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宮島達男 クロニクル 1995−2020

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この秋、千葉市美術館で開催されているのは、

“宮島達男 クロニクル 1995−2020” という展覧会。

国際的に活躍する現代美術作家・宮島達男さんの、

首都圏では、実に12年ぶりとなる大々的な個展です。

宮島さんの芸術家人生の中で、特に転機となったという1995年を起点とし、

そこから今日に至るまでの25年、つまり四半世紀に及ぶ歩みが紹介されています。

 

宮島達男さんといえば、LEDのデジタル・カウンター。

LEDのデジタル・カウンターといえば、宮島達男さん。

それゆえに (?) 、展覧会のロゴも、デジタル・カウンター風になっていました。

 

(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております。)

 

 

『chronicle』 は、まだ読めますが。

『tatuo miyajima』 は、だいぶ無理やりな気がしました (笑)

 

 

と、それはさておき、

展覧会の冒頭に展示されていたのは、

昨年発表されたばかりの最新作 《Counter Skin on Faces》 です。

 

 

 

異なる文化圏の女性3人の顔全体にインクが塗られています。

そして、それぞれの顔に、デジタル数字が浮かび上がっています。

これらの数字が異なる周期で、カウントダウンしていくという映像作品です。

 

 

 

僕の気のせいなのかもしれませんが、

心なしか、白の人だけテンションが低めでした。

もしかしたら、途中でふと我に返り、

“私、何でこんな事をさせられているんだろう??” と、頭をよぎってしまったのかも。

時おり、遠い目をするため、なんだか彼女の姿は見ちゃいられなかったです (笑)

 

見ちゃいられないといえば、こちらの作品も。

 

 

 

こちらは、《Counter Voice in Wine》 という作品。

イギリス、スペイン、フランスの国籍を持つ3人の男女が、

それぞれの言語で、9から1へとカウントダウンを口にします。

そして、0のタイミングで、ワインで満たされたボウルに顔をイン!

その行為をひたすら繰り返すという映像作品です。

何その罰ゲーム?!

 

下手したら、国際問題になりかねないので、

宮島さん本人がやればいいのに・・・と思ったら。

一昨年に宮島さん自らが挑んだ 《Counter Voice》 シリーズ最新作も紹介されていました。

その名も、《Counter Voice in Chinese ink》

 

 

 

宮島さんが顔を突っ込んでいたのは、ワインではなく、墨汁です。

0になるたびに、どんどん黒く染まっていく宮島さん。

大の大人が墨まみれになる様を目にするのは、ハナ肇の銅像コント以来ではなかろうか。

 

 

 

最後の方は、もう白目すら黒くなっています。

「もうわかったから!もう十分だから!」 と、思わず叫びたくなりました。

もしかしたら、墨に何度も顔を突っ込む行為は、土下座よりも効果があるのかもしれません。

いや、別に、宮島さんは謝罪しているわけではないのですが。

 

 

さてさて、このように今回の展覧会はパフォーマンス作品から始まりましたが。

その先も、1995年から現在まで続くプロジェクトで、

長崎で被爆した柿の木の二世を植樹し、育てる 「時の蘇生・柿の木プロジェクト」 の紹介や、

 

 

 

紙幣や楽譜、写真などを素材にした作品など、

 

 

 

宮島さんの、LEDのデジタル・カウンター以外の作品の紹介が続きます。

「だけじゃない。ミヤジマ。」

そんなキャッチコピーを付けたくなる展示構成でした。

 

中でも注目したいのが、千葉市美術館コレクションの中から、

宮島さん自身がリスペクトを込めてセレクトした5作品とコラボを果たす展示コーナーです。

 

 

 

デジタル数字の奥に、菅井汲や河原温らの作品が展示されています。

ちなみに、こちらの奥には・・・・・

 

 

 

杉本博司さんの作品と、李禹煥さんの作品が展示されていました。

森美術館で開催中の “STARS展” の出展作家6人のうち3人のコラボが実現!

プチ “STARS展” 状態です。

 

 

そんな感じで、たっぷりと焦らされた後に、

いよいよ満を持して、LEDのデジタル・カウンター作品が登場。

よっ、待ってました!

 

 

 

鏡を使ったものであったり、

 

 

 

人工知能を搭載しているものであったり、

 

 

 

近作や新作を中心に、さまざまなタイプの作品が展示されています。

個人的に一番印象に残ったのは、最新作の 《HITEN ‐no.1》

 

 

 

これまでにはなかったパステルカラーのデジタル・カウンター作品です。

この色味なら、女子高生ウケは間違いありません (←?)。

なお、宮島さん的には、中国の宗教画に描かれる 「飛天」 のイメージしているとのこと。

そう言われれば、飛天のようにも思えますが、

色味的には、飛天というより、プリキュアに近い印象を受けました。

 

 

ちなみに。

展覧会のラストを飾るのは、1996年の開館記念展に出品されて以来、

千葉市美術館を代表するコレクションの一つとして親しまれている 《地の天》 です。

 

 

 

当時、実用化されて間もなかった青色LEDが使用されているのだとか。

それゆえ、最近のLEDと比べると、光がかなり淡く繊細なのだそうです。

思わず、蛍の光を連想してしまいました。

あ、だから、展覧会の最後に飾られているのか! (←たぶん違う)

 

 

たかがデジタル・カウンター。

されどデジタル・カウンター。

数字というシンプルで普遍的なものだけに、

いろんな想いや考えを、人はそこに投影するのでしょう。

人の数だけ宮島達男作品はあるのかもしれません。

星星





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