www.suntory.co.jp/sma/exhibition/2020_1/index.html
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