「“写真” という表現媒体を通じて社会のために何かできることはできないか?」
そんな思いで組織された活動体・NPO東京画。
そのプロジェクトとして、2018年に立ち上がったのが、“東京好奇心” という写真展です。
2018年に渋谷ヒカリエで最初の展覧会が開催された後、パリ、ベルリンを巡回。
そして、今年2020年、満を持して、再び渋谷の地へと凱旋してきました。
それが、現在、bunkamura ザ・ミュージアムで開催中の “東京好奇心 2020 渋谷” です。
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております。)
参加する写真家は、全部で100名。
会場の冒頭には、全員の名前が列挙されています。
その中には、50年以上に渡って第一線で活躍し続けるレジェンド森山大道さんや、
人物や風景などをミニチュアのように撮影する独特の手法で知られる本城直季をはじめ、
人気実力ともに折り紙付きの写真家たちの名も。
なお、現役の写真家100名による展覧会かと思いきや。
戦後日本を代表する写真家の一人である東松照明や、
資生堂の初代社長にして、アマチュア写真家の第一人者・福原信三ら、
物故作家の作品も紹介されていました。
また、展覧会タイトルに “東京” “渋谷” とありますが、
特に東京出身、東京在住の写真家に限定しているわけではなく。
16の国と地域を拠点に活動する写真家の作品が紹介されています。
ちなみに。
渋谷を映した写真もそれなりにありましたが。
中には、京都や横浜、パリなどを舞台にしたものも。
一体何がどう “東京好奇心” なのか?
その辺りは最後の最後まで分からずじまいではありましたが (笑)
100人100色の写真が楽しめるという点においては、素直に楽しい展覧会でした。
今回参加されていた写真家の中で、
特に印象に残っている方を何人かピックアップいたしましょう。
まずは、菅原一剛さん。
一見すると、水墨画のような印象を受けますが。
当然ながら、写真とのこと。
説明文には、以下のようにありました。
「ガラス板陰画 (ネガ) を黒ベルベットの上に置くことで陽画 (ポジ) を浮かび上がらせる」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
ちょっと何言ってるか、文系の脳では理解できませんでしたが。
作品が素晴らしいことだけは、ちゃんと伝わりました。
続いては、オランダのイルス・リーンダース。
「TOKYO MONOGATARI」 と名付けられたシリーズから、2点が紹介されていました。
どちらも独特のシュールさがあって、惹きつけられました。
今回、「他の写真も見たい!」 と最も思わされた写真家が、この人物。
帰宅後すぐに、彼女のHPをチェックしました。
それから、「他の写真も見たい!」 と思わされた写真家がもう一人。
公文健太郎さんです。
今回紹介されていたのは、「農:耕す人」 というシリーズ。
タケノコを掘るおばあちゃんと、ブロッコリーを収穫するおじいちゃんが被写体です。
とにかく2人の姿がカッコイイ!
スーパーで売ってる野菜によく生産者さんの写真が添えられていますが。
もし、この公文さんの写真が添えられていたなら、野菜が即完するに違いありません。
ちなみに。
展覧会と併せて注目したいのが、
展覧会を記念して作成された永久保存版写真集。
デザイン、製本、印刷、紙。
すべてにこだわり抜かれた一冊で、お値段はなんと税込み7700円です。
展覧会の図録史上もっとも高価な図録ではなかろうか。
どんな方が購入されるか興味津々です。