JR高崎駅のほど近くにある美術館、高崎市美術館に行ってきました。
こちらでは、現在、“4つの革命―オーブリー・ビアズリーからサルバドール・ダリまで” が開催中です。
テーマは、近代ヨーロッパ美術における4つの革命。
オーブリー・ビアーズが挿絵の世界にもたらした革新的表現を筆頭に、
オーブリー・ビアズリー 『オスカー・ワイルド作「サロメ」のためのオーブリー・ビアズリー挿絵集』より 《クライマックス》
1894年(1906年刊) ラインブロック・紙 うらわ美術館蔵
ピカソが生み出したキュビスムや、
ダダやシュルレアリスムの活動などが紹介されています。
タイトルの響きや展覧会の概要からは、
なかなか面白そうな内容だなァと期待していたのですが。
高崎市美術館とうらわ美術館の所蔵品だけで構成されていたため、
ピカソのキュビスムの作品や、デュシャンの 《泉》 が展示されているわけではなく。
基本的に4つの革命に関しては、パネルでの紹介にとどまっていました。
そもそも、4つの革命とありますが、セザンヌによる絵画革命や、
カンディンスキーやモンドリアンによって生まれた抽象画などなど、
西洋美術史上には、いろんな革命があるわけで。。。
何でその4つなのかという部分が、なんともボヤッとした感じでした。
また、ダリ好きとしては、タイトルにあるダリを一つの楽しみにしていたのですが
展示されていたのは、『マルドロールの歌』 の挿絵42点組のうち10点と、
ポール・エリュアールの 『晝毎に詩一篇』 に寄せた挿絵1点の併せて11点のみ。
タイトルに 「サルバドール・ダリ」 の名前があれば、もっと作品があると思うじゃないですか!
油彩の1点や2点は展示されてると思うじゃないですか!
これはもう完全なるダリダリ詐欺でした (←?)。
ちなみに。
タイトルには “サルバドール・ダリまで” とありますが、
展覧会としては、ダリでは終わらず、4つ目の革命 「エコール・ド・パリ」 へと続きます。
マリー・ローランサンやシャガール、藤田嗣治らの作品が紹介されていました。
マリー・ローランサン 《扇を持つ若い女》 1913年 水彩・紙
だったら、なおのこと、ダリの名前を出す必要はなかったのに。
“シャガールまで” で良かったのに。
・・・・・・・と、展覧会に対しては、モヤモヤが尽きませんが。
それを補って余りあるのが、美術館の敷地内にあるこちらの旧井上房一郎邸。
高崎市屈指の大企業・井上工業の社長で、
高崎市の文化芸術振興に生涯を捧げた井上房一郎の自邸です。
もともとは、別の家に住んでいたそうですが、昭和27年にその家は消失。
そこで、井上はかつて友人の建築家アントニン・レーモンドのもとを訪れた際に、
大きな感銘を受けたその東京・麻布にあった自邸兼事務所を、そのまま再現しようと思い付きます。
レーモンドは快諾し、図面を提供。
井上工業の職員にも建物を実測させ、
それらのデータをもとに作られたのが、こちらの井上邸なのです。
事前に予約をすれば、展覧会の観覧料で内部の見学も可能。
写真撮影も可能となっています。
外観は、地味な印象を受けるかもしれませんが。
内部は、シンプルかつオシャレな空間となっています。
恐ろしいほどの居心地の良さ。
初めて入った家なのに、秒で馴染んでました。
井上房一郎が感銘を受け、完コピしたくなった気持ちがよくわかります。
日本人が作った建築以上に、日本らしさが詰まっていたような気がしました。
ちなみに、和室部分は、井上房一郎邸のオリジナルとのこと。
和室と外に見える庭の景色、
さらに、イサム・ノグチの照明が見事に調和していました。
とても素敵な空間でしたが、一つだけ気になったのは・・・・・・
異様に椅子が多かったこと。
いや、何人家族なん??