人は、素晴らしいアートに出会うと、
「なんだ、これは!」
とか、
「全俺が泣いた」
とか、
「なんも言えねえ」
とか、様々な反応で、感動を覚えます。
そんな心が揺れ動くアート作品は、本当に素晴らしいものですが。
たまには、大きな感動こそありませんが、
日々の生活でブレてしまった心が、ぴたっと凪状態に戻るようなアート作品は、いかがでしょうか?
もし、そんなアート作品を求めているのでしたら、
武蔵野市立吉祥寺美術館で開催中の “深沢紅子展 野の花によせて” をオススメいたします。
こちらは、生涯を通して花を描いた女流画家・ 深沢紅子 (1903~1993) を紹介する美術展。
全国的な知名度はないですが (←失礼) 、彼女のファンは少なくなく、
郷里である盛岡と毎年避暑で訪れていた軽井沢に、それぞれ個人美術館があるそうです。
今回の美術展は、軽井沢の深沢紅子野の花美術館の協力のもと、
《ワスレナグサ》 や、
《エゾカワラナデシコ》 、
《テッセン》 など、
晩年の深沢紅子が野の花を描いた水彩画の数々が紹介されていました。
どの野の花の絵も、かよわく品の良さが滲み出ている作品ではありましたが。
植物図鑑のように精確な絵というわけでも、
色彩が、ハッとするほど美しいというわけでもないので、
アートに感動や面白さを求める人には、少々物足りなさを感じるかもしれません。
しかも、描かれているのは、バラや桜といったメジャーな (←?) 花ではなく、
ビナンカズラやハクチョウゲ、フシグロセンソウ…といった馴染みのない野の花が大半。
モチーフにすら、少々物足りなさを感じるかもしれません。
深沢紅子さんの世界は、決してアートの本筋ではないでしょうが。
こういった作品も含めて、アートなのだと、実感しました。
普段、味の濃いアートに慣れてしまった人も、
たまには、こうした滋味深いアートを味わってみてはいかがでしょうか?
入館料も100円と大変に優しい価格です。
ちなみに、展示に対して、一つだけ提案させてもらえるのならば。
今回の出展作品のほとんどが、水彩画で、
鑑賞者の目線の高さに合わせて、展示されていたのですが。
展示作品の中には、野の花を描いた屏風絵もあり、
その屏風絵は、高さの関係で、しゃがむか中腰で観なければなりませんでした。
・・・が、描かれているのが、野の花だけあって、
そうやって観賞したほうが、かえって自然に感じられたのです。
思い切って、野の花の水彩画を、足もと近くに展示してしまった方が、良かったのでは?
(↑かなり斬新な展示方法ですがw)
それと、調子に乗って、もう一つ提案させてもらえるならば (笑)
野の花をモチーフにした作品に交じって、深沢紅子の描いた油彩画も展示されていたのですが。
《縞のブラウス》
それらは、イマイチだったので、無くてもよかったです。
(↑だいぶ調子に乗った提案です)
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深沢紅子展 野の花によせて
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