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ふたつのまどか ―コレクション×5人の作家たち

今年2020年に、めでたく開館30周年を迎えたDIC川村記念美術館 (←おめでとうございます!)。

それを記念して、現在開催されているのが、

“ふたつのまどか ―コレクション×5人の作家たち” です。

 

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(注:館内は写真撮影禁止です。特別な許可を得て撮影しています。)

 

 

こちらは、DIC川村記念美術館のコレクションと、

第一線で活躍する5名の現代アーティストが、夢のコラボを果たす贅沢な展覧会。

「コレクション×作家」 の意外な化学反応が楽しめるドリームマッチのような展覧会です。

 

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まず、第1会場となる部屋で紹介されていたのは、

“箱の芸術家” として知られるジョゼフ・コーネルの作品と、

本や文房具といった身近な素材で繊細なアート作品を紡ぎだす福田尚代さんのコラボ。

今回はコーネルの箱作品ではなく、

《ラ・シャット・エマイヨール》 というコラージュ作品とのコラボを展開しています。

コーネルの作品の裏側にひっそりと展示されていたのは・・・・・

 

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《ラ・シャット・エマイヨールへの手紙》 と名付けられた新作。

 

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開かれた文庫本に敷き詰めるように、古い切手が貼り付けられていました。

それも、裏返しに。

おそらく古い葉書や便箋から、破けないようにそろーっと慎重に切手を剥がしたのでしょう。

そして、それらの切手を、隙間のないように慎重に貼っていったのでしょう。

福田さんの繊細な制作作業が目に浮かぶようです。

 

そんな 《ラ・シャット・エマイヨールへの手紙》 以上に、

繊細で緻密な作業が目に浮かんだのが、《塵、パンくず、瞬き》 という作品。

 

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この距離では、一体何が展示ケースに入っているのか視認できません。

もっと、ググっと近づいてみましょう。

すると・・・・・・

 

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一つ一つが、活字を切り取ったものであることが判明!

これだけの活字を丁寧に切り取るだけでも、気が遠くなるような作業ですが・・・。

それらを一つ一つ並べていくというのも、輪をかけて、気が遠くなるような作業です・・・。

「小さなことからコツコツと」 を地で行くような作品ですね。

 

ちなみに。

福田尚代さんといえば、回文作家という顔も持っています。

今展にも、こんな回文作品が出展されていました。

 

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壁一面に描かれていたのは、

「シャロン」 や 「ナオミ」 、「ウェンディ」 といった多数の女性の名前。

ところが、壁に掛かれた文字を逆から読んでも回文にはなっていません。

 

“どういうこと??”

 

と疑問に思っていたら、その横にポエムのようなものが書かれた紙の束を発見!

 

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その文面を、試しに逆さに読んでみると、

見事壁に書かれた女性の名前の羅列と一致しました。

思わず鳥肌!

おそるべき回文力 (?) です。

 

 

・・・・・・・・と、コーネルと福田尚代さんのコラボコーナーが、

かなりインパクトありすぎて、だいぶ文面を使ってしまったので。

ここからは、泣く泣くながら、テンポアップして紹介してまいります。

 

続いて紹介されていたのは、写真家・野口里佳さんと、

画家で彫刻家のジョアン・ミロの 《コンポジション》 とのコラボ。

 

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野口さんは、ミロが晩年暮らしたスペインのマヨルカ島を訪ねたのだそう。

そこで受けたインスピレーションをもとに制作された新作が発表されていました。

 

3番目に紹介されていたのは、美術家・渡辺信子さんによる新作と、

彼女が敬愛するアメリカの抽象画家エルズワース・ケリーの作品とのコラボ。

 

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基本的に画家は、木枠にキャンバスを張り、そこに絵を描き作品を完成させますが。

渡辺さんは、木枠にキャンバスを張ることで立体作品を制作するアーティストです。

絵画のような立体作品という不思議な作風と、

エルズワース・ケリーのシンプルな抽象作品が妙にマッチしていました。

 

4番目に紹介されていたのは、ミニマリズムの彫刻家ラリー・ベルの 《無題》 と、

ここ近年、国内外でさらに人気が高まっている画家・杉戸洋さんとのコラボレーション。

 

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↑右に見える小さな油彩画はもちろん杉戸さんの作品ですが、

画面の左に映りこんだ不自然な壁も、実は杉戸さんによる作品です。

高さ3m。幅7m。
四層構造で、各面には異なるホログラム調の壁紙が貼られています。

あまりにも大きすぎて、写真に収めるのが不可能でした (汗)

 

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是非、皆さま自身の目でご確認いただけましたら幸いですm(__)m

 

 

さてさて、最後に202号室一室を使ってまるまる紹介されていたのが、

アメリカを代表する芸術家サイ・トゥオンブリーと、人気映像作家さわひらきさんとのコラボ。

空間全体が一つのインスタレーション作品のようになっていました。

 

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サイ・トゥオンブリーのリリシズムな世界観と、

初めて見るのにどこか懐かしく、切なくてちょっと怖さもあるさわさんの世界観が絶妙にマッチ!

あまりにも世界観が確立しているため、展示室から出た瞬間に、

“あっ、今俺、現実世界に帰ってきたんだ!” と、ナチュラルにそんな感想を抱いてしまいました。

たぶん、あの展示室は、現実世界ではなかったのだと思います。

通常時は、DIC川村記念美術館の200室が、

サイ・トゥオンブリーの作品が常設された 「トゥオンブリー・ルーム」 なのですが。

これを機に、この202号室での展示をそっくりそのまま、

「新生 トゥオンブリー・ルームwithさわひらき」 として残して欲しいほど。

このコラボを見るためだけに、DIC川村記念美術館を訪れる価値はあります!
(ちなみに、現在は東京からの高速バスと佐倉駅からの送迎バスは運休中です。車で訪れましょう)

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