高崎市美術館を訪れた後は、
高崎駅を挟んで反対側にある高崎市タワー美術館へ。
「タワー」 と名乗るくらいなので、
東京タワーや通天閣的なものを想像していたのですが・・・。
外観は、ただのマンションでした。
なるほど。
タワーはタワーでも、タワーマンションのほうだったのですね。
ちなみに。
高崎市美術館は、西洋美術系の美術館であるのに対し、
高崎市タワー美術館は、近・現代の日本画を中心とした展覧会を開催しているそうです。
旧井上房一郎邸が併設されている高崎市美術館と、
名称に横文字が入る高崎市タワー美術館の中身を入れ替えた方が、しっくりくるような・・・?
さてさて、そんな高崎市タワー美術館で、
現在、開催されているのは、“京の美術―洋画、日本画、工芸” という展覧会。
女性で初めて文化勲章を受賞した上村松園の 《舞仕度》 や、
明治期の日本洋画を代表する巨匠・浅井忠の 《編みもの》、
『美味しんぼ』 の海原雄山のモデルとなった北大路魯山人の 《色絵金彩椿文鉢》 を筆頭に、
京都国立美術館のコレクションの中から、
日本画、洋画、工芸作品、計約80点が紹介されています。
さらに、「東の大観、西の栖鳳」 と謳われた竹内栖鳳の 《秋興》 や、
東京ステーションギャラリーでの回顧展で大ブレイクした不染鉄の 《廃船》 など、
思いがけず、名品の数々とも再開することができました。
わざわざ京都にまで足を運ばずとも、
群馬県の高崎で京都国立美術館のハイライトが観れてしまう展覧会です。
出展されていた作品の中で、
特に印象に残っているものをいくつかまとめてご紹介いたしましょう。
まずは、浅井忠に師事した画家、田中善之助による 《女》 から。
明治時代に描かれた作品ながらも、
モデルの女性の整った顔立ちは、現代でも十分通用する美しさ。
『再現VTRの女王』 の名をほしいままにしそうな感じです。
続いては、甲斐庄楠音の 《幻覚》 です。
This is デロリの美。
これ以上ないくらいに妖しさが、画面に満ち満ちていました。
というか、一体、どんな舞なのでしょう?
きっと潔白だとは信じたいですが、
表情を見る限りでは、この女性は何かしらのドラッグを決めている気がします。
そういうのダメ。ゼッタイ。
人物画以外で印象的だったのは、都路華香の 《良夜》 です。
何を描いた絵画なのか。
どこを描いた絵画なのか。
考えれば考えるほど謎でしたが。
初めて目にするはずなのに、ずっと昔に夢で見たことがあるような。
不思議な既視感のある作品でした。
水面の表現は、どこか脳波計っぽい感じがありました。
最後に、個人的に一番印象に残った作品を。
小野竹喬による 《郷土風景》 です。
郷土風景とは言いながら・・・・・・・・
全くもって、郷土感はなし!
日本のどこにこんな風景があるのでしょうか??
樹の幹がヒョロヒョロにもほどがあります。
樹の幹というか、山ゴボウの醤油漬けです。
何はともあれ。
全体的には、さすが京都らしい品のある美術作品ばかりでした。
かつて岡本太郎は、「今日の芸術は、 うまくあってはならない。
きれいであってはならない。 心地よくあってはならない。」 という言葉を残しましたが。
京の美術は、うまく、きれいで、心地よかったです。