高校野球に花火大会に盆踊りに。
夏の風物詩が軒並み中止となってしまった今年2020年。
板橋区立美術館の夏の風物詩、
“イタリア・ボローニャ国際絵本原画展” も、中止かと思われましたが。
8月22日に無事に開幕することが出来ました!
毎年イタリアのボローニャで開催され、
1000以上の出版社が出展する児童書専門の見本市。
それが、ボローニャ・チルドレン・ブックフェア。
その関連イベントの一つとして、1967年から開催されているのが、
世界最大規模の絵本原画コンクールといわれる 「ボローニャ国際絵本原画展」 です。
子どもの本のために描かれた作品 (5枚一組) であれば、
誰でも応募が可能となっており、新人イラストレーターの登竜門的な位置づけとなってます。
今年は、66の国と地域から2574組の応募があったそうで、
その中から厳選なる審査を経て、75組の作品が選ばれました。
本来であれば、それらの入選作品がボローニャ・チルドレン・ブックフェアで展示されるわけですが。
今年はコロナウィルスの影響で、ボローニャ・チルドレン・ブックフェアが中止に・・・・・。
入選作品が公開されることはありませんでした。
が、しかし!
多くの関係者が諦めることなく、尽力したおかげで、
なんと奇跡的に板橋区立美術館での展覧会は実現できることに!
75組の入選作品が、この板橋の地で世界初公開されることとなったのです!
世界的な絵本コンクールの貴重な原画が来日するこの展覧会。
例年ももちろん有難く感じていましたが、今年はより有難みを実感!
作品1点1点が、例年以上に愛おしく感じられました。
イタリアで観られなかったものが観られる貴重な機会です。
「イタバシは遠くて・・・・・」 と腰の重い皆さま、板橋はイタリアよりも、断然近いですぜ。
さてさて、今回の“ボローニャ国際絵本原画展” で、
何より特徴的だったのは、入選した中に韓国の作家が多かったこと。
入選した75組のうち、実に15組が韓国の作家でした。
(次いで多かったのが、イタリアの14組)
他にも台湾と中国の作家がそれぞれ6組。
いつになくアジア勢が大健闘していました。
ただ、残念ながら、わが日本は4組と、例年よりは奮わなかった模様。。。
来年は是非日本の作家ももっと頑張って頂きたいところです!
さてさて、紹介されていた入選作品の中で、とりわけ印象に残ったのは、
イタリアのフェデリーカ・アリエッティの 『わたしとジョルジョ・モランディ(自画像、2018年)』 という作品。
タイトルずばり作家本人と、
『20世紀最大の静物画家』 と言われるモランディの交流 (?) を描いた作品です。
なんでも作家は、モランディが出てくる夢を見たのだそう。
そして、最初のうちは言葉は交わさなかったものの、少し喋ったのだそう。
で、最終的にモランディは作品の中に帰っていったのだそうです。
・・・・・・・・・・・・・・いや、何その話!
わざわざ絵本にする話なのか?!
続いても、イタリアの作家。
エリーサ・カヴァリエーリの 『現代版:みにくいアヒルの子』 です。
一度見たら忘れれない、その独特のタッチに思わず引き込まれました。
ただ、どの鳥も同じくらい薄気味が悪いので、
みにくいアヒルの子の醜さが、そこまで際立っていませんでした (笑)
エリーサ・カヴァリエーリ先生の次回作に期待です。
イタリアの作家といえば、イザベッラ・マッツァンティの作品も気になりました。
タイトルは、『ハイキョ』。
英語表記は、「Haikyo」 となっていました。
たぶん廃墟のことだと思われます。
「Bento」 や 「Edamame」、「emoji」 が海外でも通用するとは聞いたことがありましたが。
「Haikyo」 もいつの間にか世界に浸透していたのですね。
ちなみに、個人的にイチオシなのは、
台湾のティン・リューウェンの 『点線』 という作品です。
そのシュールでブラックな世界観にハマりました。
5点といわず、10点でも20点でも観たいところ。
この作品のTシャツがあったら、間違いなく買います。
そうそう、今回の展覧会では、入選の75作品とは別に、
本来ならこのタイミングでパラリンピックが開催されていたため、その関連として、
入選作をさわって視ることができるよう制作された木製レリーフも併せて展示されていました。
しかし、残念ながら、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、
一般の方はこれらの木製レリーフに接触することは叶わなくなってしまいました。
また、イタリアのさわる絵本18点も展示されていましたが・・・・・
こちらもやはり接触NG。
ただし、会期中の木曜と土曜に限り、
事前予約制で閲覧することができるそうです。
パラリンピックを見越して、
いろいろ準備したというのに。。。
そんな板橋区立美術館の心の声が、新しくなった幟にダダ洩れしていました。