~前回までのあらすじ~
僕たちはみんな1人1人顔が違うように、1件1件の国宝も違います。
1件1件が特別でなかったら、国宝にならなかったはずです。
来てください。
・・・・・・・・・と、J.Y. Park風に語ったところで、
国宝が僕のもとに来てくれるわけはありませんでした。
真実、誠実、謙虚。
これを持った国宝ハンターとして、
日本全国の国宝をすべて目にするプロジェクトを励みます。
10月16日。
京都の八坂神社の本殿が国宝に指定されました。
これで国宝の総数は、1124件から1125件へ!
こんな状況でも、文化庁は国宝ハンターをGo To ハントさせようとするのですね。
さてさて、国宝が1件増えたということは、
その分、ゴールが1件分遠のいたということ。
これはうかうかしてられません!
ということで、以前から目を付けていた国宝を求めて、
10月下旬、佐賀県立博物館へと足を運んでまいりました。
佐賀県立博物館の50周年を記念して開催されていたのが、
“THIS IS SAGA-2つの海が世界とつなぎ、佐賀をつくった-” という特別展。
佐賀県というと、この歌のせいで・・・・・・
吉野家すらもない何もない県のイメージが定着しているかもしれませんが。
実は日本初のお茶の栽培地であったり、有田焼ブランドがヨーロッパを席捲したり。
佐賀県の歴史を紐解いてみると、そこには華々しいトピックが多々存在しています。
それは、玄界灘と有明海という2つの海が、世界との交流口の役割を果たしていたから。
そんな佐賀県が公表してねぇ 意外な真実を明らかにする展覧会です。
会場内は写真撮影禁止。
ということで、ここからは音声のみ (?) でお送りいたします。
開館と同時に入館したため・・・・・
当たり前ですが、会場には誰もいませんでした。
しかし、会場のあちこちから音が聞こえてきます。
というのも、一般的な展覧会よりも、映像系の展示が多め。
さらに、「旧石器・縄文時代」 や 「江戸時代」 など、
時代ごとに章が分かれているのですが、それぞれの冒頭で、
担当した学芸員さんによる解説動画がループ再生されています。
いっぺんにいろんな人の喋りが耳に入ってくるので、ちょっとした聖徳太子体験でした (←?)。
さて、僕のお目当ての国宝は、「奈良時代」 の章にあります。
担当学芸員の解説動画でも、この展覧会で最も必見の展示物と紹介されていました。
それは、『肥前国風土記』。
『風土記』 は、奈良時代に元明天皇が全国に、
地方の文化や地理などを記録するよう命じ報告させた書。
現存する 『風土記』 はわずか5つで、『肥前国風土記』 以外に、
『出雲国風土記』 『播磨国風土記』 『肥前国風土記』 『常陸国風土記』 があります。
うち国宝は、肥前国と播磨国の2件だけ。
ちなみに。
動画の中で、『肥前国風土記』 内に、
佐賀県の地名の由来についても言及されていると解説がありました。
なんでも古くから楠が栄えていた土地だったようで、
「栄える」 から 「さか」、転じて、「さが」 となった説があるようです。
・・・・・いや、楠はどこいった?!
松が栄えていようが、ケヤキが栄えていようが。
それこそ、一面田んぼだらけ稲が栄えていようが、佐賀。
佐賀の人間とってもアバウトラー。
と、何はともあれ。
お目当ての国宝はすぐそこにあります。
現物は残っていないそうですが、
それでも平安時代に書写された貴重な 『肥前国風土記』。
個人蔵ですが、今は佐賀県立博物館ではなく、
なぜか香川県立ミュージアムに寄託されています。
初めて目にしましたが、平安時代のものとは思えない新しさ。
まるで江戸時代に書写されたもののようです。
ん?江戸時代?
キャプションには、「1700年書写」 とあります。
わわわっ、どういうこと??
恐る恐る所蔵者に目を向けると・・・・・
?!!?!??!?!??
血の気がサーッと引いてきました。
ひょっとすると、ひょっとして・・・・・。
入館時に受け取った出品目録票を開いてみると、そこには衝撃的な事実が書かれていました。
なんと、展示は9月18日から10月18日まで!
ちなみに、僕が訪れたのは、10月28日です。
当然、国宝は展示されていません。
10月20日より、代わりに展示されていたのは、
東京大学総合図書館か所蔵する江戸時代に書写された 『肥前国風土記』 でした。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
そう言えば、数か月前にこの展覧会を発見した際には、
『肥前国風土記』 の展示は期間限定なのを、ちゃんと確認していましたっけ。
ところが、しばらく間が空いて、すっかりそのことを失念。
勝手に展覧会期間中ずっと展示されているものだと思い込んでしまっていました。
これまでにも何度かこの手の失敗をしているというのに。
僕は、佐賀まで来て一体何をやっているのか。
THIS IS BAKA。
あまりにもショックすぎて、その後の展覧会の記憶がありません。
気づいたら、トボトボと博物館を後にしていました。
ちなみに、ここまで掲載してきた写真は、
国宝が見れなかった、つまり、取れ高が全くなかったため、
どうにか盛り上げようと、何度もアングルやポーズを変えて撮影したもの。
失敗を少しでも笑いに変えたい。
これが悲しい性。
なお。
さすがに、このままでは終われないので、
富山県美術館でトークショーを行うその前に、石川県立博物館に行ってきました。
こちらにて、《剣〈銘吉光/〉》 (ジャンル:工芸品) をゲット。
剣とはいえ、想像していたよりも、だいぶ小さかったです。
ペティナイフ感。
リンゴを剥くのに適してそう。
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