この秋、東京国立博物館では、
特別展 “桃山-天下人の100年”が開催されています。
こちらは、織田信長や豊臣秀吉が活躍した安土桃山時代に生まれた美術、
いわゆる 「桃山美術」 を中心に、室町時代末期から江戸時代初期にかけて、
約100年の間に起きた美意識の変化を、約230件の名品を交えて紹介する展覧会です。
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております。)
日本文化史上もっとも豪華絢爛で、もっとも雄大な安土桃山時代。
そんな時代をテーマにした展覧会だけに (?)、
鑑賞チケットも豪華絢爛で雄大な価格設定となっています。
一般2400円也!
しかも、展覧会の前期 (10/6~11/1) には、
ポスターのメインビジュアルである狩野永徳の 《唐獅子図屏風》 は出展されていないようです。
“後期ならともかくも。2400円は高すぎません??”
と訝しみながら、会場に入ったのですが。
それは全くの杞憂に終わりました!
まず会場に入っていきなり展示されていたのが、
伊達政宗が秀吉から拝領されたという 《銀伊予札白糸威胴丸具足》。
その向こうには、秀吉ゆかりの 《一の谷馬藺兜》 も展示されています。
さらに、その先に進むと、信長が上杉謙信へと贈った国宝の 《洛中洛外図屏風》 が登場!
もう一歩進むと、信長ゆかりの陣羽織に、
狩野永徳によるもう一つの国宝 《檜図屏風》 が姿を現します。
さらに、その後も、信長・秀吉・家康の肖像画揃い踏みや、
千利休にまつわる貴重な茶道具の奇跡的な競演などなど、
これでもかというくらいに、見どころが目白押しでした!
全編がクライマックスであるような、
まさに豪華絢爛で壮大な展覧会です。
なお、三井記念美術館が所蔵する国宝の 《志野茶碗 銘 卯花墻》 をはじめ、
他の展覧会では主役を張るような一流品の数々が、
あまりにもさりげなく、まるでカメオ出演のようにチョイ役な感じで展示されているので、
「えっ?もっと仰々しくディスプレイすればいいのに?!」 と、むしろこちら側が心配してしまうほど。
展覧会を2、3本分まとめて観たような満腹感がありました。
これだけのものを見ることができるなら、それはもう2400円でも納得です。
ちなみに、個人的に一番テンションがあがったのは、
歴史の教科書でお馴染みのあの 《聖フランシスコ・ザビエル像》。
《聖フランシスコ・ザビエル像》 が出展される旨は、
特に公式HPやポスターなどに告知されていなかったので、
正直なところ、レプリカか何かかと思ってしまったのですが。
どうやら本物とのこと (注:展示は10月25日まで)。
これまで本やテレビ等々で、何度も目にしていた作品だけに、
実物と対面できて、思わず声が漏れてしまうくらいに、テンションがアップしました。
街で芸能人に出逢った感覚に近いものがあります。
ちなみに、絵の下の方をよく見ると
流暢な筆遣いで、日本語が描かれていました。
おそらく、この文字のところは、教科書などではトリミングされている部分。
実物を観ないとわからないことってありますね。
また、金屏風に四方を囲まれる一角や、
今展のために上京した二条城を飾る屏風絵や釘隠なども、見ごたえがあったのですが。
何と言っても、特に圧巻だったのは、《関ヶ原合戦図屛風》 を背景に、
実際に武将たちが愛用していた刀剣や鎧兜がディスプレイされていた展示空間です。
『戦国無双』 のキャラクター選択画面を実写化したような光景。
画力がスゴすぎて、一瞬夢でも見てるのかと思いました。
最後に。
個人的に一番印象に残っている作品をご紹介いたしましょう。
蒔絵が施された南蛮風の椅子です。
どちらも重要文化財。
どちらも折り畳み式です。
桃山時代に折り畳み式の椅子があったということに、驚かされました。
なお、写真左の 《南蛮人蒔絵交椅》 の背面に透かし彫りで表現されているのは、象。
ハンティングワールドのロゴっぽかったです。
┃会期:2020年10月6日(火)~11月29日(日)
┃会場:東京国立博物館
┃https://tsumugu.yomiuri.co.jp/momoyama2020