今年めでたく開館10周年を迎えた三菱一号館美術館。
それを記念して、この秋開催されているのは、
“1894 Visions ルドン、ロートレック展” という展覧会です。
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております。)
展覧会のキーワードとなるのが、タイトルにもある 「1894」 という数字。
この数字が表しているのは、美術館の建物の前身となる三菱一号館が竣工した年です。
そんな1894年にフランスで活躍していたのが、
オディロン・ルドンであり、アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレックでした。
今展では、三菱一号館美術館の至宝ともいうべき、
ルドンによる室内装飾画 《グラン・ブーケ(大きな花束)》 や、
オディロン・ルドン 《グラン・ブーケ(大きな花束)》 1901年 パステル/画布 248.3×162.9cm 三菱一号館美術館蔵
美術館のコレクションの核となるロートレック作品の数々が一挙大公開されています。
さらに、昨年リニューアルオープンしたばかりの岐阜県美術館も全面協力!
岐阜県美術館が誇る世界有数のルドンコレクションも惜しげもなく出展されています。
まさに10周年を飾るに相応しい、祝祭感あふれる展覧会です。
ちなみに、例年の芸術の秋であれば、
西洋美術の展覧会にそこまで有難みを感じていなかったかもしれませんが。
2020年ウィズコロナの芸術の秋ゆえに、
西洋美術をたっぷり目にできることが、いかに有難いことなのか身に染みました。
三菱一号館美術館に心からおめでとうと、そして、ありがとうを言いたくなる展覧会でした。
そうそう、ウィズコロナといえば。
ひろしま美術館が所蔵する 《アリスティド・ブリュアン》 が妙に印象に残りました。
右隣に飾られたポスターの 《アリスティド・ブリュアン 彼のキャバレーにて》 とほぼ同図です。
しかし、明らかに異なるのが、顔の周りに描かれた無数の点々。
これまでに何度かこの絵を観ていますが、
その際には、“なんか変な点々が描かれてるなァ” くらいにしか感じていませんでした。
しかし、アフターコロナの今回は、
目に飛び込んできた際に、「わっ、飛沫!」 と思ってしまいました。
マスクをするか、その赤いマフラーですぐさま口元を覆って頂きたいものです。
さてさて。
タイトルには、ルドン、ロートレックとはありますが。
展覧会には、その2人以外にも、
ルノワールやモネといった印象派の画家や、ゴーギャンやナビ派の画家など、
1894年前後に活躍していた芸術家たちの作品も紹介されていました。
また、その頃にパリを訪れた日本の洋画家たちの作品も。
その中でも特に印象的だったのが、山本芳翠によるこちらの作品です。
山本芳翠 《浦島》 1893-95年頃 油彩/画布 122.0×168.0cm 岐阜県美術館蔵
タイトルは、 《浦島》 。
描かれているのは、もちろん浦島太郎です。
玉手箱を手にしているのを見ると、
どうやら竜宮城を過ごした後の場面が描かれている様子。
おそらく帰宅するところなのでしょう。
・・・・・いや、いつまで見送んねん!
名残惜しいにもほどがあるだろ。
当の浦島本人も困惑を隠せないようです。
乙姫も付いてきちゃってるし。
ちなみに。
内覧会の日 (10/23) に、この絵の浦島太郎を観た際に、
“伊藤健太郎君にちょっと似てるなァ” と、のんきな感想を抱いていました。
その1週間後に未来がガラッと変わっていようとは。
ちょっとした浦島太郎体験です。