現在、東京藝術大学の上野キャンパス内にある美術館陳列館では・・・・・
“彼女たちは歌う Listen to Her Song” という展覧会が開催されています。
会期はたった3週間。
観覧料は無料というイベントながら、
きちんと公式ホームページも作られている気合の入った展覧会です。
出展作家は、全部で11名。
「彼女たちは」 と展覧会タイトルにあるように、出展作家はすべて女性です。
さて、まず1階の展示室で展示されていたのは、
山城知佳子さんや乾真裕子さんら7名の作家による映像作品でした。
上映時間が約10分の作品もあれば、約32分の作品もあり、
すべての作品をフルで鑑賞しようとすると、かなりの時間が取られます。
ちなみに、もっとも尺が長かったのは、
遠藤麻衣さんと百瀬文さんによる 《love condition》 という作品。
その上映時間は、75分52秒。
内容は、遠藤さんと百瀬さんと思われる二人がおしゃべりしつつ、
水粘土をこねながら、理想とする性器の形状を作り上げるというもの。
さすがに約76分も聞いていませんが。
彼女らが理想とする男性器は着脱可能で、
時々、意志を持って持ち主の身体を離れるのだそう。
そんなん、イヤだわ!
性暴力の話題も飛び出していたので、そういう理想系になったのでしょうが。
世の中の男性全員が、そういう人間ではないので、妙な理想を抱かないで頂きたいものです。
というか、これと同じ内容を、男性アーティスト2人がやっていたら、間違いなく炎上することでしょう。
そういう意味では、現代においては、
男性アーティストよりも、女性アーティストのほうが、
より自由にアート作品を制作できるのかもしれません。
ちなみに、現在プチ炎上中のスプツニ子!さんの作品も出展されていましたが。
他の作家の作品が、去年や今年制作された新作だったのに対し、
なぜか彼女だけ、2010年に発表された 《生理マシーン、タカシの場合》 が出展されていました。
こちらは、彼女のYouTubeチャンネルでも公開されている作品。
できれば、新作が見たかったです。残念。
残念といえば、鴻池朋子さんの作品も。
鴻池さんも出展作家の一人というのを、とても楽しみにしていたのですが・・・・・・・
展示されていたのは、窓に引っ掛かった (?) この1点だけでした。
きっと現在アーティゾン美術館で開催中の個展に、
いろいろ出品してしまって、手元にこの狼の毛皮が1点しか無かったのでしょう。
がっつり歌うのかと思いきや、まさかのワンコーラス。
まさに、この狼の毛皮のように、萎んでしまいました。
鴻池さんの作品を期待して訪れると、ガッカリ感は否めません。
ちなみに。
2階の展示室でひときわインパクトを放っていたのは、
ユゥキユキさんによる 《あなたのために、》 という作品です。
だいぶ不気味なビジュアルですが、
モチーフは、ユゥキユキさんの実家にある編みぐるみとのこと。
彼女のお母様がかなり過保護だったようで、
娘2人が家を出た後、その編みぐるみを “三女のサン子ちゃん” と呼び、可愛がり始めたのだそうな。
そういう母の呪縛を解こうと、母とともに、この巨大なサン子ちゃんを制作したのだそうです。
藁人形や髪が伸びる日本人形など、人形界 (?) には、さまざまな恐怖の人形がありますが。
この巨大サン子ちゃんは、それらに匹敵する怖さがあります。
脳裏にビッチリと焼き付いてしまったので、しばらくの間、夢に出てこないか不安でなりません。
もう一つ印象的だったのが、今年のVOCA奨励賞に輝いた菅実花さんの新作です。
VOCA展には、ラブドールを使った作品を出品していましたが。
こちらの新作 《A Bath》 には、球体関節人形が使われています。
曇ったガラス越しに見えるのは、バスタブと球体関節人形。
作家自身を含む多くの女性が被害に遭ってきた 「のぞき」 をテーマにしているのだそうです。
確かに、ジロジロ見てはいけないような、妙なエロチシズムがありました。
顔も体もハッキリと見えない球体関節人形なのに、妙に艶めかしい。
他のお客さんが展示室に入ってくるまで、じーっと食い入るように眺めてしまいました。
・・・・・・・って、誤解しないで欲しいのですが、
僕はのぞきはしたことないですからね (汗)!!
つい疑われるようなことを歌って (=白状して) しまいました。