Quantcast
Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
Viewing all articles
Browse latest Browse all 5005

生命の庭―8人の現代作家が見つけた小宇宙

$
0
0

東京都庭園美術館で開催中の展覧会、

“生命の庭―8人の現代作家が見つけた小宇宙” に行ってきました。

 

 

 

こちらは、東京都庭園美術館では久しぶりとなる現代アートの展覧会。

青木美歌さん、淺井裕介さん、加藤泉さん、康夏奈 (吉田夏奈) さん、

小林正人さん、佐々木愛さん、志村信裕さん、山口啓介さん計8人の現代アーティストと、

アール・デコ様式の東京都庭園美術館 (旧朝香宮邸) がコラボした展覧会です。

 

 

 

大広間や大客室、寝室だった各部屋はもちろんのこと、

金庫室やお風呂など、ありとあらゆる場所に作品が設置されています。

朝香宮邸だった本館自体、どこを見ても絵になる建築ですが。

今回はそれに輪をかけて、絵力がアップしています。

アール・デコのやりすぎ装飾×これでもかと設置された現代アート作品。

あまりにお腹いっぱいになったため、本館を観終えた時点で、

正直なところ、“新館は見なくてもいっか” と一瞬よぎってしまったほど(笑)

(もちろん、そのあと、新館の展示も見ましたが)

体力と時間に余裕をもって訪れることを強くオススメいたします!

星星

 

 

今回の展覧会で、特に印象的だったのが、

ここからここまではこの作家が担当というような区画分けがなかったこと。

館内を歩くたびに、誰が登場するかわからないワクワク感がありました。

また、8人が独立しているわけではないので、

まるで8人の作家によるチーム戦のような印象に。

例えとしてはチープになってしまいますが、文化祭みたいな印象を受けました。

8人の作家も、東京都庭園美術館の “中の人” も、

この展覧会を全力で楽しんでいるのが伝わってきました。

見ているこちらまで楽しくなる。

そんな展覧会です。

 

 

 

どの作品も本当に素敵でしたが、

個人的にお気に入りなのは、書庫に設置された志村信裕さんの最新作。

《光の曝書(メンデルスゾーンの楽譜)》

 

 

 

書庫の真ん中に置かれていたのは・・・・・・

 

 

 

朝香宮がパリで購入したという、

実際に所有していたメンデルスゾーンの楽譜。

その上に、庭園内に江戸時代からあるエノキを撮影した映像が投影されています。

いくつもの歴史がレイヤーのように重ねられた作品です。

特に音は流れていないのですが、

作品を目にした瞬間に、頭の中にピアノの調べが鳴り響くようでした。

そして、書庫にいながらにして、精神だけが庭園のエノキの近くにワープするような。

不思議なトリップ感のある作品でした。

 

志村さんの作品は他にも数点、館内に点在していましたが。

お風呂場の曇りガラスに投影された 《retrace》 という作品も素敵でした。

 

 

 

ポツポツと浮かび上がるのは、花火の光景。

あえてピントが合わされておらず、ぼんやりとした花火の姿なのですが。

それがかえって想像を掻き立てると言いましょうか。

今年は特に花火が見られなかった年なので、より心に染みるものがありました。

 

 

ちなみに。

今回の展覧会で一番目立っていたのは、加藤泉さんではなかろうか。

いろいろな場所に、彼の “人型” の作品が現れます。

まさに、神出鬼没。

 

 

 

かつて大食堂だった場所には、

もっとも加藤泉さんの作品が設置されています。

 

 

 

ローマ風 (?) の絵画が描かれた壁には、ドローイングが2点掛けられていました。

 

 

 

↑この写真をスマホで撮った際のこと。

中央の石像風の絵は、顔認識されたのですが、

その両サイドの加藤泉さんの絵は、顔認識されなかったのです。

 

 

 

顔でありながら、顔と認識されない。

改めて、加藤泉さんの “人型” のオリジナリティさを実感させられました。

 

 



1位を目指して、ランキングに挑戦中。
下のボタンをポチッと押して頂けると嬉しいです!

Blogランキングへ にほんブログ村 美術ブログへ


Viewing all articles
Browse latest Browse all 5005

Trending Articles